何が違う? 墓じまいと改葬 ~おひとり様のお墓事情


【今日のポイント】

 まだ早いと思っていた実家のお墓の取り扱いについて。
気付いたら両親も高齢、又は墓のある郷里から
親族が一人もいなくなっっていた。

このままお墓だけ残すことでいいのだろうか?

この季節はお盆で帰省した結果、問題に直面した
家庭からの問い合わせが急増します!

 

今回のテーマは、
お墓をこれからどうするかを考える時に
知っておいて損はない基礎知識です。

 

 

【墓じまいとは】

 お墓の取り扱いを調べると、
「墓じまい」「改葬」「永代供養」という
言葉がまず出てきます。

特に、墓じまい(墓終い)イコール改葬
といった説明がされているケースも見受けられます。

ですが、厳密には墓じまいとは、改葬手続きにおける
ひとつの手順、と理解して下さい。

具体的には「お墓=墓石を解体、撤去して墓地を更地化し
墓地管理者へ返却する事。」です。

さらに付け加えると、墓石撤去後に行われる
「閉眼供養=魂抜き」までの手順が「墓終い」です。

 

【改葬とは】

 墓終いの後に、新しいお墓に遺骨を埋葬する手続きを
「改葬」と理解して下さい。

代表的事例としては、お墓だけが遺された郷里から
自分たちが暮らす土地の近郊に新しいお墓を用意して
遺骨を移すことで、「お墓の引っ越し」という意味合いになります。

詳しい内容については、以前のブログを参考にして下さい。

改葬手続きと費用

 

【おひとり様のお墓は?】

 墓じまいをすれば、改葬の他、選択肢はないのでは?

墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)によれば、
一度埋葬した遺骨は、墓地や納骨堂といった遺骨の安置が
法的に認められた場所以外には改めて埋葬等が出来ないと
されています。

さて、改葬する大前提は
「次代・次次代にお墓参りしてくれる子孫」
がいることです。

子供や孫がいる家庭であれば、改葬する意義があります。

 

 ですが、おひとり様の場合は そうではありませんね。
特に一人っ子のおひとり様や兄弟等が非常に遠隔地に暮らす場合、
又は、何らかの理由で絶縁状態にあるものにとって
誰も足を運んでくれないお墓を用意する必要があるでしょうか?

 

【改葬以外の選択は?】

 自分を含めて先祖代々の遺骨を改葬以外で
葬ることは、出来るのでしょうか?

例えば、家族、親族はいなくとも親しい友人や知人が
時々は訪ねてくるかもしれない? そういう場合に
墓参りが出来るような手立てはないだろうか?

 この様な場合には、現在の墓地に「永代供養墓」
「合祀墓」が併設されていれば、事前にこちらへの
埋葬の可否の相談をすることです。

通常のお墓を持つ場合にも、祭祀承継が絶たれた場合等に
一定期間の後にお墓を撤去し、遺骨を永代供養に移す事は
一般的に行われています。

仮に改葬した後に、承継者がいなくなった場合等にも
事前に相談しておけば、移してもらえるケースもあります。

 

他にも選択肢はあります。

山や海への「散骨」
又は「樹木葬」という方式です。

 

 永代供養や合祀の場合であれば、少なくとも
故人と語り合う最低限の場所は残されていますが
散骨では全くそういった場は期待出来ませんし
樹木葬の場合も、多くの日本人の宗教観からは
故人の思い出を語る場とは言えないという方も
少なくありませんでした。

 あくまでも、当事者である故人の遺志であるならば
あれこれ詮索しても仕方ないことですが、
遺された側の心情は複雑なものがあるでしょう。


【新たな選択肢?】

 最近「共同墓」というものが話題になっています。
公営の施設は関東近郊だけでも
東京都(小平霊園)、横浜市(日の公園墓地)
さいたま市(思い出の里市営霊園)等にありますし、
最近は千葉県の市川市にもあるようです。

また、公営の共同墓の他にも市民団体やお寺が
運営するケースもあるようです。

 

 これも一種の「永代供養墓」で
おひとり様や一人暮らしの場合でも
後の心配がなくなりますし、
共同のスペースに安置され、
墓石も個別に用意しなくて済みますから
経済的な負担で悩むこともなくなります。

地域によっては「集合墓」「合葬墓」と
呼ばれているケースもあるようです。

 

 血縁での墓の継承が何より
という考えに固執しないのであれば、
年々増え続けるおひとり様の将来を考えたならば、
この共同墓という選択肢も「現状にマッチしたお墓」
と考える価値ありではないでしょうか?

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おひとり様はどう自分の死と向かい合うべきか?


【今日のポイント】

 人生80年、90年が当たり前になりつつある今、
いかに高齢者は社会に向かい合うかが話題になっていますが、
さらにおひとり様の高齢者にはおひとり様ゆえの問題も
生じてくるのです。

 今日は、特におひとり様が高齢者になった時の
問題について紹介していきたいと思います。

 

 

【進む高齢化】

 少し前の資料ですが、2015年に死亡した女性で
90歳以上だった割合が36%だったそうで、
実に3人に一人は人生90年を過ごしてきたことになります。

男性の場合では80歳以上で亡くなった割合は50,4%で
ほぼ半数が人生80年時代に入っていました。

 

 私の世代ですと、あと約20年は生活していかなければ
いけないという事です!

生まれて20年で「成人」となり
20歳から20年で「一人前の社会人」
40歳から20年で「定年退職」
そして60歳からもあと20年の人生があるのです。

 

 これからはこのタイムテーブルを
全ての基準に置かなくてはいけません。

 

 

【新たな高齢化問題】

 2017年の「人口統計資料」~国立社会保障・人口問題研究所調査
によりますと、生涯未婚率も増加傾向にあり
2015年度で男性の23,4%、女性の14,1%が該当するとあります。

これは 取りも直さず「75歳以上の後期高齢者のおひとり様」
が増加・拡大するという事になります。

 

 生涯未婚の「まだ独身」に加えて
「また独身」となる離婚も増加しています。
50歳以上の「熟年離婚」は詳細は省きますが
この20年連続で増加しているようです。
より現実的な問題に、収入の問題もあります。

 

 総務省による「家計調査年報」~2014年によりますと
55~59歳の「定年間近世帯」の平均月収は
約56万8千円でした。

これが60歳以降の「定年後世帯」になりますと
約39万3千円。 7掛けにまで落ち込んでいます。

但し、これは定年後に再就職などで
何らかの仕事に従事している場合で
無職の場合は、さらに深刻な数字が出ています。

 

 65~74歳の無職の世帯の場合
平均月収は約21万1千円
平均支出が25万8千円となっています。
毎月の「持ち出し分」は当然預貯金等の
貯えの切り崩しで賄っている訳です。

果たして人生80年、90年まで
賄いきれるものでしょうか?

 

 

【高齢化社会で起こること】

1)葬儀の変化

 私も以前ある知人御家族の葬儀に参列したのですが
享年実に102歳の方でした。

故人の学校の同級生、会社時代の先輩、同僚の方の
参列は皆無でした。

 

 ここまでの例は極端ですが、
80代半ばを過ぎての葬儀の場合、
参列者は減少傾向にあります。

同年代の仲間は既に先立っているか、
介護状態にあって参列が叶わない。

健康であっても遠隔地に暮らしていれば
おいそれとは参列出来ないといった理由です。

 

 さらに、義理の参列でしかありませんが
子供たちが現役の会社員であれば
上司や同僚、場合によっては取引先関係者も
葬儀に参列するケースは少なくありません。

ですが、親が80代であれば子も既に60代、
定年退職の年代ですから、こういった義理の
参列も期待出来ない訳です。

最近は「家族葬」が増加しているのも
故人の高齢化が一つの要因ではないでしょうか?

 

2)おひとり様の葬儀

 先に書いた「家族葬」もおひとり様の場合は
それすらも難しい場合があります。

まだ兄弟姉妹や親族がいればいいのですが
一人っ子や、何らかの事情で交流が絶えているような場合は
ひとり死 を甘んじる事になります。

 

 余談になりますが、おひとり様が還暦を迎えたときに
還暦祝いをするのが80代の親だけという笑えない事態が
出始めています。

まだ親も亡くなっていれば、たった一人で迎える還暦
となる訳です。

今や、赤いちゃんちゃんこを着て
子供や孫といった家族総出でお祝いされる
還暦は「絶滅行事」に近づいているのではないでしょうか?

 

3)おひとり様の葬儀2

おひとり様の葬儀に「戒名」は必要ですか?

おひとり様の葬儀の際の「お布施」はどうしますか?

おひとり様の葬儀は、誰が取り仕切るのでしょう?

さらにその前に、自分の遺体の安置場所はありますか?

終の棲家の「お墓」をどうしますか?

 要は全て「自分では出来ない事」を
どうするかを考えなくてはいけないのが
おひとり様の「最期の最大の問題」なのです。

これらの案件については、自分自身が
事前に葬儀社や菩提寺等のしかるべき相手に
相談、又は依頼する必要があります。

※次回のブログではこの中からおひとり様のお墓問題
「改葬ではない墓じまい」について紹介する予定です。


 

【おひとり様はどう向かい合うか】

 ここまで書いてきたような諸問題を
まとめると以下の3点に絞られると思います。

◇おカネが無い

◇頼れる家族・友人がいない

社会との繋がりが無い

 

 おカネが無いから外出も交際も出来ない、
だから家族や友人とも疎遠になる、
疎遠だから余計表に出ていかない。

まさに「負のスパイラル」です。

 

 50代のおひとり様であれば、上記3項目の
自問自答をしてみて下さい。
気になる項目が出てきたら、今から打開策を
講じなくてはいけません。

上記3項目は「なってはいけないおひとり様の老後」

として肝に銘じて下さい。

 

 次に、ごく一部の気の置けないメンバーに
聞き取りした話ではありますが、
「自分としてはどんな死に方を望むか?」
と問いかけをしてみました。

 子や孫といった家族がいる方の大半は
「ピンピンコロリ」を望んでいました。

これに対しておひとり様の場合は
「入院や通院でもいいので時間の猶予が欲しい。」
が、過半数と対照的な反応でした。

 

 家族がいる場合の回答の理由としては
自分のせいで家族に金銭的、時間的な迷惑をかけたくない
が殆どでした。

 おひとり様の場合はこの逆で
ポックリでは却って周囲に迷惑をかける、
自分で後始末の手立てをするだけの時間は欲しい。
という考えからの回答でした。


考え方は真逆ですが、根底に共通するのは

周囲に迷惑をかけたくない。

この一点でした。

 

 では、周囲の人が自分の為にかけてくれる手間は
全て周囲にとっての「迷惑」なのでしょうか?

故人がその方にとって大切だった人、得難い人であれば
その最期にかける手間は、迷惑ではないと思います。

 

 友人、知人、相棒、先輩、後輩との最後の語らいの場であり
訣別の為の準備を担える場と考えるのではないでしょうか?

問題なのは、今の自分をそう思ってくれる人物がいるかどうか?
そういう人物と巡り合えるような生活をしていたか、
又はそういう生活をしているかどうかなのです。

 

 自由気ままなシングルライフを満喫してきたおひとり様も
50を過ぎれば周囲との繋がりを深める意識と行動を始めるべきです。
自分の死と向かい合うという事は
社会と、周囲の人たちと向き合うことに他ならないのです。

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おひとり様の自宅相続 ~家なき子の特例とは?


【今日のポイント】

 「小規模宅地等の特例」
自宅を所有する方は相続税節税の
有効な手法としてご存知の方も多いかと思います。

この特例を適用される条件について
改めて紹介したいと思います。

特に長年親元を離れている子はそれだけで
大幅な節税を受けられるかもしれません。

 

 

【小規模宅地等の特例とは】

〇 適用される土地の条件は?

 故人が生前暮らしていた自宅の土地で
広さは330㎡までとなります。

〇 相続人の条件は?

① 故人の配偶者

② 故人と同居していた親族

③ 相続発生までの3年間、故人と別居していた、
かつ自分や配偶者の持ち家に暮らしていなかった。
(通称、家なき子と呼ばれています。)

※ ③の場合は故人の配偶者がいない場合、
仮に②に該当する人物がいても、
法定相続人でなければ対象になります。

 

 この条件を満たしていれば、申告によって
土地の相続税評価額を8割減に出来る制度です。

路線価で5,000万円の土地であれば、
8割減ですから評価額は1,000万円です。
これに伴って相続税も減額(節税)になるのです。

 

 イメージとすれば
社会人になって以来 転勤族の為
ずっと「賃貸物件暮らし」で、
数十年単位で実家では暮らしていない。

父母のうちどちらかはすでに亡くなり、
現在は残された親が一人暮らしをしている。

この様な環境であれば
全ての要件を満たしている訳です。

おまけに一人っ子であれば
実家の相続自体もスムースに行える為
節税対策として大いに活用すべきものです。

 

【贈与による特例の適用も】

 制度上では「相続の発生」を起点としていますが
生前の対応で予め特例の適用が受けられるような
条件を設定することも可能です。

仮に自分の親が実家で一人暮らしをしており
自分は別の地でマイホームを所有する場合です。

 

 実家の場所が都心であったり、開発計画などで
一気に地価が高騰していたとすれば
いずれ発生する相続時の税負担は相当なものと
推定されるような場合に、まず自分のマイホームを
子供に生前贈与します

 あくまでも、上物である家屋だけを贈与するので
贈与税はそれほどの額にはなりません。
(尤も新築の場合はこの限りではないですが)

そうしておいて、3年間を過ごせば
自分は 先の条件の③に該当することになります。

名義上は既に「他人の家」となっており
相続前の3年間を過ごし、親は一人暮らしです。

制度上では自分の土地であっても、住む家が
自分の持ち家でなければ、基準に該当するのです。

贈与後も今まで通り暮らすことに問題はありませんから
マイホームを持っているから特例は自分には無縁だと
簡単にあきらめることはありません。

 

【おひとり様の自宅相続】

 さて、親と別居しているおひとり様で
マイホームを所有している場合にこの制度の
適用はどうなるでしょうか?

問題は、「マイホームに暮らしている」
この一点になりますから、
思い切ってマイホームを手離して
賃貸物件に移るという手段があります。

但し、相続発生前3年間という期限がありますから
転居の時機の見極めはかなり難しい場合もあるでしょう。

 

 おひとり様であれば、
不動産を後に託せるような親族も
いないことが多いでしょう。
実家とマイホームの両方を所有する
意味はあるでしょうか?

仮に自宅相続を了とするならば
それなりの相続税対策の費用の問題は
避けられませんね。

 

 実家の相続の可否、マイホームとの兼ね合い、
発生する相続税対策 など等・・・
いろいろな面から検討を重ねて
小規模宅地等の特例の賢い活用法を
考えることをお勧めします。

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