【今日のポイント】

 どうも来年も企業の人員整理や組織のスリム化の傾向は続くようです。
既に2022年3月期の決算期に合わせてリストラ実施を公表した大企業も
少なくありません。

 今に始まったことではありませんが、
会社を辞める、定年退職でも自己都合の早期退職でも、
リストラによる早期退職勧奨でも、あるいは起業や独立の為でも、
共通する想定項目があります。

 今日はその点について、簡単に紹介したいと思います。

 

 

【5項目の問いかけ】

 あくまでも私のやり方なのですが、
定年退職後の再就職相談や起業相談
在職中の転職相談や起業・独立相談
在職中の早期退職(での再就職や起業・開業)相談

 要は今の会社(仕事)を辞めて、新しい仕事に就きたいという
相談についてはほぼ以下の5項目について
相談者の考え、覚悟、備えについて確認を行います。

 ・なぜ? ~今の会社(仕事)を辞めるのですか?
 ・いつ? ~いつまで今の仕事を続けるのですか?
       又はいつから新しい仕事を始めるのですか?
 

 そして新しい仕事を始める場合の相談に対しては、

 ・誰と?    ~誰と暮らしながら(貴方が支える家族構成は?)
 ・どこで?   ~今の住まいで? 転居して? 地方で?
 ・どうやって? ~家族を支える収入を得るのですか?

 

 

【なぜ? ~辞めるのですか】

 早期退職にせよ、起業・開業にせよ 
まず最初に問い掛けるのは、「なぜ」=辞める理由・動機です。

 辞める理由にも2通りあります。

「今、従事している仕事が原因なのか?」
「今勤めている会社が原因なのか?」

 例えば今の仕事が自分に合わない、もっと他の仕事に就きたい。
将来的に今の業務はIT化の前に合理化が必至と判断した。
これらは前者の「仕事に原因アリ」のカテゴリーになります。

 コロナ禍の中、会社の将来性に大きな不安要因が生じたから。
今の職場での人間関係が悪化したから。
これらは後者の「会社、又は職場に原因アリ」となります。

 一時期は早期退職勧奨制度で公表された大幅な割増退職金が
引き金となるケースも多く見受けられました。
さほど人間関係は悪くなくとも、会社の将来性を考えた結果や、
以前から考えていた新しい仕事の資金のめどがこの退職金でついたため、
といった理由から決断したものでした。
(なかには短絡的に金額だけに飛びついての後先考えない退職と言う例も)

 他にも、 
魅力的なヘッドハンティングの申し入れがあったからとか、
念願の資格取得が叶ったので独立の好機と考えたから、
元々予定していた親の事業を継ぐことになったから、
親友と会社を設立することになったから

 など等、個々の事情によって多様な理由が生じてきます。

 

 理由の是非はここでは問いません、
ですが、絶対にやってはいけないことは
「辞める理由を他責にはしない」ことです。

 あからさまな肩たたきやリストラ強要でなければ、
あくまでも自己責任で、なぜ会社を辞めるのかの理由を決めることです。

 今でも少なくないのが、
同僚が脱サラで成功したのを目の当たりにして
書店で見た独立成功者の自伝に感銘してといった
「他人の成功を理由にする」ことも立派な他責です。

 何度も書いてますが、現職で肩書のある方、
重責を担っている方ほど他人の成功を見て
自分なら、より以上の成功は間違いなしと考えがちです。

 さらには、今の流行りの仕事だから、
成功者の多くがその分野の素人だったから
等の様に、全く根拠のない理由だけで決断するケースも
実際にあるのです。

 せめて、
仕事を辞めたいのか、会社を辞めたいのかくらいは
明確に自分自身で納得いくまで考えて欲しいものです。

 

 

【いつ? ~いつまでに辞めるのですか】

 前述した早期退職勧奨が理由の場合は、
募集期間と言うタイムリミットがあります。

 これ以外の場合でも、
例えば定年後の起業や再就職を目指すのであれば何年以内に?
在職中に行動を起こすのであれば、何時から始めるのか?
早期退職するならば、定年の何年前までにといった目標を立てているか?
特に在職中に資格取得を目指すのであれば、何年後の国家試験受験を
目指すのか、1発合格のためには逆算して何才から受験勉強を開始するのか?

 計画を立てる場合は、
必ずゴールを先に想定し、今に至るまでの時間管理を逆算します。
例えば辞める1年前までにここまでを済ませる、
その為には今から始めないと間に合わない、
あるいは、年内にはスタートが必須と言うように
理由のしっかりしたスタートラインを決めることに繋がるのです。

 他の時間軸を基準とする場合もあります。

 既に在職中から週末副業を始めており、
ビジネスとして十分軌道に乗り、将来の生活の保障は十分可能となれば、
その確信を得た時に会社を辞めるといった時間軸が想定出来ます。

 もっと漠然としたものでは、
子供が就職した、子供が結婚で家を出て夫婦二人暮らしになったから、
さらには離婚が成立したからなどと言った家庭環境の変化を理由に
会社を辞めるタイミングを図る場合もあります。

 ざっと見ただけでも、
辞めるタイミングにこれが正解と言うものはありません。

 ただ、資格試験に合格したら、調理師免許を取得したら、
といった期限を定めない目標設定では、ズルズルと時間を浪費し、
結局定年まで何の見通しもないまま会社に居続けたとなり兼ねません。

「資格を取ったら辞める。副業が軌道に乗ったら辞める。」ではなく
「いつまでに辞める、その為いつまでに資格を取る、副業で利益を出す。」
という視点で辞めるタイミングを決めて欲しいものです。

 

 

【誰と? ~生計を一にするのですか】

 ここからは起業や再就職した場合の新しい生活を迎えるにあたって
考えておくべき項目となります。

 早期退職でも、定年退職でも、あるいは起業・独立の場合でも
生計を一にする家族がどういう構成なのかは重要なポイントになります。

 

 仮に夫婦と子供といった一般的な家族構成であっても、
共働きの夫婦の場合と専業主婦の場合では、旦那の収入変動の影響には差が生じます。
また、子供と言っても既に就職して自活出来ていての同居の場合と、
まだ扶養家族である子供の場合とでも大きく状況が変わってきます。

 子供の場合と同様に親に関しても、
仮に、親も現役で会社勤めをしていたり、自営業を営んでいれば
親の生活費の負担は気にしなくてもいいはずですし、
無職であっても、年金受給だけで十分生活出来ていれば、
子供世代には経済的な負担とはなりません。

 逆に無収入の親の場合や、
入院や入所などで毎月継続的に費用が発生する場合では
馬鹿にならない固定的な出費を確保しておく必要があります。

 補足ですが、離婚してひとり暮らしになるケースや
離婚後に再婚したものの、先妻との子供への養育費が課せられているなど、
経済的負担が軽減する場合も、却って増加する場合もあります。

 新しい仕事に就いた場合に、
自分の収入で誰を扶養するか? この課題も個々の家族構成で千差万別です。

 

 

【どこで? ~暮らすか、働くか】

 どこで暮らすか? 自分の住まいの面で言えば、
仮に再就職や転職で地方へ異動となれば、
今の住まいの扱いをどうするかが問題になります。

 賃貸物件であれば、仕事の内容によっては収入減になる為、
高額家賃の今の賃貸から転居しなくては行けないという事態も生じます。

 持ち家のマンションでも油断は出来ません。
経年劣化によって管理費や修繕費の負担は年ごとに大きくなり、
加えて老朽化への臨時の対応や、耐震工事の費用負担の突然の発生など、
ローン完済後も無視できない費用の発生も想定しておく必要があります。

 第二の仕事との関係で言えば、
今の住まいでの暮らしが最優先で、通勤圏内で再就職や起業を考えるのか
はたまた仕事優先で、住まいについては場合によっては売却や転居も辞さない
という考えなのかでも大きく事情は変わってくるのです。

 

 どこで働くか?は特に自営業で販売店舗を持つ場合が問題です。
需要は見込まれるが既に最激戦区となっているエリアにあえて出店するのか?
競合が皆無の新興住宅地に、先陣を切るのか?

 さらにそこは自分が扱う業務上のユーザー層が見込まれるエリアか?
(小中学校、病院や市役所等の公的施設、新興のニュータウンが隣接等)

 また、いくら人流が多い地域であっても、
肝心の自分の事業にマッチするユーザー層がそこに存在するかどうか?

 新たに自分が取り組む仕事(自営業)は

ビジネスマン向けの仕事か、
家庭の主婦向けの仕事か、
お役所向きの仕事か、
娯楽に向けた仕事か、
若い男性向けか、女性向けか、
子供向けの仕事か?
シニア世代にマッチしたした仕事か、

 これらの課題をクリア出来るエリアでの出店でなければ、
思い描くような成功は難しいでしょう。

 

 単純に朝晩の通勤客が多いから、
商店街が賑わっているからといった
うわべだけで判断することは絶対避けたいものです。

 

 

【どうやって? ~稼ぐか、稼げるか】

 そして、最後のひとつが
「どうやって生活を維持するだけの収入を得るのか?」であり、
「どういう仕事でそれを叶えるのか?」です。

 その為には、必要な収入はいくらなのかを知っておく必要があります。

 新たな仕事で得ることが見込まれる収入で、

今まで以上の生活を目指すのか?
今までと同じ水準の生活の維持を目指すのか?
共に無理であっても、何割減までならとりあえずは暮らせるのか?

 生活費の目標、又は最終防衛ラインについて
予め想定しておくのは当然すぎる案件です。

 

 いくら自分が好きで、適性があったとしても、
その収入で現状の4人家族の生活を今まで通りで維持できるのか?

 この問題は、実は先に挙げてきた様々な項目と密接に関係してきます。

 再就職後、起業後はひとり暮らしになる、
子供が独立して夫婦二人の生活になるので一定の収入減は許容出来る
と言った先行きであるのならば、防衛ラインの引き下げは可能です。

 その逆に、予定外に子供が就職浪人となった、
あるいは就職して家を出ていた子供がリストラで遭い
実家に出戻ったとなれば想定以上の人数を支えるような収入が前提となります。

 

 可能な限り、出来れば今後10年以内に想定出来る事態を
それぞれプラス項目とマイナス項目に分けて考えてみるのです。

 年金受給開始はいつから 月額で幾らの収入が発生になる。
 子供が就職で実家を出る、あるいは結婚で別居になる。
 ローンの返済がいつまでに終了する。
 築年数から見てこの辺りで水回りの改修は必須になる。
 同様に内外装の補修工事も視野に入れる。
 自動車所有の是非を考える(免許返納、軽自動車への買い換え等)
 
 より具体的な案件をピックアップしておき、
それに基づいて、対応する預貯金などの貯えや、
年金受給後でも最低必要となる収入額を想定していきます。

 事前にシミュレーションすることで、
転職や再就職、起業・独立の際に
「絶対に譲れない柱」を持つことが出来ます。

 

 起業・独立の場合であれば、
例えば起業後の何年間は赤字でも問題はない、
但し、それ以降は毎月〇〇万円は最低限稼ぐことが条件。
 
 あるいは、初年度から確実に黒字化する為には、
月々の売り上げと利益目標までを正確に設定する必要があります。

 こういったデータを基準として、
今自分が目指している再就職や転職先の業種で得られる収入が
導き出した最低限必要になる収入の目安をクリア出来るのか?

 取得した資格で起業した場合にも同様に、
安定的に目標となる収入を確保出来るのか?

 どうやってみても目標額には届かない、
その場合はどういう次善の策を考えるか?

 本音で言えば
自分が好きで、得意な分野で稼ぐことが出来ればベストです。
あるいは好きではないけど人よりは出来る仕事で稼げればいいのです。

 ですが現実はそう甘くはありません。
好きでもないし、やりたくもない仕事でも収入は確保できる仕事を
選択せざるを得ない場合もあります。

 長年慣れ親しんできた仕事を辞めて新しい仕事に就くのであれば、
まずは今の生活水準や必要な出費、削減可能な出費を正確に把握します。

 その後に、これまで紹介してきた各項目をクリアすることです。

 ただ、先に挙げた各項目はどれを優先するべきというものではありません。
気ままなひとり暮らしであれば、収入減少でも好きな仕事や、
やりたかった仕事に就けた方が満足度は満たされますし、
扶養する家族もいなければ大幅な減収も致命的な問題とは感じません。
家庭がある場合と独り者の場合では許される赤字期間にも大きな差が出ます。
~預貯金の多寡によっては同条件の場合もありますが…

 家庭がある場合であっても、
合意の上でダウンサイジングが可能であれば、
同様に収入の枠はある程度緩和されますから、
自分が得意な分野ややりたかった仕事への挑戦も可能になってきます。

 それぞれが置かれた環境によって優先順位や重要度は変化するものです。

 今の住まいから別の地域への転居についても
家族の同意が得られた場合と拒否された場合とでは、
当然ながら仕事の選択にも制限が課せられます。

 この様に、誰とどこで暮らすかによっても問題が大きく変動します。

 

 

【終わりに】

 コロナ禍の前は、まだ勢いや一時の感情で早期退職を決めて、
その後から再就職か起業・独立を考え始めるといった
無鉄砲なタイプがそれなりの数、存在していました。

 さすがに最近は影を潜めて、ある程度ここで紹介した
想定項目を自分なりに考えた結果を持っている相談者が主流になりました。

 とはいえ、そのような中でも、

「自分と全く同じ収入で、家族構成で、」
「立地的にも遜色ない好立地で」
「扱う商品はより多彩にしているので」といった理由、
実は数年前に脱サラして成功している同僚の後を追う
といった相談者がいました。

 彼は言外に
「だから、私の成功は間違いないです(よね?)」
「先生からもお墨付きをもらえませんか?」
と言っているのでした。

 でも、決定的に違う項目が一つありました。

 それが、開業時期です。

 全くの同条件、やや優位な条件で開業したとしても
時間軸だけは同じではないのです。

 同僚が出店した時には成功だったタイミングは
今も同じ(好機)であるわけがないのです。

 先にも紹介した人流の中身も、
新たな競合の存在も、取扱商品の旬も、年齢層の変化も
どんどん変化しているのです。

 全く同じ条件であれば通用すると考える時点で、
失敗のリスクが既に芽生えているのです。

 

 この相談者の他にも、しつこく問い質しを重ねた結果、
「その場にならないとわからない」
「そこは臨機応変?の構えで…」
 と言った甘い見通しを晒すようなケースが見受けられました。

 

 今や40代が早期退職の中心となりつつある中、
50代以上で会社を自らの意思で辞めると決断するのであれば、
次の仕事の選択は最初で最後の選択になるという自覚を持つことを
肝に銘じて、悔いのない行動を始めて下さい。

 

記事が参考になった方はクリック投票お願いします

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村 士業ブログへ

投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中
独りで思い悩むより「相談」から始めてみませんか?

まずはお電話で! TEL 03-5157-5027 月~金 10:00~19:00(土日は要事前予約)