【今日のポイント】

 今回採り上げるおひとり様は、
私のような非婚者のおひとり様、ではなくて、
夫婦二人暮らしからのおひとり様や
子供や孫はいるものの別居かつ遠方に暮らしている為、
事実上のおひとり様生活をしている方を対象としています。

 今は夫婦二人暮らしの場合でも
いつあなた一人の生活になるか?

 子供がいるとはいえ、実質おひとり様として
日々を送る中に潜むリスクとは?

 その時になって慌てない為には何を考えておき、
どんな備えをしておくべきでしょうか?

 今から取り組める「終活」のスタートとして
考えてみませんか?

 

 

【自分の為に備える】

 奥様が病に斃れ長期入院となった私の友人の実例です。

 学生時代から60才の定年を迎える日まで
料理を始め家事全般を全くの未経験で過ごしてきており、
定年直後に想定外のおひとり様生活を強いられることになったのです。

 大学卒業までに加えて、なんと就職後も優雅な親との同居生活、
家庭のことは全くのノータッチで、そのまま5年目には結婚、
専業主婦の奥様のおかげで家事・子育てのすべては全面依存だったそうです。

 その奥さんが急な病に斃れ、結果的に3年の長期療養生活となったのです。
子は居ましたが、既に独立し地方に暮らしており、頼るわけにもいかず、
手探りで「長期自給自足生活」をすることになりました。

 掃除、洗濯は生傷を負いながら何とかクリアしたものの、
各種公共料金や定期購入の健康食品の支払方法が分からず、
通販の未払いの督促などトラブルの連続に苦労したそうです。

 ただ、本人が最も堪えたのが「食事問題」だったそうです。

 当初は奥様が用意したレシピに従って自炊を試みたのですが、
9割は失敗~廃棄処分する結果になり、僅か半月後からはほぼ三食外食に。

 最初はデリバリーで、次にコンビニ飯に依存することになり、
最後は「居酒屋」に流れ着いたそうです。
その結果として酒ありきの食事が夕食の定番となりました。

 そうなればなったで、
次第に一人めし、一人酒の侘しさに耐え切れなくなり、
自然と旧友や元部下等の知り合いを呼び出し始めたのです。

 最初のうちは先方も懐かしさや暇を持て余した同士で
話も弾んだそうですが、そうそう都合が合うこともなく、次第に疎遠に。

 その結果、彼はあろうことか元の会社に乗り込んで理由をつけて
夕飯の友を探し始めたのです!

 結局、半年余りで友人・知人から総スカンを食らい、完全な孤食となり
自宅での晩酌が倍増したとのことでした。

 その結果、体調を崩し、外出にも支障をきたしてしまい
過度なデリバリー生活でゴミ屋敷の一歩手前になったのです。

 彼のように「過保護な生活者」に限らず
いきなり家事全般を自分で切り盛りすることは
私のような学生時代からの一人暮らしといった
ベテランでない限り、にわかおひとり様
壁にぶつかるのは時間の問題です。

 理想でいえば、
20才過ぎたら家庭料理の10品くらいは
身に着けて欲しいものですが、
ひとり暮らしになってからでは
どう考えても間に合いません。

 たまたま彼の窮状を見かねていろいろ調べたところ、
幸運なことに彼の暮らす地域の「地域包括支援センター」では
宅食のサービスと、ゴミ出し支援等の支援策を実施していることが分かり、
その旨を彼に伝え、何とかピンチを切り抜けることが出来たのです。

 おかげで定期的な人との接触が始まり、
食事も酒抜きで済むようになって体調も回復していきました。

 その後彼は趣味と実益を兼ねて料理教室に通い始め、
新たな交友関係を築くと共に、料理の腕を磨き?
退院した奥さんに手料理を振舞うほどになったという
ほほえましい連絡を貰いました。

 彼のようにおひとり様は全て
「男の料理教室に通って自炊出来るようになる。」
必要はありませんが、食事問題は何より重要ですから、
上記のような公的支援以外にも民間の宅食サービスの利用を
検討することも必要ではないでしょうか?

 

 

【子供の為に備える】

 遠方に暮らす子供や孫がいる場合、
家屋に係る注意点(備え)があります。

 今自分の暮らす家屋が戸建ての建売や
マンションならこの問題はありません。

 郷里にある代々の家に住んでいる場合、
又はそういった物件を所有している場合には
必ず隣家との境界画定図の作成をしておきましょう。

 稀なケースではありますが、
なかには境界をまたいで隣家が敷地を無断使用していた
という事例がありました。

 最近新設した隣家の駐車場が敷地に食い込んでいた、
隣家の作った生け垣が自分の敷地内に設置されていたことから
関係は険悪化し、最終的に訴訟問題になった例もあるのです。

 今まで親密だった隣同士でも、
土地トラブルの発覚後にはここまでの関係になるのです。

 ましてそこで暮らしたことのない子供や孫の世代になれば
当然双方顔も知らない希薄な関係というのが当たり前です。
より深刻なトラブルの火種になるのは必至でしょう。

 このような事態を招かない為にも、
身体が動くうちに問題の有無を確認し、解決の糸口を見出しておく。
特におひとり様になれば、自分以外早期解決は出来ないと自覚し、
問題解決に取り組むべきでしょう。

 子供に任せるでは、迷惑極まりない押し付けですし、
子供もいないおひとり様だからと放置したままにすれば
行政も容易に手を出せない「問題の空き家」という迷惑を
周辺住民にかけることになるのです。

 もう一つ不動産に関しては、要注意点があります。
おひとり様には限らない事ですが、土地の名義の確認があります。

 これも実例でしたが、
奥様に先立たれそろそろ子どもに遺言をと財産調査をした結果、
実は郷里の土地は既に亡くなっている自分の親の兄弟との共有名義だった
事が判明し、最終的に自分だけの名義にするために総勢14名に膨れ上がった
親族の相続人(大半は顔も知らない親族)と10年にわたって交渉を重ねて
漸く全員の承諾を得たという方がいらっしゃいました。

 「解決まで実に10年、よく生きている間に解決できました。
  息子の代になっていたらと思うとゾッとしました。」

 相談者の偽らざる本音でしょう。

 自分の代で解決出来ることは、出来るうちに解決しておく。

 ここでは土地関連に絞って紹介しましたが、
該当する項目は土地以外にも多岐にわたりますので、
個々の事情に応じて、早めに着手することが望ましいです。

 

 

【見落としがちな項目】

 ここは自分の為でもあり、家族の為でもある項目で、
意外に身としがちな項目を紹介します。

1)貸金庫の見極め
 貸金庫を契約している方の中には、
自筆遺言を保管しているだけというケースがありました。
 安全面では確かなものがありますが、万が一の場合
貸金庫の存在を知らせていなければ?
 さらに存在を知ったとしても、
開錠の為には相続人全員の承諾(同意書と押印)が必要です。

 もしも保管物が遺言書だけというのでしたら、
最近始まった法務局による「遺言書保管制度」を利用することで
貸金庫の解約は容易になりますし、使用料が節約出来ます。

 念のため、現在の貸金庫に何が保管されているかを
再確認してみては如何でしょうか?

2)過去に開設した銀行口座等の洗い直し
 貴方が転勤族のサラリーマンであれば、
赴任地で開設した口座の確認をしましょう。

 急な異動で、つい解約忘れのまま放置していれば?
10年間一度も入出金履歴がなければ「休眠預金」の扱いになります。
そうなってからでは存在に気付いても改めて当該の金融機関に
口座の再開の為の手続きの申請をする必要が出てくるのです。

 さらにそのまま放置が続けば、いずれは没収という結果に。
何ともつまらない結果を招いてしまっても、貴方はそれでいいのですか?

 こちらも、念の為に再度確認作業をすることをお奨めします。

 

 

【個人情報】

 こちらは特におひとり様暮らしの場合に要注意です。
各種IDやパスワードの一覧、通帳や実印の保管場所を
どう記録してどこに保管しておくか?

 他人には知られたくないものの、
遠方に暮らす子供には気付いて欲しいというジレンマを
自分ひとりで解決しなくてはいけないのです。

 例えば、即必要になるクレジットカードや
キャッシュカードの暗証番号は通常数字4ケタ前後で設定されます。

 安易な自分や家族の誕生日や結婚記念日などは真っ先に試されます。
マイカーの車両番号でも似たり寄ったりです。
かといって全く関連性のない数字は自分が忘れるリスクも高まります。

 自分は決して忘れることなく、他人からは推測困難な番号…

~ ある知り合いは愛読している文庫の巻数とお気に入りのシーンのページ数を
  組み合わせて設定し、念のため当該ページに折り目を付けたそうです。
~ 歴史上の出来事の年月日、歴史上の人物の生年・没年月日で設定。
  ジャイアンツファンの友人は、御贔屓選手の引退試合の日で設定してました。

 このやり方の注意点としては
日頃から愛読書や趣味の話をあまり口外しない事でしょうか?

 まだ夫婦二人だから、共に健康だからという理由で
双方に関するパスワードや保管場所をつい言いそびれ、
聴きそびれたままというケースは少なくありません。

 ですが、
夫婦2人いるうちに、健康だからこそ
お互いの個人情報の共有について話し合うべきなのです。

 

 

【終末期医療】

 厚労省の調査では、
どんな治療を希望するか、どこで最期を迎えたいかについて
事前に自分の意思を家族に伝えているのは3割程度だそうです。
7割は自分の想いを伝えないままに死を迎えているのです。

 特に終末期医療の場合は
「事前指示書」作成が必須となります。

 尊厳死、緩和ケアの希望、延命治療の可否
 献体、臓器提供の意思等が選択出来るのです。

 よく連れ合い(又は両親)を亡くした後に、
本人にとってあの看護で本当によかったのか? 
もっと何か出来たのではないだろうか?
と悩み続けている方を見かけます。

 このような事態を招かない為にも
遺されることになる連れ合いや
子供に向けた自分の考えを伝えておく事です。

 特に夫婦であればお互いが用意しておけば、
遺された側の悔恨も軽減されることになるのですから。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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