【今日のポイント】

 改葬といいますと、最大のネックは今のお墓の管理者である
お寺や霊園から改葬許可を取り付ける事と言われてます。

 ある調査によりますと実際墓じまいの際に
何らかのトラブルを生じたというのは全体の35%に上っています。

 その中でのトップ案件は、実は冒頭の離壇料関係のトラブルではありません。
なんと「親族間のトラブル」がトップだそうです。

 ちなみに、離壇料トラブルは第4位だそうです。

 

 新年最初のブログは、
親族間での墓じまいの進め方について紹介したいと思います。

 

 

【親族間のトラブルとは?】

 トラブルを語る前に、
まず改葬・墓じまいをするに至った理由を紹介します。
概ね、下記の項目が主な墓じまいを決めた理由でした。

・郷里の墓までが遠距離で年1回の墓参も一苦労する。
・墓のある郷里に親族が誰もいなくなった。
・これまでも1回も連れて行ってない墓を子や孫に引き継がせたくない
・肉体的な問題~墓までの山道が困難になってきた。
・経済的な問題~毎年のお布施、法要への参加等が年々負担増に。

 この様な理由から、
最近は老親の方から墓じまいや改葬を決断するケースが増えています。

 ですが、その際に自分の兄弟には伝えないままに実行したり、
子供に対しても同居している子供だけと協同で作業する場合、
後になって思わぬ反応が親族間から向けられることが少なくないようです。

「いきなり墓じまいのお知らせを通知するとはどういうことですか?」
「他の親族にも話していないそうですね、何故ですか?」

自分の子供からも
「兄さん、せめて相談くらいはして欲しかった。」
「言ってくれれば私が墓を守ったのに!」

中には、
「実は今旦那と離婚協議中、実家の墓が無くなったら私はどこに入ればいいの!」
といった長女からの想定外の告白を受けたというケースもあるようです。

 また、あまり兄弟仲が良くない場合では
「本当に親の意向なのか? 言いくるめたのではないか?」
「自分だけ面倒見ている態で遺言書を都合よく書いてもらう魂胆か?」
等といった「争族化必至」の事態に発展するケースも。

 直系の親族以外でも、
仮に先祖が本家筋の家系の場合や地元の名士だった場合は
分家筋の方や縁故ある地元の方々からも恨み言のひとつも
言われることは避けられません。

 仮に親が健在の時点での墓じまいや改葬であれば
「あくまでも私の意思です。」
「決めたのは長男ではなくて私です。」
と釈明も出来ますし、親族等も不承不承でも納得しやすいでしょう。

 ですが、
既に親が亡くなっており、長男の意向で独断で決めた場合や
生前の親からは口頭で依頼されていたものの
その事実を誰にも伝えていなかった場合では説得力は微妙でしょう。

 さらに、まだ新しい墓が墓石のあるものや納骨堂であればまだしも、
故人の遺志が「散骨や樹木葬」であればより深刻な亀裂を生じかねません。

「これからは墓参すら出来ないのか!」
「本当に故人の遺志だったのか?」
「費用惜しさでこういうことをしたのか?」

など等、完全に疑いの目で見られても文句が言えません。

 後述しますが、
こういった感情面の他にも「費用負担」も問題化する案件です。
「勝手に決めて勝手にやって費用を負担しろとはいい加減にしろ!」
「負担はしてもいいが、この分担では承服しない!」
など等、感情論とミックスされてよりこじれることが多いのです。

 特にこの問題になると、配偶者からの圧力が強まってきます。

 

 このような無用なトラブルを防ぐためにも、
事前に墓じまいについて親族間での協議と合意を取り付けることが
必要になるのです。

 

 その為には、「事前確認書」を作成することが重要になるのです。

 

 

【祭祀承継者】

 基本的には、
改葬実務を行うのは長男や長女と言った立場の子供が行います。
いわゆる「祭祀承継者」が改葬を執り行うという形が一般的です。

 但し、故人の遺言で長男長女以外の親族が指名される場合もありますので
必ず「祭祀承継者」は誰で、この手続きについて主導する立場にあることを
はっきりと示しておきます。

 故人の指名や指定がない場合は、相続人を中心に祭祀承継者を協議して決め、
その人物が事前確認書の作成を主導していきます。

 

 

【改葬先】

 墓じまいや改葬の場合、
最初の業務は新たな埋葬先を選定しておくことです。

 既に改葬する寺や納骨堂などが決まっているのであれば、
その名称、住所、連絡先を明記します。
 又は、散骨や樹木葬であればその旨を記載します。

 正式な契約前であるが、確実に改葬先である場合であれば
名称や連絡先の記載の後に〇月〇日までに契約締結の予定等を
記載しておくといいでしょう。

 

 

【改葬する遺骨】

 例えば両親の遺骨(2柱)だけなのか?
祖父母の遺骨までを改葬するのか?
さらに先祖代々の遺骨までが改葬の対象なのかを明記します。

 改葬する遺骨の数は後述する改葬に絡む費用に関係するので
出来れば事前に現在納骨されている骨壺の数量を調べておけば
より正確な費用計算が可能になります。

 

 

【撤去作業】

 お墓を撤去する改葬の場合、
地元の石材店や墓石店や寺が提携している業者に依頼して
墓石の撤去と墓地の更地化を行います。

 これも既に契約を済ませているのであれば、
店名(会社名)、所在地、連絡先、担当者氏名等を記載し、
見積もり費用も算出済みであれば、明記しておきます。

 

 

【費用明細】

 ここで改装に伴う諸費用(見積含む)を箇条書きします。
改葬については同意しても、この部分での同意は拒否、
といった総論賛成・各論反対になり易い案件です。

 ですから、可能な限り正確な費用項目と金額を調べます。

 ・撤去する寺や霊園への「気持ち=離壇料、お布施?」
 ・撤去作業に伴う諸費用(人件費、重機レンタル・作業代等)
 ・改葬する遺骨の数(柱)と改葬手続きにかかる費用
 ・閉眼供養(魂抜き)のお布施
 ・住職等の交通費(墓が遠距離の場合はタクシー手配等で発生)
 ・改葬先の寺(納骨堂)の永代使用料や開眼供養の費用等

 お布施や離壇料以外は過去の実績や同規模の墓じまいの際にかかった費用等、
直接当事者に確認しておくなどである程度正確な金額は事前に把握出来るはずです。

 

 

【役割・費用分担】

 費用明細以上に困難が予測されるのがここです。

 まず役割分担ですが、
改装に伴う手続きの全てを祭祀承継者が単独で行うのか
又は複数人で役割を分担するのかを協議します。

 例えば、
地元に近接している地域に居住する親族が自治体に出向く、
地元の墓石撤去の業者を調べて交渉する等、出来る限り
その役割分担が余人をもって替え難いものを提示していきます。

 次に上記の費用を兄弟や親族でどう分担するかを明記します。

 改葬手続きには自治体の窓口での申請や届出と言った作業が発生します。
遠隔地の親族はこの役目を分担することは事実上無理ですから
煩雑な手続きは祭祀承継者に一任する代わり、費用負担を軽減する、
又は撤去までの費用は親族で、改葬先での費用は祭祀承継者が負担する等、
事前に費用と役割の分担を調整し、協議のうえで決めていきます。

 
 当然決まった内容をここに記載します。
ここでも、より具体的に箇条書きで分かりやすく記載します。
お布施全般は〇〇(フルネームと現住所、続柄)
撤去費用全般は▽▽(フルネームと現住所、続柄)

 

 最後には必ず関係者全員の署名と押印を忘れずに。

 滅多にないことですが、最後の署名押印をしなかったばかりに
後になって前言撤回で知らぬ存ぜずを決め込む輩もいたそうです。
言い逃れが出来ないように確実に全員で記載しましょう。

 

 

【終わりに】

 あくまでも一般的な事例ですが、
最近の改葬・墓じまいのパターンで多くを占めるのが
墓石のある墓地から都市型霊園の納骨堂導への改葬の場合です。

 私が携わった範囲では、概ね総費用は100~180万円前後でした。

 無論、撤去する墓石の大きさや墓地の形状で
撤去に使用する重機などが設置出来ない場合等はより高額になりますし、
先に述べたように新たなお墓に納める骨壺(柱)の数によっても
費用が変わります。

 一人っ子の場合は別として、
兄弟姉妹が健在な場合で祭祀承継者一人が全ての費用を負う、
ということはあまり現実的とは言えません。

 かと言って、
費用を全て負担するから
自分ひとりの判断で行っていい訳でもありません。

 

 遺言や相続、生前贈与などと同じく
改葬・墓じまいについても終活の一環として、
関係者による事前の意思の確認と合意を得ておくことは
必要不可欠な手続きと言えるでしょう。

 

 余談ですが、
これまで私が受任した改葬案件は
奇跡的に全て生前の親からの相談でした。

 こちらから質さずとも子供や親族の了解済みというのも
今思えば非常に恵まれた案件ばかりだったと思います。

 ですが、今後の事も考えて、改葬相談の場合、
「この件については親族関係者は御存じでしょうか?」
「異を唱える親族や、まだ知らせていない関係者がいますか?」
この2つについて、必ず事前確認するようにしています。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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