【今日のポイント】

 コロナ以前は活発だった
50代後半のシニア世代からの起業や独立の相談も
この2年は影を潜めていました。

 それがこの10月に入り、
痺れを切らしたのか、緊急事態宣言の解除を受けてなのか
久しぶりに起業。独立の相談が相次いでいます。

 今日は再び活性化してきたシニア起業の今について
紹介していきたいと思います。

 

 

【年齢と起業の動機】

 シニア世代の中でも、
今は50代(それも前半の若い層)が圧倒的に多く
一時45才定年制のニュースで動揺していた
40代からの相談数を上回る勢いとなっています。

 ちょうどその時、日経新聞の掲載記事でも
同じような話が出ていました。(以下は抜粋です)

 日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、
起業(開業)した中で50才以上が占める割合は
2020年度に26,3%となり、1/4を突破したそうです。

 平均年齢を見ても、
1991年度の調査開始から過去最高の約44才に達しているとありました。

 シニアの起業の動機についても調査されており、

「自由に仕事がしたい」
「今までの経験、知識、取得した資格を活かしたい」

 この2つが理由だったそうです。

 前者の「自由に仕事がしたい」という動機の割合は、
調査データの中では断トツで、過半数を超え60%に迫る勢いでした。

 後者の場合も、ほぼ50%に近い比率となっていました。

 

 

【実際の相談事例の傾向】

 さて、実際に私がこの数カ月で相談を受けた中でも
ほぼこの2項目が上位を占めていました。

 約10年前、2010年前後の時代には
「自分を評価しない会社を見返したい」
「自分より能力の劣った彼が成功したのだから自分も成功間違いなし」
といった「ひとりよがりな動機」が過半を占めていたのですが、
2021年現在、この手の動機での相談者は皆無となりました。

 自由に仕事がしたいという起業志望者の多くは、
長年のサラリーマン生活という「宮仕え」から卒業したい、

 あるいは、
次の人生は自分の意思で、自分の判断でやりたい仕事に就きたい
という想いが強く前面に出ている方が多かったです。

 今までの知識や経験、資格を活かして起業したいというケースでも
やはり会社という組織の中で得ることが出来た経験や知識、
仕事の関係で取得した資格等を今度は自分の為に活かしたい
という想いを強く感じ取ることが出来ました。

 いずれにしても、
一時の思い付きや勢い、リベンジの為と言った理由で始めた起業とは
スタート時点から大きな違いがありました。

 最後になりましたが、
相談者の多くは企業の管理職や専門職のリーダーで
「バリバリ現役」「第一線で活躍中」の「会社にとっても有力な戦力」
となっている方々でした。

 

【一因はコロナ禍による仕事環境の変化?】

 このような「着実、堅実な動機」からの起業を目指すシニアが増加したのも
2年以上にわたるコロナ禍による「仕事環境の変化」によって引き起こされたもの
と、私は思います。

 朝夕の通勤時間が無くなった在宅勤務やリモートワークによって、
仕事以外に向けられる時間が増えたことで、今までの会社人生を振り返る、
自分の棚卸しをすることが可能(容易)になったことは間違いなく、
この結果として、目前に迫った第二の人生を考える好機に繋がったと言えるでしょう。

 

 棚卸や熟考の結果、
再雇用や転職という再度の宮仕えではなく、
次は自分のやりたい仕事に就くという選択をしたり、
今までは会社や所属部門に貢献する為に培ったスキルやノウハウを
今度は自分の為に活かしたいという想いが
起業・独立を目指すことに繋がったのでしょう。

 さらには、
コロナ禍においても根強いブームが持続した「週末起業」ですが、
これも時間の余裕が出来たことによって及び腰気味だったシニア層にも
この2年間で広く浸透、認知度が高まり次第に実践する傾向が増加したようです。

 中には既に「起業したも同然」の実績を挙げている方もいらっしゃいました。

 

 夢想論や机上の空論ではなく、
過去の実績や経験に裏打ちされたノウハウやスキルを有するだけでなく、
中には2年間の試行錯誤やプチ起業と言った「実戦経験」を経ての起業ですから
何もわざわざ私に相談する必要もないのでは?
というような相談のケースもここ最近の特徴と言えます。

 

 

【先立つものは何時の時代も重要】

 ただ、起業・開業の場合でも、やはり先立つものは重要です。

 私のような資格起業の場合は、比較的安い初期費用の投下で
開業は可能です。せいぜい事務所費用や業務で用いるOA機器の
購入といった程度(それでも50万円以上は発生しますが)
の初期投資で済みます。(これだけで成功するかしないかは別です)

 ですが、ネットビジネスや飲食業での起業・開業の場合は
店舗関係、取扱商品、その仕入れや宣伝、通販サイトの構築、
その他もろもろの開業費用が発生します。

 日本政策金融公庫の調査によりますと、
2020年度の開業にかかる費用の平均額は989万円、
ほぼ1千万円という巨費となっていました。

 やはり物販関係の場合は初期投下の費用は
事前に十分な精査の上、余裕のある資金を用意しなくてはいけません。

 前職が会社員の場合等では、退職金等の一時収入があります。
更には社内の積立金や投資信託等でそれなりの蓄えはあるでしょう。

 これを起業・独立の為に全額投入というのもアリ、でしょうが、
日々の生活費に加えてローン返済等がある場合、
初期費用に全額投入は、相当なリスクを覚悟しなくてはと思います。

 一般的には、公的資金等を活用した開業資金の調達を考えるべきでしょう。

 

 東京都の場合ですが、
「女性・若者・シニア創業サポート事業」
という支援制度があります。

 これですと55才以上のシニアの場合は、
1,500万円を上限に固定金利1%以内
融資する制度が使えます。
運転資金の場合は、上限は750万円となります。

 融資だけでなく、
都内の信金や信組とも提携して、資金計画や販路開拓へのアドバイスを
専門家から受けられるサービスも用意されています。

 以下にリンクを貼りましたので参照して下さい。
「女性・若者・シニア創業サポート事業」

 

 先述した日本政策金融公庫でも同様に、
55才以上を対象とした「女性・若者・シニア起業家支援資金」
として、新規事業、または事業開始後7年以内の方へ
7,200万円の融資(運転資金の場合は4,800万円まで)
が受けられる制度があります。

 さらに、その起業プランのノウハウ等に
従来にない新規性が認められれば、特別金利での融資となります。

 以下にリンクを貼りましたので参照して下さい。
女性・若者・シニア起業家支援資金

 

 他にも東京都の場合では、
中小企業振興公社による「創業助成事業」があり、
指定されたインキュベーション施設(調べる)を利用する等の条件を満たせば
年齢制限なしで最大300万円の助成金が支給されます。

 これも以下にリンクを貼りましたので参照して下さい。
創業助成事業

 

 

【成功と失敗を分けるものは】

 上記したような手厚い事業資金の支援はありますが、
やはり起業時の事業計画の出来如何で、活きた資金となるか
無駄な投資と化すか大きく結果が変わってきます。

 自分の経験からも頷けることですが、
3年間は赤字、最悪無収入でも動じない資金を用意しておく。

 4年目からは単年度での黒字化を達成する。
さらに可能であれば、4年目には初期の投資費用の全額回収。

 これが達成出来れば言うことなしです。

 

 ここで最も難しいのが
当初の事業計画が思うように進捗しなかった場合です。

 僅か半年で結果が出ないからと大幅に計画を変更したり、
取扱商品を早々に見切りをつけるような拙速は厳禁です。

 さらにこの反対に、3年間頑固に当初の計画に固執する、
というのも決して褒められることではありません。

 固すぎも柔らかすぎも成功の阻害要因となるのです。

 事業内容にもよりますが、
最低半年は当初の計画を遂行し、結果を分析します。
その結果思わしくない進捗であれば、
そこで計画の見通しや再検討を図るべきです。

 それをやってなお、3年間赤字、または無収入が続く場合は
根本的な見直しか、その事業からの撤退を視野に入れるべきでしょう。

 優柔不断な状態のまま
毎月回復不能な出血を続ける事だけは避けなければいけません!

 

 この場でも何度も言いましたが、
資金計画や事業の先見性なども差別化が出来ているような場合であっても、

開業のタイミングだけが狂っていた(早過ぎた、遅すぎた)為に廃業した。
開業場所に固執しすぎで競合激戦地で、廃業に追い込まれた。
ターゲット層の選定ミスで想定以下の実績しか挙げられなくて撤退した。

 といった失敗例は枚挙に暇がありません。

 僅かなミス(見落としや思い込み等)で全てを手放すといった
起業・独立の失敗の事例は決して他人事ではないのです。

 

 

記事が参考になった方はクリック投票お願いします

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村 士業ブログへ

投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中
独りで思い悩むより「相談」から始めてみませんか?

まずはお電話で! TEL 03-5157-5027 月~金 10:00~19:00(土日は要事前予約)