お元気ですか?
一人暮らし・老人支援ブログ 先憂後楽
寺田  淳です。

 

前回は
10ヶ月以内に相続税を申告して納付するまでの
諸手続きについてお話してきましたが

今回は
個々の項目から特に注意を要する項目について
紹介していきたいと思います。

それは
原則として相続開始から3か月以内に行うもの。

相続放棄と限定承認の手続きです。


【相続放棄】

相続放棄とは
被相続人の遺産を調べた結果、
巨額の借金や、連帯保証人の証書等が発見され
遺された財産を借金が上回る場合等に
相続人が「預貯金、貴金属等の資産も引き継がない代わりに 借金も引き継がない。」
手続きを取る事です

手続としては
被相続人の最後の住所を管轄する家裁に 申述することになります。(民法第938条等)

相続放棄の申述書
・被相続人の住民票の除票
この2つは必須で
あと、相続放棄する人の立場によって
次のような書類が必要になります。

すべて謄本が条件です。

1)相続放棄するのが被相続人の配偶者  
・被相続人の死亡時の戸籍(発行から3ヶ月以内)

2)被相続人の子供  
・放棄する子供と被相続人が一緒に掲載されている戸籍、または除籍
・被相続人の死亡した旨の記載のある戸籍、または除籍
・相続放棄する子供の現在の戸籍(被相続人死亡後の発行、かつ発行から3ヶ月以内)

3)被相続人の父母、祖父母
・被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍
・相続放棄する父母、祖父母の現在の戸籍
(被相続人死亡後の発行、かつ発行から3ヶ月以内)

4)被相続人の兄弟姉妹
・被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍
・相続放棄する兄弟姉妹の現在の戸籍
(被相続人死亡後の発行、かつ発行から3ヶ月以内)
・被相続人の父母祖父母で死亡している方がいる場合は
その方の死亡の記載のある戸籍

家裁の窓口に直接提出の場合は
認印と運転免許証等の身分証明書が必要です。

この手続きには期限があります。
原則は
「自己の為に相続の開始があった事を知った時から3ヶ月以内」です。
(民法第915条)

よく
「被相続人が死亡してから3ヶ月以内」 と言いますが
同居家族の場合ならば、死亡即相続の開始は当然ですが
別居の場合や、交流が疎遠な場合にはあくまでも
相続の事実を知った時から、が起点になります。

以前は、
闇金等が債務者の死亡を知りながら 3ヶ月は沈黙を守り、
3ヶ月を過ぎてから 相続人宅へ乗り込み、
相続放棄できない旨を伝え 債務の返済を迫るというケースがよくありました。

被相続人から
借金や連帯保証人の話を聞かされていれば まだしも、
何も伝えられてないまま
ある日突然借金を相続していると言われるのは 理不尽です。

このような事態を踏まえて、
現在は民法第915条の後段に

「本条の熟慮期間は、
相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時、
または
通常これを認識しうべき時から起算すべきである
~最高裁判決昭和59年4月27日

とあります。

例えば
債権者からの請求書等によって
初めて借金の存在に気付いたような場合は
その請求書の写しを添付しておくとよりいいでしょう。
借金の存在を知った日付の証拠になるからです。

 

とはいえ、
相続を知ったなら自己責任で財産調査をすべきです。
相続を知っていたのに財産ばかりに目が向いていて
「借金の話は聞いてなかった。」では 済まないのです。

申述書の提出は
原則、相続人が行います。
相続人のうち一人だけの単独提出でも、
全員での提出でも構いません。

申述書が受理されますと
家裁より 「相続放棄申述受理証明書」が交付されます。

 

【相続放棄の注意点】

・相続放棄をしたという事は 初めから相続人ではなかったものとされます。
(民法第939条)
・一度家裁に受理されますと、撤回は出来ません。
(民法第919条)
・相続放棄をすると、その権利は次の相続人に移ります。
~例えば被相続人Aが死亡した場合
Aの借金が発覚し、 配偶者と子供が相続放棄をすると
借金はAの父母、または祖父母に相続されます。
さらに父母、祖父母が既にいない場合は Aの兄弟姉妹に相続されるのです。

自分達だけが相続放棄の手続きをして
借金から逃れたと 気を抜いてますと、
親族に甚大な損害と迷惑を 与える事になるのです。

 

余談になりますが、
仮に親子、兄弟姉妹全員が一斉に相続放棄をしたら
借金はどうなるのでしょう?

これはこれで、善意の債権者がいた場合はやりきれませんね。

こういう場合は
債権者は家裁に「相続財産管理人」選任の申立をします。
通常この役は裁判所から選任された弁護士が多いようです。
財産管理人は残された資産や負債を調査して精算していきます。
その結果を踏まえて債権者に配当をします。

ただ、申立がない限り財産管理人は就きませんし
申立の際は債権者が「予納金」を納める必要があります。

財産が殆ど無いような場合
相続財産管理人が就くことはまずないようです。

こうなりますと、
債権者にとっては不本意な結末を迎える事になります。

 

【限定承認】

限定承認とは、
・相続を受けた人が
・プラスの財産の範囲内で
・マイナスの財産を引き継ぐという方法です。

この方法は、
・マイナスの財産(借金)の金額がプラスの財産より明らかに多い場合
・わかっていない借金が残っている可能性がある場合
に有効な方法です。

いざ相続をするとなっても
プラスの財産とマイナスの財産、
どちらが多いのかわからないという事は十分あり得ます。

また、後になってから
多額の借金が見つかり、マイナスの財産が逆転したという場合もあります。                   このような場合でも、
限定承認をしておけばプラスの財産以上の返済はしなくて構いません。

結果的に
マイナスの財産よりプラスの財産のほうが多かった場合はどうなるでしょう?

問題なく財産はそのまま引き継げます。
ですから民法上は、かなり便利な制度といえます。

但し、
限定承認の場合、相続人全員が共同で申請する必要があります(民法第923条)
一人でも同意しなければ、限定承認は認められません。

但し、相続放棄した相続人はこの対象外になります。

 

【限定承認の落とし穴 】

先に書きましたが、
限定承認とは、
・相続を受けた人が
・プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐという方法です。

民法上は、
かなり便利な制度といえまが、
税法上は注意すべき点があります。

というのは、税法上では
被相続人に対し財産を時価で相続人に渡したとして、
「みなし譲渡所得課税の対象」になります。    (所得税法第59条)

「みなし譲渡所得課税」とは、
文字通り譲渡所得があったとみなして、税金をかけるという事です。 

被相続人に対して、
すべての財産を時価で売却し収入があったとみなし
その財産の取得費などを差し引いた所得に対して所得税がかかります。

その為
含み益がある財産(例えば、購入したときより値上がりしている土地)
がある場合、
限定承認をすると、被相続人に対して所得税がかかることになります。       
(現金の場合は含み益がありませんので「みなし譲渡所得課税」はかかりません)

相続人は被相続人の所得税について、
準確定申告をもって所得税の申告・納付をします。
また、相続人は財産を時価で取得したことになります。 所得税法第60条)

被相続人に対しての所得税は債務となりますが、
その増額した債務は限定承認の手続きにより
プラスの財産を超える場合は切捨てされます。

⇒被相続人がプラスの財産よりマイナスの財産のほうを多く持っている場合は
 相続人において基本的にデメリットはありません

⇒被相続人が明らかにマイナスの財産よりプラスの財産のほうを多く持っていれば               所得税の分が加算されますから得策ではありません。

相続放棄と限定承認、お判り頂けましたか?
この決断を、3か月以内に下すのですよ。

 

これらの件について
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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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