【今日のポイント】

 長期化するコロナ禍によって仕事のスタイルの変化になじめない。
将来的に今のままで大丈夫だろうかといった不安が生じています。

 サラリーマンも自営業者も分け隔てなく(?)この不安定な感情が
浸透している中、ネット上での憂慮すべき傾向が目に付きました。

 今日はそのことについて紹介したいと思います。

 

 

【焦燥と不安】

「やる気はあります!」

 今の時期に限らず、シニア世代に限らず、
再就職や起業・独立の相談の際にほぼ必ず耳にする言葉です。

 ですが「なので、こういうことを今実行してます。
と続くケースが非常に少ないのも事実です。

 実行していなくとも、
せめて「実行したいのですが、何から始めるのが私にとっては最適でしょうか?」
「自分ではこれをまず手掛けてみたいのですが、正しい判断でしょうか?」
という問いかけであれば、こちらも次に質問することも、提案することも可能なのですが
多くの場合「何をしたらいいでしょう?」という丸投げが目立ちます。

 今の時代、やる気だけでは若年層でも夢を叶えるのは難しい状況ですから
シニア世代ともなれば、より具体的なイメージだけは事前に構築して欲しいのですが。

 今日はそのような「迷えるシニア世代」や
「やる気と行動がマッチしていない世代」を中心に、
ネット上にいろいろなビジネスチャンスを謳うサイトが登場しているようです。

 出社制限やリモートワークの長期化によって
今のままの仕事で将来この会社は大丈夫か? 自分の将来像が見えてこない!
と言った漠然とした不安を持った方は確実に増加しています。

 さらに、逆にこの事態を好機到来として
起業・独立に関心を深めている方も同様に増加傾向にあるようです。

 リモートワークが恒常化する中、仕事の合間や業務の終了後も
ネットを接続し続けて今までは目に触れることのなかったサイトに
検索を拡げ、思わぬ「出会い」をするというケースが増えてきています。

 根底に漠然とした仕事への不安や不満を抱えている為に
自然と「成功・チャンス」「独立・収入アップ」という言葉に
反応してしまうのです。

 やる気があることで却って陥穽に嵌まってしまうのです。

 

 

【実際のパターン】

 事実、私の周囲でも「これに賭けます!」
という相談というか、同意を求めるようなケースが
出てきたのです。

1)52才:営業職の中間管理職
  中堅のメーカー販社の課長職の方でしたが、
 ご多分にもれず売り上げの減少で収入も減額の連続、
 営業力には自信も実績もあるという方でした。

  実は何度か転職・独立の相談を受けた方でもあり、
 どんな仕事でもやる気だけは負けません!が口癖でした。

  「このままではじり貧、まだ定年まで10年近くあるが
 無事に全うできるだろうか? 退職金もどうなるか?」

  事情は理解出来るものでしたが、
 典型的な「やる気だけしかない」
 具体性に欠ける将来展望である点を指摘し、
 私の口癖である「やりたい仕事、出来る仕事、得意な仕事、好きな仕事」
 の分類を時間をかけて精査することを奨めていたのです。

  何とか軽挙はやめたものの、依然として不安を抱えた状態で
 リモートワークの日々の中、偶然「ネット上では評判の高い」
 ある商材のネット通販ビジネスに関するサイトを見つけてしまいました。
 
  本人曰く、今の自分の不安を見抜いているような内容でした。
 既に多くの会員の成功譚が掲載されており、内容も具体的、
 自分より年上の方も、全くの事務屋だった方も1年以内に軌道に乗せてます。
 今なら、入会金は50%オフで、オンラインセミナーも無料視聴できるんです!

  「自分のやる気はここで発揮するべきと確信しました!」

  結局私のところに来た時には既に入会した後で、事後報告でした。

 

2)33才:自称Webデザイナー兼個人事務所の社長
  「これから波が来る〇〇投資セミナー」に入会したいんですが。
  
  やはりこの方もコロナ不況の直撃で仕事が激減した中で
 有り余る時間をネット検索に使ったあげくに辿り着いたようでした。

  「○○年連続〇%以上の利回り!」「今なら無料でメルマガ会員に!」
 ここでもまた笑顔溢れる成功者の感謝の記事が羅列されてました。

 

3)60才:元金融機関勤務
  「実は20年ぶりに学生時代の友人から連絡が来て」

  どうも退職直前に始めたFacebookを見て、
 自分が退職したことを知ったようで
 その友人も今は無職でしたが、近々会社を興すというのです。

 「今はネットビジネスで稼げる絶好の好機、巣ごもり需要を
 ターゲットにしているから早期で利益確保は太鼓判。」
 「そこで、キミに共同経営者にならないかと思って連絡した。」
 「営業は自分が、キミには経験を活かせる経理と経営をお願いしたい。」

  という内容の、「共同経営者への誘い」でした。

  その友人は学生時代は仲間内のリーダー格で、実際人当たりが良く、
 他大学との合同イベント開催時もイベントリーダーに推されることが当たり前
 といった人物でしたから、声をかけてくれたことにまず感謝したそうです。 

  口頭で聴いた計画にも矛盾や疑問点はなく、
 当時はまだ再就職活動も始めていない時点だったので
 一気に起業・独立、それも会社経営者という立場でという誘いに
 大いに乗り気になったそうです。

 

 

【SNSに潜む悪意】

 在宅勤務ではパソコンやスマホと接する時間が嫌でも増えます。
この結果、先にも述べたようにこれまでは勤務時間の関係で閲覧出来なかった
ウェブサイトを閲覧したり、この機会に積極的にFacebookやTwitterを利用する
という行動を起こしがちになります。

 無論、音信不通だった旧友との再会が叶ったり、
同じ趣味を持つ新しい友人と遭遇するという本来SNSが持つ
利点、利便性を享受することも事実です。

 ですが、それ以上に怪しい売り文句を駆使した勧誘も多いのです。

 これから起業したいという方だけでなく、
既に起業はしたものの、コロナ不況で大いに計算が狂い
何か打開策はないかと悪戦苦闘中の既存の個人事業者向けにも
いろいろな美辞麗句を駆使しての勧誘が溢れています。

 

 オンラインセミナーやサロンで目に付くのが

「ビジネススキルのさらなる向上に必要なものは何か?」
「これだけで集客2倍は確実」
「40代で起業・独立を決断して本当に良かった」
「定年までに資産1億はこれで達成」

 など等、夢のような甘い言葉でセミナーへの参加を勧誘したり、
成功者だけが集うサロンの紹介記事等がネット上であなたを誘っています。

 これから起業したいと思う方にとっては強力な後ろ盾であり、
今苦しんでいる事業者にとっては救いの神、と見えて当然でしょう。

 

 ですが、当然ですがこれらは「有料の情報」であり、
その多くは「入会して会員になること」が求められています。

 今なら入会金半額(それでも10万円単位から100万円台まで千差万別)や
最初の1か月は会費無料といった特典がアピールされ、
月会費についても入会コースによって会費もピンキリで
下は1万円から上は10万円台まで!とこちらも色々取り揃えてあります。

 だいたい入会費の世間相場などあるかどうかもわからないのに
何を基準に今なら半額と言えるのか? 
普通ならこの時点で疑問に思えるのですが、
それを上回る甘美な成功譚が(ここまでは無料閲覧できるのがミソです)羅列されてます。

 以前は、書籍での勧誘が主でしたが、中身の大半は他社の受け売りや
既に知れ渡っているようなノウハウ?をもったいつけて紹介しているだけ、
あるいは、肝心の成功の真のターニングポイントはどこにも書かれてない
といった見方によっては詐欺まがいのものもありました。

 これがより身近に目にすることが出来、容易に入会できてしまう
ネット上の勧誘はより注意が必要と言えます。

 このようなオンラインセミナーなどは
多くの場合「特定商取引法」の適用外です。
要はクーリングオフの適用外なのです。

 入会して1週間で話が違うと退会や解約を申し出ても
入会費の返還はされないのです。

 オンラインでの入会という点が重要な意味を持っていて
ここには先方からの対面での強引な勧誘や
意思に反しての電話での引き留め等は存在しないのです。

 自分の意志で内容を確認し、自分決断で申し込んでいるのです。

 未成年でもないシニア世代ともなれば、自身の選択という事実を
認めないわけにはいきません。 全て自己責任とされるのです。

 通販などで小さな文字で記載されている「返品特約」のような
消費者救済のような条文も私の知る限り、見たことはありません。

 「私も用心していろいろネット上での評判を調べましたが
殆どが高評価で、参加者のブログを読んでもセミナー受講のおかげで
独立を果たせたというのが多くありました。
だから、信用できるサイトじゃないでしょうか?」

 なかにはこう反論する方もいましたが、
残念ながら、先方の方が一枚も二枚も上手です。

 いわゆる「やらせ」「仕込み」等は当たり前
なまじネット検索をする程度の知識がある為、
却って偽情報に絡めとられてしまいケースが少なくありません。 

 このようにネット上の場合、
期間限定サービス特典の提供や
実際に会員の成功譚がリアルタイムで閲覧出来る点が
書籍以上に誘引力を高めているのです。

 

 より深刻なケースは、先の事例紹介の最後に掲載した
「知り合いからの勧誘や有力情報の提供」の場合です。

 勧誘までとは言いませんが、こういうセミナーを知っているか?
自分が知っている成功者が多いセミナーを紹介するよ、等です。

 本当に善意からの紹介もあれば、新規加入者1名につきいくらの
報奨金が出るというセミナーの手先の場合もあるのです。

 なまじ人となりを知っていることがこの場合は仇となります。
特に会社時代の先輩や同僚、現役の会社員であれば得意先や
上司からの紹介ともなれば、無下には断れないでしょう。

 中には、「一緒にセミナーを運営する会社を起業しないか?」
といった「パートナー募集」による高額な出資金を要求するケースも
あり、この場合100万単位どころか1000万オーバーの資金を要求されるのです。

 なけなしの退職金や、相続したばかりの財産をつぎ込んだあげくに
無一文同然になり、離婚され一家離散という奈落を味わってからでは
挽回は不可能と言えるでしょう。

 仮に本業に就きつつ、余った時間を利用して、
小遣い稼ぎ程度のスタンスで参加するのであれば、
途中で解約や退会してもまだ傷は浅くて済みます。

 ですが、残念ながら実際に相談に来られる方の大半は
このビジネスに今後の人生を賭けると、なけなしの資金を
全投入した後に連絡をしてくるのです。

 自己責任とは言え、同情を禁じえません。

 

 さて、先に紹介した3件の事例はどういう結末に至ったか?

 詳細は書けませんが、大なり小なりの損害と自信喪失、
人間不信に陥ったことだけは紹介させて頂きます。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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