【今日のポイント】

 私も今年の誕生日で64才、
いつどんな形で別れの時が来てもおかしくない段階に入りました。

 同世代の夫婦の悩みを聞いてみますと、
それぞれが先立つ場合、遺された場合、または離別した場合に
ほぼ共通する問題があり、それに関しての悩みを口にすることが
多いことに気付きました。

 今回は、死別でも入院や入所などによる生別の場合でも
夫婦にに共通する問題や悩みについて紹介したいと思います。

 

 なお、配偶者死亡による
相続や生活費の問題、老後のマネー問題については
既に何度も採り上げてきたので重複を避ける意味でも
今回は採り上げていません。

 

 

【1)遺されたシニア妻の場合】

 基本的には夫の職業に関係なく、
多くの場合、妻は近隣にコミュニケーションの場を持っています。

 専業主婦でもパート等で働いている主婦でも
年齢的に子供の「ママ友」は既に卒業して、
茶飲み友達なり趣味のサークル等の人脈を持っています。

 
 遺されたシニア妻の場合の問題として、
疎外感や孤独という問題は、ごく少数派のようです。

 多くの悩める問題は日々の生活にあるようです。

 例えば、田舎暮らしを続けていた方の例ですが、
それまで日常生活に必要な買い物や銀行や病院等へ行くには
ほぼ100%近く夫の運転するマイカーで済ませていたそうです。

  妻はもともと無免許で、自転車すらも敬遠していたのですが、
夫の死によって今までの当たり前が生活上の大きな障壁となったのです。

 
・街に出る場合は時間を調整して、便数の少ないバスに頼る。
・バスを逃したら長時間の徒歩で出向くしかない。
・自転車での移動を試みたが荷物を積んでの運転が出来なかった。
・自宅前の道路は昼でもタクシーを拾うのに苦労するほど閑散としている。

 これまでは時間も気にせず、天候も関係なく
必要な時に外出出来ていた日々を喪って、初めてその重みを痛感したようです。 

 この方は、バスの時間優先でその日の行動予定を立てることで
今も思い出の詰まった我が家で暮らしていますが、今後は体力の衰えで
バス移動に支障が出ないことを日々祈っているとのことでした。
 

 都市部に暮らしで生活に必要な施設は至近にあり、
加えて交通網も充実している場合でも悩みはありました。

 自宅内で不便を感じた事例です。

・壁掛け時計の電池交換や切れた電球の交換がひとりでは出来ない。 
・押入れの上段にある物の出し入れが出来ない、怖くて脚立に乗れない。

 ~もともと背の低い方で、この手の役割は全て夫だったそうで
やはり夫の死後に改めてその存在を痛感したそうです。

・家電品音痴で、不具合の原因が見当つかないし、直せない。
・一度外した配線を元に戻せない、ビデオ再生/録画が出来ない。

 ~全員がこうだとは言いませんが、
大半の妻は家電品の扱いには慣れているものの、
不具合が生じた場合や、動作チェックといった
アクシデントへの対応にはに苦手意識を持っており、
殆どの方が「取説」は未読、既に廃棄等
全て夫の専門分野として任せっぱなしだったそうです。

 解決策は常に子供への電話やメーカーの窓口に相談、
でもその際も「正確な不具合の状態の説明」が出来ずに
長時間のやり取りや間違った説明をして解決を妨げる、
といったトラブルに悩まされたという方が少なくありません。

 

 

【2)遺された夫の場合】

 遺された夫の場合、典型的な問題として挙げられるのは
夫が仕事人間だった場合によく見られる問題でしょう。

 まずは、会社関係の知り合い以外の人脈がないことです。
これまで毎日が自宅と会社の往復で過ごしてきた為、
地元や近隣に顔見知りと言える存在が全くいなかったというケースです。

 定年後の2,3年はOBとして会社の後輩を訪問して旧交を温めたり、
定年仲間との飲み会やOB懇親ゴルフなどで過ごすことが出来るのですが、
一定の期間を過ぎると次第に途切れがちになっていきます。

 会社で繋がっていた人脈は社内にせよ社外にせよ、
退職後は急速に接点が失われます。

 その時に学生時代からのサークル仲間や
幼馴染、社外での趣味の集まりといった関係を持っていなければ、
有り余る自由時間を持て余すことになってしまいます。

 このような状況で、
貴方の相手をしてくれるのは配偶者だけとなるのです。

その唯一の話し相手だった配偶者が、
いなくなってしまったら、その後の生活はどうなるでしょう?

 

 さて、遺された夫になった男性の場合、
場合によっては女性以上に自宅内での生活でも重大な問題が発生します。

 先に家電音痴は女性に多いと書きましたが、
実は男性にも別の形での家電音痴があります。

 以下は実際に見聞きした経験談ですが、
やはり仕事一筋、会社人間だった方の例を挙げてみます。

・掃除機は使えるが、ゴミの収納パックの交換が出来ない。
 収納パックの在り処が分からない、結果ダスキンの掃除しかしなくなった。
・洗濯機に関してはまず電源すら入れられない、洗濯コースの選択が出来ない。
 洗剤の投入口が分からない、投入量が分からない、漂白なんて論外…
・全てのキッチンの調理器具は生まれてこの方触ったことがない、
・電子レンジで時間設定が出来ない。現状のコースでしかチン出来ていない。
 為に解凍不十分なまま食卓に出す、アルミ包装のままチンして発火、大騒ぎに。
・米を研ぐことを知らず、さらに炊飯器を使えないため炊けない!

 実は上記事例は、ただ一人の方からの聞き取りでした。

 この方は就職後まで実家暮らしで、
家事を経験しないまま結婚し、今まで母親のしてきたことは
今度はそのまま妻任せで問題なく暮らせてきたのです。
 
 家電品で使えるのは趣味のオーディオだけだったという
今どき珍しいほどの家電音痴の強者でした。

 

 妻任せで生きてきた夫の場合、これに加えて、
自宅内のモノの在り処が分からないという問題もあります。

 自分の下着の在り処、夏物、冬物の保管場所がわからない、
剃刀の替え刃、トイレットペーパーの置き場所等の日用品についても
ほぼ同様でした。

 これに加えて、
保険証、ATMカード、運転免許証、通帳等の貴重品の保管場所も
全て妻任せで「おい、あれ」で済ませてきたツケが回ってきたのです。
 
 当然ながら日々の買い物も一人で行ったことはあるはずもなく、
稀に奥さんに同行しても店の場所や売り場を覚える意識は皆無、
ただただついて回っても荷物持ちに徹するだけの繰り返し。

 その結果、
何がどこで売っているのか?
何をどこで買っていたのか?
全く記憶にないのです。

 お買い得、タイムセール、特売日
という認識がない為、割高な品を平気で購入する。

 分量の適否が分からない為、何時も無駄に多く、
結局ゴミとして廃棄してしまう。

 なぜかブランド品ばかり購入で
無駄に高価な食材ばかりを選んでいる。

 金銭的にも大きな問題を生じさせるリスクが
生じることになるのです。

 

 男性の場合、
無知から招く心身へのダメージも気になるところです。

 まずは食事面ですが、
自炊など出来るはずがないし、やる意思もない。
その結果は出前やコンビニ弁当への依存となり、
偏った食生活の毎日となります。

 仮に自炊が出来た場合でも
栄養バランスや節制という感覚には乏しく
好きな食材を偏食していれば、出前やコンビニ弁当と
大差ないのです。

 家電品の扱いが覚束なければ、
掃除・洗濯をすること自体が面倒になり敬遠しがちになります。

 その結果は、
掃除や片付けをしない為に、室内はゴミ屋敷予備軍となり、
洗濯もしない為に、最期に服装は「着た切り雀」と化します。

 その後はついに24時間パジャマ生活となっても抵抗がなくなり、
行き着く先は引きこもり生活へ一直線という最悪のケースも!

 

 過度な偏食に引きこもり生活が重なれば、
当然ながら健康面にも大きな変化が生じます。

肥満症、高脂血症、高血圧、糖尿病、うつ病の発症リスクの増大。
最期は認知症の予備軍となる。
という最悪の流れを引き寄せることになります。
 

 やはり、具体的な問題を比較すると
男性が「取り残された」場合の方が命の危険にかかわる
ケースが多いようです。

 

 

【危険回避の為にはどうすれば?】

1)妻の側から

 例えば、
夫が既に退職して日中も自宅にいるようになった場合に
妻から出てくる愚痴の中に

「常に夫が家にいる、自分が出かけようとすると機嫌が悪くなる面倒な夫。」

 ~昼飯までには(夕飯までには)帰ってくるのか?
 ~俺の昼飯はどうなる?(夕飯はどうなる)
 ~だれと会うんだ? どこで会うんだ? どういう関係だ?

 ~私は貴方の保護者じゃない! 
 ~たまにはどこかに出かけてきてよ!
 
 という怒りを覚えて、険悪な空気になっていくとか…?

 ですが、妻側からすれば厚かましいことに
何故か夫側からの愚痴としても、この問題が出てくるのです。

「私が部屋にいるのに勝手に外に出て行ってしまう、面倒見が悪い妻」  

 この後に続くのが、
「自分が困ることが分かってるはずなのに」
「今迄(今でも?)誰のおかげで生活出来ている?」

 自慢になりますが、
15才から寮生活を始めた私からすれば、
掃除、洗濯、買い出し、自炊はやってみれば簡単に出来る事です。

 男性側の分が悪いとみるのは、至極当然なのですが・・・?

 ただ、妻の側からすると、
事情を知らない世間からすれば、見ようによっては
旦那を放置して自分だけ楽しんでいる妻と思われるのでは?

といった懸念も無いわけではないとのことでした。

 同様に夫側からも、
「教えてくれれば掃除のひとつ、洗濯のひとつもやってあげられる。」
「出かける用事さえあれば、家から出ない生活はしていない。」
 といった本音も聞こえてきました。

 何となく言い訳じみてはいますが、
夫側も問題意識は辛うじて認識しているのは確かと思います。

 

 この様な場合、
私は特に奥さんに対してはごく個人的なアドバイスとして、
以下のように伝えています。

「世間体は二の次、外出して友人との交流を楽しんで下さい。」
「但しそれと同時に、旦那に課題を与えましょう。」

 
 妻が在宅の日に、夫に対して
今日は掃除体験、その次の日は洗濯体験、さらに料理体験。
というように、「家事の教育的指導」を持ちかけるのです。

 夫の理解を得るなどの事前の準備は必須ですが、
子供に教えるレベルの詳細な解説と予行演習をしたうえで
無理のない範囲で自分の外出中に教えた家事を任せるのです。

 とりあえず家事全般(の基本)が習得出来ていれば、
その後万が一、妻が先立った場合や、長期の入院となった場合に
どれだけ我が身を扶けることになるでしょう。

 「貴方の為を思っての厳しい指導です?!」
 「家事に苦労する貴方の姿を見るのは耐えられない。」

という想いを前面に押し立てて、旦那に理解と協力を求めるのです。

 

 先に述べたように
旦那側もやることがあればやってみたいという気はあるのです。

 ひとつでも家事が出来るようになれば、
自信に繋がります。

 身につけば、
より妻の負担を軽減出来る=貢献したという満足感にも繋がります。

 達成感が重なれば、
その後もいろいろな家事の分担が可能になるのです。

 さらに一歩進めれば、
家事や室内作業だけでなく、町内会の連絡や会合の場に
自分(妻)に代わって出席するように仕向けるのです。

 遅ればせながらの近隣への顔見世? 
スムースな地域デビューの後押し迄をフォローします。

 こういった実績があれば、
「今日はあえて旦那に試練を与える為に、私は(あえて)外出している」
といった堂々たる大義名分を持てることになります。

 後ろめたさをなくして、友人との時間を愉しめるのです。

 

 

2)夫の側から

 対して、夫へのアドバイスでは、
まずは「自宅以外の居場所の確保」です。

 会社や自宅という従来の居場所以外に、
新たな活動の場を見出すことが自身の可能性を拡大させ、
第二の人生に積極的に向き合う姿勢に繋がります。

 新しい人脈との交流の中で、
意外な趣味との出会いも大いに期待出来ます。

 この動きに加えて、
「ひとりで楽しめる趣味、室内で出来る趣味」
を持つことも並行してお薦めします。

 
 親しい仲間で楽しむことが出来る共通の趣味があれば
それで十分ではないのか?と思われる方は多いと思います。

 私も2年前までは却って皆と楽しめる趣味を推奨していたのですが、
この2年間のコロナ禍による外出自粛や密の自粛によって
カラオケや屋内外での運動、果ては飲み会すら出来ない状況になりました。

 こうなると、一人で楽しめる趣味を持っていないと
自宅での「籠城生活」を続けるしかない中で、お手上げとなります。

 事実、
気の合う仲間との定例ゴルフやカラオケの会を趣味としていた方で
この2年間、仲間と会うこともままならず、一人で出かける事も出来ずで
うつ状態になった方がいました。

 楽器演奏や、ボードゲーム、模型製作等といった
一人で楽しめる趣味を持っていれば、今回のような状況下でも
それなりにストレスの発散、解消に繋がったはずです。

 屋内で、野外で、
団体で行う趣味だけに没頭するというのが
コロナ禍によって禁止されるというのも、
今回限りのアクシデントという保証はないのです。

 後付けの知恵になりますが、
特に先に挙げたような指先を多用する趣味を持つことは、
うつや認知症発症の予防になるとも言われてます。

 発症の予防を兼ねて、新たな趣味の発見を目指す。
これも意識しておいて損はないと思います。

 趣味を持つことの重要性の話の次は、
そのタイミングの問題を紹介します。

 よく相談者の男性が口にする言葉に、
「定年後は時間もあるので、ゆっくり自分にあった趣味を見つけます。」
というものがあります。

 気持ちが分からないでもないのですが、
出来れば「これからは趣味を十分楽しみます。」
であって欲しいのです。

「見つけます」ではなくて
「楽しみます」です。

 正直な話、
60才になって、定年になってから
初めて趣味を持ちたい、探したいと思っても
そう簡単に見つけられることはありません。

 まして他人から押し付けられたものが
そのまま趣味になるようなことはまずあり得ません。

 そのような場合の本音は、

この年になって今さら人様に(それも年下に)教えを乞うなんて…
そこまでしてやりたい趣味なんて考えつかないし…

 といったネガティブな見解を持つ方が多いはずです。

 
 かといって他にやることもなく、
その結果として、過剰に妻に依存することになったり、
最悪なのが既に退職した会社に出向いて在職中の後輩を捉まえて
昔話(多くは自分の武勇伝)を繰り返すといった愚行に奔ります。

 

 
 特に退職まで会社一筋、無趣味といった男性には、
上記の傾向がより強く、要注意です。

 加えて、趣味と称してのギャンブルへの過度な依存は
最重要な注意案件です。

 競輪・競馬などの公営ギャンブルや、パチンコや麻雀等には
その後の人生を破綻させるほどのリスクが内包されています。

接し方を間違えれば、いわゆる依存症に陥ります。

 
 ギャンブルの全てを否定的に捉える気はありませんが、
上手く付き合うには相当な自覚と自己管理能力が前提と
私は考えています。

 判断は、貴方次第です。

 

 最後に、
自宅以外の居場所と一人でも楽しめる趣味を持つことは
自分の為以上に、妻の為でもあるのです。

 妻にも、自分だけの時間と場所が必要であることは
今までの説明からお分かり頂けたことと思います。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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