【今日のポイント】

 今や23区内の人気の住宅地でも存在し始めた「空き家」

 自分たちが住む予定がなくとも「家」はおカネがかかるものです。
固定資産税は言うまでもないことですが、それ以外の少額ながら
日々発生する可能性のある費用や経費については意外に意識が希薄です。

 今回は改めて空き家を維持する際に発生する費用について
紹介したいと思います。

 

 

 

【空き家の実態】

 まず、空き家の実態について紹介しておきます。
総務省が5年おきに調査する「住宅・土地統計調査」によりますと
2018年の調査で全国の空き家は848万9千戸だそうです。

 住宅総数に占める割合は約14%に達し、
これは過去最高になったということです。
7戸の住宅があれば1戸は必ず空き家という計算です。

 

 戸建ての場合は、
外観からも何となく人の気配がない家というものは分かります。
ですが、マンションの場合は最近は外観上や安全面から
ベランダでの布団干しが禁じられるケースが多く、
夜もひとり暮らしの場合は遅くまで明かりが灯らないことも普通で
一見しただけでは入居数が確認出来ません。

 加えて既にコロナ以前から
近隣との繋がりはほぼないという状態が続いており
隣が数年間空き家だったことに最近になって知ったというケースは
少なくありません。

 見えないところで
あなたの周囲でも空き家の増殖は進んでいるかもしれませんね。

 

 

【不動産への課税】

 基礎中の基礎ですが、
固定資産税の課税計算は簡単に言えば
「課税標準額」×「税率」で固定資産税の税額が算出されます。

 この課税標準額というのがポイントです。

 家屋については、
経年劣化を考慮した現時点での家屋の評価額がこの課税標準額になります。

 土地については、
「公示地価」の約7割をめどに評価額を引き下げる特例があります。

 例えば土地について、
200㎡以下の部分については固定資産税は評価額の1/6に
市街化区域に該当する場合は都市計画税は評価額の1/3に減額されるのです。

 200㎡を超える土地を所有する場合超えた部分に対しては
固定資産税は評価額の1/3に、
都市計画税は2/3に減額されます。

 但し、
空き家になって長年管理を放棄し、放置状態を続けていると
この特例の対象から外されます。

 

 2015年に施行された「空き家対策特別措置法」等によって
自治体は空き家を調査し、保安や衛生面で周囲に著しい危険や有害の原因となる
と判断されれば「特定空き家」と指定されます。

 指定後は自治体からの「助言・指導」が入ります。
これによって所有者は修繕などの対応を求められますが
従わない場合には「勧告」となり、特例の対象から外されます。

 さらに進めば「命令」となり、
50万円以下の過料が課せられます。

 さらに最後は「行政代執行」
空き家は自治体によって解体され、その費用は全て所有者に課せられます。

 都心の一等地でなくとも、
地方の小都市の場合であっても、
隣近所に日常生活を送る家がある場合、
「今後誰も住まないことが確実な空き家」
が相続財産として存在するのであれば、
早期に相続人同士でこの問題への対処法を決めておきませんと、
上記の様にどんどん「持ち出し」は増加し続けることになります

 

 

【都市型空き家の問題】

 さて、最近目立ってきたのが冒頭にも触れましたが、
東京23区内にある最寄りに鉄道駅等の公共交通機関があるような
恵まれた立地条件の中に発生してきた将来の空き家候補の問題です。

 実際に、中央線沿線の中野区や杉並区でこのような事例を
見聞してきました。

 これらに共通する特徴としては、
親世代が揃って、又は遺された片親が入院や入所で
まだ相続の発生には至っていないものの
実家から退去、又は長期空き家のやむなきになったケースが
多いという点です。

 東京に暮らす方はお判りでしょうが
この沿線は古くからの住宅地で
道路も区画整理がされていないこともあって狭く
一応は対面通行は出来る道路ではあるものの、
すれ違いには難渋する幅でしかないケースが目立ちます。

 さらに駐車場のスペースもない戸建てが多く
公共の駐車場もほとんど無きに等しいのです。

 当時はまだクルマ自体がそこまで普及していないときに
土地が整備され分譲住宅地となったためにこのような
状況が今に続いているのです。

 家屋自体も隣家とは生け垣だけで境界線を接しているような
いわゆる「密な立地」というのが特徴です。

 とはいえ、
山の中の一軒家ではなく、区内の住宅地です。
電車で小一時間もすれば容易に行き着ける場所ですから
定期的な訪問による家の管理や庭掃除に出向く事自体は
さほどストレスにはならない環境ではあります。

 
 この点が、却って意外に高い維持管理費に繋がるのです。

 

 

 

【住まなくても負担する経費】

 以下に代表的な経費を紹介します。

・固定資産税、都市計画税
  不動産を所有すれば、避けられない経費です。
 23区内の住宅地ともなれば、僻地の空き家とは訳が違います。
 立地や周辺環境によっては年間10万円台の税負担は避けられません。

 

・水道光熱費
  空き家の掃除や家財の搬出入のような要件がある場合、
 やはり水道や電気は使用が避けられないでしょう。

  掃除の際には掃除機を使い、季節によってはエアコンも稼働させるでしょう。
 最低限トイレは必須ですから水道も使える状態にしておくことになります。

  これらの費用は仮に基本料だけとしても、
 年間で5万円前後は最低でも発生するはずです。

 

・庭木の剪定や除草作業費
  戸建てで庭がある場合、多くは庭木を植え、生け垣を設置してます。
 剪定や除草作業を全て自分(や家族)でやれば費用はゼロです。

  ですがこれが年1,2回だったとしても
 その為の時間のやりくりや年々衰える体力を考えれば
 専門業者への費用の発生は避けられないでしょう。

  その場合、広さにもよりますが一般的なケースでも
 やはり1回あたり4~5万円はかかるとのことでした。

  費用をケチったせいで腰を痛めた、手足に傷を負ったということで
 予想外に高額な治療費が発生したケースや、台風等の自然災害によって
 放置していた自宅の庭木が倒れた結果、通行人にけがを負わせたり、
 隣家の屋根や外壁を損壊したといったケースもないわけではありません。

  庭木を思い切って全て撤去したとしても雑草の手入れは残ります。
 雑草が生い茂れば不法ごみのかっこうの投棄場所にもされ兼ねないのです。

 

 ・火災保険料
  先にも述べたように、隣と近接しているような立地が問題です。
 万が一の失火元になった場合に備えて火災保険は不可欠な費用となります。
 さらに屋根の補修を怠った結果、強風で瓦が剥落し周囲に損害を与えるケースも
 想定する必要があります。

  これも契約内容によってケースバイケースですが、
 年間2~3万円は負担することと思われます。

 

・警備保障費用
  最近は勝手に住み着くホームレスの問題があります。
 盗難や破壊は無論ですが、廃棄物の放置、火災のリスクを考えれば
 隣家に管理を頼むだけでは不十分といえるでしょう。

  これも契約内容によって金額は様々です。

 

 以上、
ざっと見ただけでも年間25円前後の費用が発生するのです。

 これを必要経費と見るか、過大な負担とみるかは個々の事情に拠りますが
さらなる問題はまだ親が健在のうちは親の資産で賄えます。

  ですが、将来相続が発生した場合は
この費用全ては相続人がそのまま受け継ぐことになります。

 

 いっそのこと、家を解体して更地にすれば
無駄な光熱費も警備費用も、補修費もかからない?

 その分固定資産税は6倍になるということを覚悟すればの話ですが…

 

 まだ推測ではありますが
23区内の住宅地での空き家の場合、
今後は自然災害のリスクを考えると(特に首都圏地震)
所有者への管理責任を問う傾向はより強まることは必至といえます。

 ここに書いたような条件に合致する方の中で

・親が暮らす実家の固定資産評価額を確認していますか?
・契約している火災保険などの内容(費用等)は把握出来ていますか?
・過去に実施しているならば、庭木の剪定や屋根や外装の補修費用を
 親から聞き出していますか?

 いずれは負担する可能性がある費用です。
親子間で情報の共有化と空き家への対応について
考えてみてもいいのではないでしょうか?

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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