【今日のポイント】

 前回に続いて遺言書保管制度の総ざらいです。
今回は実際に保管を済ませた後に焦点を当てています。

 一度預けたらそれで終わり、
というわけにはいかない点について
簡単に紹介しています。

 そして最後にまとめとして、
申請を始める為の準備から実際に保管されるまでの
手続きを一覧にしておきました。

 

 

【遺言書保管後にしなければいけないこと】

 遺言者は、

「遺言者の氏名、住所等に変更があった場合
その変更内容を遺言書保管官に届出なくてはいけない。」

 いわば遺言書保管制度を利用した遺言者の義務となります。

 具体的には以下の項目で変更が生じた場合に、
届け出が必要となります。

・遺言者の氏名、出生年月日、住所及び本籍(国籍)
・受遺者の氏名又は名称や住所
・遺言執行者の氏名又は名称、住所
・遺言者の戸籍の筆頭に記載された者の氏名
・民法781条2項の規定により認知するものとされた子等の氏名及び住所など

 届出は郵送でも可能で、
届け出はどこの保管所の保管官に対しても出来ます。
ただ届出の際は事前にその旨の連絡を入れて予約をする必要があります。

 また各種の変更の届出の際には、
それぞれ必要な添付書類がありますが、
今回は省略します。

 

【保管後に出来る事】

 遺言者が出来ることは…

・遺言書の閲覧、遺言書保管ファイルのモニターによる閲覧が出来ます。

  但し、遺言書原本の場合は1,700円、
モニターによる閲覧の場合は1,400円の手数料がかかります。

 さらに閲覧の請求ですが、
遺言書原本の場合は遺言者本人が
特定遺言書保管所に自ら出向いて行う必要があります。

 その際は身分証明(本人確認)が求められるので
顔写真付きの運転免許証等が必須となります。

 対してモニターによる閲覧の場合は、
どの遺言書保管所でも閲覧請求が出来ます。

・保管の撤回が出来ます。

 保管の撤回をしても、遺言書自体の効力には何ら影響は及びません。

 撤回には手数料はかかりません。ただ事前予約は必要です。
この場合も、遺言者本人が特定遺言書保管所に出向いて
手続きをしなくてはいけませんし、本人確認の書類が必要になります。

 所定の撤回書と
遺言者の氏名、住所、生年月日、
本籍に変更がありその届出がない場合は
その変更を証明する書類が必要になります。

 撤回後は遺言書原本は返還され、データ情報は消去されます。

 

相続人が出来ることは…

 以下の項目は全て「遺言者の死後」から可能、
という大前提ということを念頭に置いて下さい。

遺言書保管事実証明書の発行が出来ます
・遺言書情報証明書の発行が出来ます
・(遺言者の死後に)遺言書の閲覧が出来ます

 
 自分に関係のある遺言書が存在するのか?
あった場合、どういう内容なのかをこの手続きすることで
相続人は知ることが出来るのです。

 他にも出来ることはありますが、
相続人に特に関係の深いものは以上となります。

 

【まとめ~申請準備から保管まで

 最後に、ここまでの流れをまとめておきました。
以下のポイントをよく理解して効率的に作業を進めるようにして下さい。

 下記の①から④までが申請のための準備の流れで、
⑤から⑦までが法務局での実際の手続きという2段階になります。

 

① 自筆証書遺言を作成します
 
自筆証書遺言の注意事項(民法968条)を遵守した内容で書くことです。
さらに作成後も複数枚になった場合でもホチキスなどで止めてはいけない、
封書に入れることはいいものの、封印はしてはいけないといった保管方法にも
十分留意して下さい。

② 保管を申請する遺言書保管所を決めます
 保管できるのは、
遺言者の住所地・遺言者の本籍地・遺言者が所有する不動産の所在地
この3か所だけですので、どこに保管するかを予め決めておきます。

③ 申請に必要な添付書類を用意します
 
自筆証書遺言書原本は当然として、以下のものを用意します。

 ・遺言者の住民票(本籍地及び戸籍筆頭者の氏名入りのもの)
 ・遺言者の戸籍謄本及び戸籍の附票

 このどちらかを用意します。住民票の方が取得は容易ですが、
どちらも発行から3か月以内のものに限ります。

 あまり早くに取得すると申請時には期限切れの恐れがあります。

 例外的に、遺言者が外国人の場合、遺言者氏名、出生年月日、
住所及び国籍が証明できる資料が必要です。

 また遺言書が外国語の場合は、日本語の翻訳文が必要になります。
 

④ 申請書を作成します
 申請書は法務局の窓口に用意されていますが、
ネット上からダウンロードも可能です。
またネット上で必要事項を記入も可能で、
完成させた申請書をプリントアウトし、
そのまま申請書として使用することも可能です。

 詳しくは以下のリンクを参照して下さい。
遺言書保管申請書


⑤ 保管申請の予約を入れます
 
先に挙げた3か所の中から保管する保管所を選び、申請予約を入れます。
完全予約制なので忘れないで手続きすることです。

⑥ 予約した日に遺言者本人が当該の遺言書保管所に出向き申請をします
 
持参するものは以下の通りです。

 ・自筆証書遺言書原本
 ・記入済みの申請書
 ・添付書類
 ・本人確認用書類等(運転免許証やパスポート等)
 ・印鑑(シャチハタやスタンプ印は除外、実印の必要はありません)
 ・手数料(申請には3,900円の収入印紙が必要、法務局で購入可能)


⑦ 手続き終了後に保管証を受領します
 
法務局から手続き終了後に発行される保管証を忘れずに受け取ります。

 

 以上で、手続きは完了です。

 

記事が参考になった方はクリック投票お願いします

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村 士業ブログへ

投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中
独りで思い悩むより「相談」から始めてみませんか?

まずはお電話で! TEL 03-5157-5027 月~金 10:00~19:00(土日は要事前予約)