【今日のポイント】

 会社勤めを全うした後は年金生活で悠々自適…

 もはやほとんどのサラリーマンには届かぬ夢と化し、
60才以降も働ける間は働きたいという時代になりました。

 そのような中、来年4月に施行される年金改正や
給付金に関してはあまり認知が進んでいないようです。

 今回は特に身近な事例について紹介してみました。

 

 

 

【公的年金】

1)特別支給の老齢厚生年金支給廃止

 まず公的年金で注意すべき点としては、
2021年度に60歳になる男性からは、
「特別支給の老齢厚生年金」の支給は無くなるということです。
女性の場合は2026年度から支給が無くなります。

 公的年金の受給開始年齢は原則として65歳からですが、
厚生年金に加入していれば生年月日によって違いはあるものの
65歳以前に「特別支給の老齢厚生年金」が支給されます。

 私の場合ですと、今年から2年間は
この支給の対象となり、既に2月と4月に支給が始まりました。

 この(ありがたい)制度が
2021年4月2日以降に60歳を迎える男性からは適用されなくなるのです。
なので、この年代に該当する方のうち、大多数の方は
年金支給開始の65歳までは自分で収入を確保しなくてはいけません。

 

2)繰り下げ年齢の上限の変更 

 公的年金は従来「繰り下げ支給」をする場合、その年齢の上限は70歳でした。
これが来年2022年度からは上限が75歳に引き上げられます。

 仮に70歳まで年金の支給開始を繰り下げれば、年金額は42%増になります。
65歳で支給される年金額が年間180万円の場合を想定しますと、
70歳まで繰り下げた場合は支給額は、年間255万円以上になる計算です。

 月額で言えば約21万円超となります。
夫婦2人でも贅沢をしなければ年金だけの生活も可能と言える額と言えるでしょう。

 但し、夫が元サラリーマンで
厚生年金に20年以上加入しており、
加えて奥さんが年下の場合には注意が必要です。

 この場合、配偶者である奥さんが
65歳になるまで「加給年金」が上乗せされます。

 この時「老齢厚生年金」の受給繰り下げをすると
その期間内は加給年金は支給されなくなります。
後から増額されることもありません。

 「老齢基礎年金だけの繰り下げ」であれば
このような「年金の減額」は起こりませんので
繰り下げを選択する際は事前の確認が必要です。

 

3)支給停止額の一本化

 次に、在職老齢年金の場合の注意点としては、
従来の支給停止基準額は60~64歳の場合で28万円
65歳以上の場合は47万円の二本立てでした。

 これも2022年度からは47万円に一本化されます。

 現状では65歳以上で年金を受給しつつ、
別途賃金収入がある場合は、その合計額が47万円を超えると
超過分は年金から減額されます。(自営業等の個人事業者は別です)

 60~64歳の方は合計額が28万円ですが、
これも2022年度からは47万円に引き上げられて
年齢に関係なく47万円が年金の満額支給の境界線となります。

 
 ですから60才以降も働く予定の方は
まずは自身が受け取る年金額を確認して、
47万円との差額を賃金収入の目安とすることで
満額支給を確保出来るので再就職の場合の給与水準を
決める一つの目安と考えることが出来ます。

 これ以外にも自営業の場合でも年金額で不足する
将来の収入額を目標として売り上げ計画を立てるなど
ひとつの基準として覚えておくと便利かと思います。

 夫婦二人での生活ならば47万円あれば
ある程度は余裕のある老後の生活は保障されるでしょう。

 

4)年金の増減率の改正

 次に年金の繰り上げ、繰り下げ時の減額・増額の率に関するものがあります。

 繰り上げ受給を選択した場合、
従来は0,5%の減額率だったものが、改正後は0,4%になります。

 繰り下げ期間については先にも述べましたが
従来の上限70才から上限75才に引き上げられます。

 ここで注意すべき点としては 
まず繰り上げ受給の場合の減額率の改正は
2022年4月2日以降に60歳になる場合で、
具体的には1962年4月2日以降の誕生日の方が対象となります。

 現時点で既に繰り上げ受給を開始している場合、
来年4月1日以降は0,5%から0,4%に改正される訳ではありません。
いったん決めたものは一生涯そのままとなるので勝手なぬか喜びは禁物です。

 同じく1962年4月1日が60歳の誕生日の方で
4月2日以降に繰り上げ受給を選択した場合も同様で
受給開始は改正後であっても対象年齢からは外れているので
ここでも0,5%減額が適用されるのです。

 

 今度は繰り下げの場合ですが、
現行の1ヶ月の繰り下げ毎に0,7%の増額率が適用される為
75歳の上限まで繰り下げた場合は84%の増額となります。

 これが可能になるのは、
施行日に70歳になる1952年4月2日生まれ以降の場合となります。

 ここでも4月2日より前に70歳になっていた方は
75歳への再度の繰り下げは出来ません。

 同様に施行日前に70歳になっていれば、
それ以降の受給(結果的な繰り下げ)開始であっても
適用対象外となります。

 

 またも私の場合を例にしますが、
既に3年前に還暦を迎えたので、繰り上げ時の減額率は0,5%です。
来年の4月ではまだ60代ですから繰り下げ上限は75才が適用となります。

 
5)65歳以降に働く場合の年金改定

 現在は65歳で月収30万円で働いており、
70歳までこのまま働く場合で説明しますと、
退職後1カ月経過、または70才到達時に厚生年金の再計算が行われ、
1回限りで上乗せをしています。
 
 これが改正後には毎年1回(70歳までの4年分)改定されることになります。

 

 これは「在職定時改定」といい
66歳以降毎年少しづつ増額になる仕組みで、前述の条件の場合では
70歳までの4年間で約20万円の上乗せになるとのことです。

 年金計算はかなり複雑ですので
正確な数字を知りたい場合は専門家への相談をお奨めします。
ざっくりした金額でいいというのであれば、
年収の0,55%が1年分の増額と考えて下さい。

 1年目が2万円増ならそれを加えた年収を母数として再計算、
これを4年分繰り返すと概ね20万円前後になるのです。

 

 

 

【各種給付金】

 次に各種給付金に関連する項目です。

 現在の会社に定年後も勤務する場合、
概ね60歳を超えると大幅に賃金水準が見直されます。

 仮に60歳以降の再雇用や嘱託勤務での賃金
60歳時点の金額の75%未満だった場合は
「高年齢雇用継続基本給付金」が給付されます。

 但し、これは雇用保険に加入していることが条件で、
補填となる額としては賃金の減額が61%以下だった場合、
減額後の賃金の15%相当額が対象になります。

 仮に60歳の時点の賃金が月50万円で
同じ会社に再雇用された後の賃金が25万円に減額された場合、
差額の25万円の15%で3万7500円が給付額となる計算です。

 この給付金は2か月毎の隔月給付となります。

 但しこの制度には続きがあります。
2025年度からは給付額は15%から10%に減額され
将来的には更なる減額から廃止が予定されており、
年齢によっては参考にならない場合があります。

 

 2022年4月1日から施行されることが決定しているこの改正、
既に1年を切っています。

 60代以降で働くという選択をしている方は
よくこの改正内容を理解して自分にとって最適の選択が
出来るよう今のうちからマネープランを検討しては如何でしょうか?

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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