【今日のポイント】

 今日は予定を変えてコロナ禍の下で執り行われた
葬儀について紹介したいと思います。

 ※画像は今回の記事とは関係ありません。

 

【葬儀まで】

 故人は私が開業して3年後くらいに
ある業務を受任した方でした。
当時は70代になったばかりで、妻と子が一人、
数年前から入退院を繰り返し、万が一の時にと
遺言作成相談と遺言執行人を依頼されていました。

 住まいは東京近郊でしたが、菩提寺は、関東近郊にあり
埋葬はその地でと予め決めていて、家族も了承済みでした。

 先日、入院中に突然脳梗塞を発症し、逝去されました。
死後の諸手続きは遺族の方にお願いし、私は菩提寺での手配を
任されました。

 主な打ち合わせは、葬儀の進め方、参列者の人数確認に加え、
コロナ禍によって変更した葬儀の内容から参列者の人数制限
消毒・除菌の備え等、今までにない課題が待ち構えていました。

 

【菩提寺でのやり取り】

 ※以下の内容はあくまでもこの菩提寺での対応であり、
  すべての葬儀が同じということではありません。

 最近の家族にしては珍しく、故人は無論のこと
配偶者や子、孫も頻繁に菩提寺には足を運んでおり、
住職や事務局のスタッフとも懇意でした。

 まずは、遠慮がちではありましたが
死因の確認を問われ、持参した死亡診断書で
コロナ感染が死因ではないことを説明しました。

 次に、葬儀への参列の意思を確認され、
参列の場合は10人以下での参列を厳命されました。

 さらに
概ね70才以上の、既往症のある親族の参列は
自粛あるいは自己責任での参列を求められました。

 残念なことにこの家族は親戚も多く、
7家族が全国に点在していたのですが、
やはり高齢者が多く、またほぼ全員糖尿病や内臓疾患を抱えており、
菩提寺側の要請に該当したため、1家族を除き全て参列を自粛となったのです。
 
 この結果、葬儀に参列したのは部外者の私を入れても7人だけの
さみしいものとなりました。

 さらに献花の持ち込みも禁止で、休憩室は開放するものの、
茶菓の用意は出来ず、これまた持ち込みも禁止とされました。

 

 

【葬儀の流れ】

 菩提寺の境内でまずはマスクの着用を指示され、
消毒液で消毒、式場の入り口では検温と再度の消毒、
その後に、寺で自作した調査票に
「住所・氏名・年齢・連絡先・検温結果・故人との関係」
を記入して提出、ようやく中に入れました。
 
 ちなみに、フェイスシールドは却下でした。

 読経は参列者は禁止、
無論マスクを外すのも禁止です。
 
 会場は十分すぎるほどの間隔をあけて設置されており、
さらに2人置きの椅子の配置で、間延びした参列という感じでした。

 席を立って焼香の場まで進み、焼香を終えて席に戻るまで
次の参列者はひたすらじっと席に着席のまま待機して下さいと
菩提寺からの指示でこれまた間延びした焼香となりました。

 
 最後に、私が事前に確認していなかった為にアクシデントが発生で、
喪主の長男が持参したお布施を住職に納めて頂こうとすると
なんと振り込みでお願いしますとのことでした!!

 

 

【菩提寺の対応】

 事前の打ち合わせ時に聞き取った中から
現時点で実施中の暫定的対応の一部を紹介します。

 当面は葬儀は午前で終了のスケジュール
受け付けは1日1組に限る。

 参列を希望する親族が多数の場合や、
遠隔地にいる親族への対応として、
この寺では今春から全国どこにいても
葬儀の参列を体験できる「葬儀のオンライン配信」
の設備を用意したそうです。

 同時に葬儀の申し込みや問い合わせ、葬儀内容の紹介も
ホームページ上に開設し、いつでも閲覧出来、何時でも申し込める
サービスもスタートさせたのです。

 まさに至れり尽くせりの態勢の整備でしたが
問題がないわけではなかったそうです。

 ある檀家の葬儀の際には(故人の子供は)
直接出向いてのやり取りでは感染リスクが高いと
ホームページから葬儀の申し込みや葬儀内容の選択を
するはずでしたが、肝心の喪主(配偶者)が高齢で
パソコン自体を持っていなかったため、
結局は遠隔地の子や孫を介しての打ち合わせとなり、
却って時間と手間がかかったこともあったそうです。

 同様の理由で、せっかくのオンライン配信も
ネット環境のあるパソコン保有が前提なため、
全ての遠隔地に住む親族が満足したわけではなかったそうです。

 

 菩提寺の事務長は、
わざわざ足を運んでいただき、
長時間になる対面での打ち合わせは危険、
同様に遠路はるばる葬儀に参列するリスクを
考えると、感染危機の回避を目的として、
オンライン配信やホームページを用意したとのことでした。

 私を含めて今の60代以下の世代は
概ねネット環境に慣れており、
自宅でパソコンを活用しているでしょうから、
今後は高齢者世代といえども
ネットを通じてのやり取りは問題なしとなるでしょう。

 とはいえ、
2020年の現在においては、まだまだ課題アリといえるでしょう。

 
 なおこの寺では、
既に今年から盂蘭盆会や法要でも「無観客」youtube生配信
でを実施しており、非対面式の行事対応を始めていたのです。

 これも皮肉なことに、
先の事例と同じで、地元に残る檀家は
高齢者が主体で生配信に対応が出来ません。

 却って都会や遠隔地に在住の子供家族や檀家が
積極的に利用(参列)出来る為にわざわざ足を運ぶことがなく、
これはこれでコロナ終息後に檀家離れといった禍根を残すのでは
と話していました。

 
 

【コロナ禍の葬儀について】

 以前、故人の父親の葬儀の際は
葬儀後に休憩室で親族一同が介して、
故人の思い出を語り合ったり、
遺産相続についての協議も時間をかけて行ったそうです。

 菩提寺側も好意的でほぼ終日利用することが出来たそうで、
遠隔地に住む親族を中心に相続や形見分けについて
その場で合意を得ることが出来たとのことでした。

 今回は葬儀終了後は迅速な退去を求められ、
親族の参列もままならなかったことで
積み残した課題は一つも解決できないまま
葬儀だけを終えた形になりました。

 前回とは対極にあるほどの違いだと、
遺族の方はこぼしていました。

 

 結局遺言執行についての打ち合わせは
後日に持ち越しとなり、
来月に仕切り直しとなりました。

 この点も事前に把握しておけば、
私が参列する必要はなく、
家族水入らずのお別れが出来たのではと
内心忸怩たる思いに駆られました。

 

 ただでさえ少子化、都会地への改葬の促進等で
存在が危ぶまれている地方の寺ですが、
今回のコロナ対応による「リモート葬儀、リモート法要」
このまま定着すれば
終息後は別の危機が訪れる可能性が出てきました。

 

 前例のない中での葬儀は貴重な経験となり、
多くの課題を見出すことが出来ました。
事前に想定した時にはこれで十分と思っていても
いざ実際の式が始まるといろいろと想定外は発生します。

 滅多にないこと(であって欲しい)ですが、
近いうちに次の機会があれば、今回の反省を踏まえた
より満足のいく対応を目指したいと思います。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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