【今日のポイント】

 2年前の2019年に相続法の大改正が行われました。
基礎控除の見直し等、これまで相続税に無縁だった階層も
他人事ではなくなった改正はまだ記憶に新しいと思います。

 今検討中なのが、これに続く改正(見直し)として、
贈与に関しての抜本的な改正です。

 現時点で表面化している改正内容について紹介したいと思います。

 

 

 

【非課税枠の廃止や縮小】

 繰り返しますが、現時点ではまだ検討の段階の話です。
実施されるか、された場合もいつからなのかは現状での推定という点を
お忘れなく。


1)暦年贈与の見直し

 
 現在は、年間110万円までの生前贈与であれば 贈与税非課税が適用されます。
これに対し、2つの案が検討されているようです。

 ひとつは、暦年贈与非課税自体を廃止、相続時精算課税に集約するというもの。

 もうひとつは、暦年贈与非課税制度は維持するものの、
現状相続発生前3年以内の分については、贈与ではなく相続財産と見做しているものを、
相続発生前10年から15年以内を相続財産と見做すというものです。

 どちらにしても、ほぼ生前贈与は認めず相続税へ集約されるという意図のようです。

 さらに、
この改正は早ければ1年後の2022年中には施行される可能性があるようです。

 発端は2020年12月に政権与党が発表した「令和3年度税制改正大綱」です。
ここに「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から
現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度の在り方を見直す。」
という文言が表記されてました。

 どうも暦年課税の恩恵を享受しているのは、
殆どの場合、富裕層だけだったという点が問題視された為のようです。

 

2)教育資金一括贈与、結婚・出産・子育て資金贈与、
 住宅取得資金贈与の特例の見直し(または廃止)

 教育資金一括贈与の特例は、
30歳未満の子や孫に一人につき1,500万円まで非課税というもの。

 この特例制度は、2023年3月末までが期限となっています。
ここで採り上げた特例中最も利用頻度が高く、約23万件でした。

 
 結婚・子育て資金贈与の特例は、
20才以上50才未満の子や孫等に1人につき1,000万円まで
結婚、出産、子育ての資金を非課税で贈与出来るというもの。

 こちらも、2023年3月末までの期限となっていますが、
昨年3月末時点の利用実績では、約7千件と予想外に少なく、
この実績からも制度自体の存在価値が疑問視されたようです。

 住宅取得等資金の贈与の特例は、
20才以上の子や孫等に一人につき最大で1,500万円までの
住宅購入資金を非課税で贈与出来るというもの。

 この特例については、今年の12月末でいったん終了となります。 
現時点ではそのまま廃止、または上限金額の大幅削減での継続
の2案が検討中だそうです。

 

 これらの特例も、暦年贈与と同様に
富裕層の家族間での資産移転を利するだけという批判が強く、
廃止(見直し)の方向での検討が進んでいるとのことでした。

 

3)生命保険で最低500万円の相続税非課税枠が使える
 
 これも非課税枠の縮小方向での見直しが検討中です。
とはいえ、こちらは早くとも4年後の実施について検討中で
上記に比べて具体的な内容についてはまだ不確定のようです。

 

 

【期限を設ける】

 ここで紹介するのは、これまで期限を設けていないことから
行政に支障をきたしている事象への対策という位置づけのようです。

1)不動産の相続登記に期限設定

 これは既に孫が相続しているにもかかわらず、
名義人が祖父のままだった等で所有者の確定が困難になったり
法定相続人が多数にわたることで争族化するなどの問題への
対応として、これまでは放置されてきた相続登記の期限に
枠(と懲罰)を設定したものです。

 相続後3年を経過しても登記手続きを済ませていない場合に、
10万円の過料が課せられることになるようです。 

 3年後からの施行の見込みとなっています。

 

2)不動産所有者の住所変更登記が新設

 これも上記と同様に、所有者が転居した場合でも
住所変更届が義務化されていなかったことで不都合が生じていたことへの
対策としたものです。

 今回の試案では、転居で住所変更が生じたにもかかわらず、
その届出をしないまま2年を経過すると、5万円の過料が課せられます。

 

 

【新設される制度】

1)土地の所有権放棄が選択可能になる

 現状では遺言や分轄協議等で相続した不動産は、
相続人が管理し続けなくてはいけませんでした。

 例えば山奥の土地や超遠距離にある土地の場合等、
相続人が絶対に利用しないような土地であっても、
売却や寄贈しようにも全く相手にされないような土地であっても、
その管理責任を負うことになっています。

 これが新制度によって、所有権放棄という選択が可能になります。

 

2)不動産一覧を行政が発行する

 現状では、故人名義の土地を調査する場合、
名寄帳などから相続人や親族が自身で探すしかありません。

 これを行政が「不動産一覧」の資料を用意することで、
スムースな不動産財産の調査、確認が可能になるものです  

 共に、3年後の制度新設が予定されているようです。

 

 

【補足】

 最後は、より具体性には欠けていますが、
金融所得課税の強化も、検討中ということでした。 

 要は、株取引や投資信託で得た配当や譲渡益に課せられる
税率を現行の20%から引き上げるというものです。

 当初は25%への引き上げ案だったそうです。
ですがこれは、市場への影響が大きいという政治的判断で
棚上げになったようですが、再び検討再開のようです。

 

 今回の改正案は、2019年の相続法改正に比べ、
富裕層に対して、よりシビアな課税を目指すような内容です。

 とはいえ、暦年贈与非課税や住宅取得資金贈与などは
富裕層でなくとも庶民のささやかな相続税節税対策として、
利用しているケースも少なくはありません。

 少子化の対策としても、上記以外にも出産・子育て資金の贈与は
それなりの効果は期待出来ると思います。

 果たして、最終的な改正内容がどうなるのか?

今後も新しい情報が入手出来次第、この場で紹介したいと思います。

 

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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