【今日のポイント】

 少子化、高齢化の影響で年々葬儀の規模は縮小化、
新しい葬儀の形が問われ始めた時に、輪をかけたような
コロナ禍による葬儀自体の「自粛」という状況の中で、
葬儀の様式はどう変わってきたのか?

 実際に参列したコロナ禍の葬儀の事例から
見えてきたのはこれまで考えもしなかったような
新しい葬儀の形でした。

 

 

【菩提寺の関係者との打ち合わせ】

 菩提寺以外で葬儀を執り行う場合も同様ですが、
従来は喪主予定者が最初の挨拶を兼ねて、諸事の打ち合わせを始めます。
葬儀の日時、参列者の概算、訃報連絡の手配や各担当の割り振りなど等…

 これが現在のコロナ禍の葬儀では 
主要な打ち合わせを含め殆どを電話とオンラインで済ませています。

 お布施に関しても、従来は葬儀当日にご住職に手渡しというのが普通でしたが、
今や菩提寺のHP(既に多くが開設してました!)に振込口座が設置されており、
事前のオンライン決済で済ませられるようになっています。

 

 

【葬儀社との打ち合わせ】

 これも従来は菩提寺以上に決めることが多く、
ある意味最も煩雑で、決め事が多岐にわたる為、
まず1回で終わることはないと言われてきました。

 これも今では大きく変わっていました。
実際に葬儀社のスタッフと対面で話したのは
故人の最期を看取った病院での挨拶のみ、
その後の葬儀の日時や規模、会場設置やスタッフの人数、返礼品の決定等は
全てメールやネットで資料を送ってもらい話で確認し、決めていく
というステップが葬儀社のお勧めだそうです。

 中には病院での打ち合わせ以降、
一度も葬儀社のスタッフと対面で会ってないまま葬儀本番を迎えたものの、
特に問題も発生せず、却って手間もかからず、気苦労もない葬儀で
結果的には良かったと思うという遺族の方もいらっしゃいました。

 

 

【通夜、葬儀・告別式】

 最も大きく変貌したのがここの部分でした。

 従来であれば、
まずは通夜ぶるまいをどうするかで延々協議し、
喪主の挨拶や遺族の役割分担などで苦労し、
通夜の間も概ね2,3時間はかかりきりになる為、
精神的にも肉体的にも遺族の負担が大きかったのです。

 これが今回の多くの事例では様変わりしてました。

 感染リスクを避けるという名目で通夜をしない、
この方式に切り替えることに抵抗がなくなりました。
その結果、通夜ぶるまいも無しになったのです。

 おかげで遺族や近しい親族だけで通夜を過ごせ、
却って落ち着いた雰囲気で故人の思い出を振り返ることが出来たそうです。

 

 本番となる葬儀・告別式も同様で、
通常ならば弔辞の紹介や喪主挨拶、参列者の受付、休憩所への案内や
挨拶などに忙殺されて、小規模でも2時間前後はかかっていました。

 これも密による感染リスク拡大を理由に、
遺族と近しい親族だけの家族葬に切替えることが容易で、
同時に事前連絡で故人の会社関係や友人関係の参列を遠慮願ったのです。

 この為、会場も最少の部屋で済み、控室も不要、
参列者用の各種の用意も不要で、費用面でも大幅に削減されたのです。

 出棺前の喪主挨拶も省くことが出来、
棺への花入れも少人数で済ませ、粛々と進めることが出来ました。

 正確ではありませんが、
概ね式の開始から1時間前後で、全ての式が終了したと思います。

 

 先に書いたように、お布施も既に「振込済み」ですから
手渡しのタイミングに悩んだり、お布施の「気持ち=金額」で
あれこれ言われることもなく、非常に気が楽だったそうです。

 

 ある葬儀に参列後に、
喪主の相談者と話す機会があったので、
コロナ禍の葬儀を執り行った苦労を質しました。

 

 故人の長男であり、喪主となった相談者で、
当初は、従来通りの葬儀を行う予定だったそうです。

 その場合の厳重注意事項をピックアップしたのが以下のものでした。

 

1)参列者の吟味

 訃報連絡を誰に出し、参列者をどう選別するか?

 特に遠隔地からの参列をどうするか?
 親族とはいえ高齢者の参列をどうするか?

 ある程度故人から連絡先の人選は確認していたようですが、
このコロナ禍で県外者の参列や高齢者の扱いに苦慮したそうです。

 

2)参列者への配慮

 具体的にはマスク着用の徹底と検温の実施です。

 中にはマスクを忘れてきた、
あるいは途中で無くしたというケースを考慮し
こちらで揃えておく必要がある、同様に検温の際の器具の用意、
検温場所の設置と担当者の選任をしなくてはいけない。

 これも参列者の有無で大きく変動するもので、
過不足ないような備えを考える事にも苦労したそうです。

 

3)除菌、消毒

 会場の全ての入り口前にアルコール消毒の器材の設置、
その為の専用スタッフの用意が必要になります。

 さらに控室や座席、化粧室などの消毒の徹底。
ここも別途専用スタッフを用意するとのことでした。

 ですが菩提寺にはスタッフが3人しかおらず、当てに出来ません。
さらに相談者は一人っ子で身近には親族がいないため
スタッフは全て雇わなくてはいけない=高額出費必至
になる点にも頭を悩ませたそうです。

 

4)換気

 菩提寺が都市型寺院であった為、葬儀場は地下に設置されてました。

 この為外気との十分な換気が不可能であったため、
レンタルでかなりの規模の換気装置を用意する必要があったそうです。

 

5)密を避ける

 参列者のソーシャルディスタンス厳守の為、
本来の会場の収容人数の1/2以下で座席を用意することに。

 焼香も並ばせることは密になる為、
一人が終えるまでは次の順番の人でも席を立たない
という方式をするしかなかったそうです。

 参列者の人数を減らしても、
ここでかなりの時間がかかる=密状態になること
が事前に想定出来たのですが、有効な対策はなかったそうです。

 

6)飲食の自粛(禁止)

 通夜をするなら通夜ぶるまいを、
葬儀の際も茶菓の用意は欠かせない為
どうしてもある程度の密集が避けられなかったそうです。

 さらに、ほぼ不可能と思ったことが
参列者に無言の飲食を強いることだったそうです。
遠路駆け付けた故人の友人や知人同士、
高齢になった親族間の会話を禁止することは
年下の喪主には相当な苦行と思ったそうです。

 

7)弔辞、喪主挨拶

 飛沫のリスク、密集のリスクを考えれば
弔辞の取り止め、喪主挨拶の簡素化の徹底を図る事が求めらました。

 ここでも親族や旧友の想いを断ち切ることになり、
これも年下の喪主には頭の痛いことだったそうです。

 

 

【新様式の葬儀の結果は】

 上記の問題を家族を交えた何度かの協議の結果、
冒頭に紹介した簡素化した葬儀を決めたそうです。

 この大英断のおかげ?で
その後に続く初七日や49日法要も躊躇なく取り止めすることが出来たそうです。

 喪主の方は
「いかに従来の様式の葬儀が世間や見栄に支えられていたかを痛感しました。」

「でも、コロナ禍という名分がなければ今回のような葬儀は出来ませんでした。」

 

 つい、意地悪な質問で
「貴方の葬儀の時は家族にはどう伝えますか?」と尋ねたところ、

「もう息子には今回のような家族葬でいいからと伝えてあります。」と即答でした。

 

 その後、菩提寺と葬儀社の関係者にも同様の話を伺いました。

 両者にとっては目の上のたん瘤のようなコロナ禍のダメージと言いつつも、
「コロナ以前から最近は葬儀すらしない直葬が増加していました。」
「それに比べれば、小規模とはいえ葬儀を行ってくれれば御の字です。」
という回答でした。

 

 コロナ禍が終息した新しい時代になった時、
葬儀の様式や常識はどのように変貌しているのか?

 そこに行政書士として新たな役割はあるのか?

いろいろと考えさせられることの多い経験でした。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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