【今日のポイント】

 今回のコロナ禍によって、新たな決意の下、
昨年から第二の仕事をスタートさせたものの、
今春を境に大きな影響を被った方は少なくありません。

 昨年春の相談者で、飲食店開業相談に来られ、
熟考の上で理想的な店舗物件を決めて
この3月に開店したものの、今は長期休業を強いられた方、

 地道な就職活動の結果、再就職を果たしたものの、
先日この10月を前に退職勧告をされた方等、
当人に何の落ち度もない失職の危機に直面しているケースは
残念ながら今後も減ることはなさそうな雲行きです。

 
 そのような中、この3~4月前後からは、
退職直前、または50代半ばから後半の現役世代の方から
起業・独立に関してお相談や問い合わせが頻発しました。

 特に、このご時世、転職や再就職と言った宮仕えでは
今後の景気動向ではリストラや会社の存続にも危機が生じると
考えるのでしょう、独立・開業を目指す方が目立ってます。

 飲食や物販での自営を目指す方、
既存の資格を活かした開業を目指す方、
その資格取得をとりあえず目指す方など等…

 

 ですがその考え方や行動は千差万別です。
コロナ禍でなくてもこれでは成功は難しい?
と思われるケースについて、今回は紹介したいと思います。

 

 

【拙速&猪突猛進型】

 私のような士業開業等ではそれほどでもありませんが
飲食業や小売り・サービス業で独立、開業する場合、
なんといっても最も生活のサイクルが変わるのは
貴方以上に奥さんのはずです。

 
 多くの場合、奥さんにも店舗でのスタッフとして
接客や受付、物販から経理等を任せることになります。

 サラリーマン生活の中、専業主婦でここまで来ていれば
まさに180度生活が変わるわけです。
おまけに、自営での生活には100%の生活の保障はあり得ません。
毎日が真剣勝負の日々を送ることになるのです。

 このように生涯最大級の家族の問題を、
未だひと言の相談もしていないケースが見受けられるのです!

 さらに、この手のタイプには
独立の青写真自体が非常に曖昧なまま、
「とにかく独立ありき」で相談に見えるケースが目立ちます。

 

 ざっくりとした分類ですが、
私が取り扱った起業・独立相談のうち
約25%が「今の会社での不遇な生活からの脱却」
25%が「退職優遇制度の退職条件が魅力的だった」
10%が「起業セミナーで閃いて(感化されて)」

実に約60%が「その場の感情論」での相談だったのです!

 ですから、何をもって起業・開業するのかを
決めていない、いや考えてもいないままの相談でした。

 そして冒頭で述べたように(ある意味当然なのかもしれませんが)
家族(=奥さんです)に一言の相談もしていなかったのです。

 
 中にはまだ学生の子供がいる家庭で、まだまだ学資や生活費が
かかるような世代の方もいたのです!

 さらに、今の会社を辞めることすら相談なしで決めた
といった理解不能な決断をしたケースもありました。

 

 事業の青写真すらなく、
何をするのかも決めてないままで
自分の奥さんは黙って賛同してくれると
自己判断した根拠は何だったのでしょう?

 退職の相談すら聞いていなかった。
初めて話をしてくれたのは退職の事実、
これで平静を保てる奥さんがこの世界にいるとは、
独り者の私でも、到底思えません。

 

 私見では、最も成功の可能性が低く、
注意が必要な起業・独立志望のタイプです。
この手の相談者には私も忖度無しで
再考を促すようにしています。

 

 

【独断&自信過剰型】

 上記のケースとの相違は、
それなりの事業計画は準備している点です。

 事業が軌道に乗るまでの諸費用の推定算出、
年度毎の目標収入額の目安の設定、
その達成のための具体的施策や行動計画等、

 進むべき方向を定めて、数字の管理で
事業が軌道に乗るまでを明確にしているのですが
ここでも、奥さんや家族には「内緒で」進めているのです。

 当人曰く、
「細かなことは言っても理解出来ないから」
「完ぺきな計画書を披露すればそれで充分」
「今までもこのやり方でうまくいってるから」

 など等、それなりの理由はあるのですが、
過去の事例では、上記の様に具体策を備えていても
奥さんに話を開始した直後から、
「なぜこんな重大事を相談もなしに!」
「家庭の状況がわかってない」
「私の気持ちを考えてない」
「私の何がわかるの!」といった猛反撃を受けて
次第に感情論に移行する事例がありました。

 数字に強い、計画立案には長けている方には
人間の持つ感情を読み違える、軽視する傾向が
まま見受けられます。

 実際に、見事な内容の事業計画であっても
説明の順番を間違える(人の気持ちを無視する)と
計画のち密さも何の意味も為さなくなります。
特に家族間では却って逆効果というか、反作用になる
リスクが高まるのです。

 

 さらに、これは最悪のケースでしたが
ある日突然店を開く、これがその事業計画で
何年間は貯金を取り崩すが、何年後からは
黒字化になる計画だから大丈夫と
自信満々に家族に公開したのですが…

 その場で初めて子供から母親(奥さん)の
病気の事実を知らされ独立時のスタッフの当てが
外れた、あげくにそれまで奥さんの健康状態を知らなかった
という「怠慢・無関心」に子供たちが激高し、
家庭内孤立となり、今も険悪な日々を送っています。

 

 他から聞いた同じようなケースでは
子供の問題(留年、退学、就職難)を
全て奥さんに任せており、計画を話したとたんに
その場で初めて想定外の現状を突き付けられあっけなく計画は挫折、
子供の社会復帰の為の活動に振り回されたという話を
聴いたこともあります。

 これもひとりよがりのマイペースで
生きてきた結果と言えるでしょう。

 

 また、出鼻を挫く様に奥さんの方から話を切り出され
奥さんが起業したい、趣味を通じて築いた人脈と友人と
ビジネスを始めたい、なので貴方の退職金と預金の一部を
使わせて欲しいと。

 ここでも何の相談もしてこなかった為に
奥さんは奥さんで旦那は定年延長、雇用延長するものと
勝手に思い込み、独自路線を推し進めていたのです。

 
 貴方は、
最も近い存在であるはずの奥さん(と家族)のことを
どこまで理解し、認識しているでしょう?

どこまで貴方の想いや考えを共有出来ているでしょう?

 結局、起業や独立という選択は
家族がいる場合は特に、その理解と協力無くしては
成り立たないものということです。

 

 このタイプは前回のブログで紹介した
シニアで突然おひとり様予備軍にも該当します(熟年離婚リスクの点で)

 これまた、成功が危ぶまれる要注意のタイプと言えます。

 

 

 上記2つの事例を総括しますと、
まずは家族、特に配偶者を納得させるだけの
事業計画や貴方の想いをまとめあげておくこと。

 そのためには、今の家庭の現況を把握すること、
起業するにあたって家庭内に課題がないことを
奥さんと共に話し合いを重ねて確認しておくことです。

 後顧の憂いがないことを確認してから、
家族の不安を払しょくするレベルの事業計画を
披露し、協力を仰ぐのです。

 理詰めだけでは家族と言えども、
感情面での共感までは得られません。

 

 

【相談内容と相談相手】

 次に、起業・独立の際に、
同じ業界の先輩にアドバイスを受ける、
成功のヒントを尋ねる、といった
起業前の事前調査や起業自体の可否の決断を
相談するケースでの注意点について紹介します。

 
 私は長年のサラリーマン生活から180度の転身で
自営業である士業従事者になったことで、
現サラリーマンの方からの起業相談、
特に資格起業の相談が中心となっています。

 相談者の第一声で気になるのが
「(私が)今の成功に至った秘訣を教えて下さい。」
という相談(?)です。

 私は自分では成功しているとは思っていませんし、
成功の秘訣を聞きたいというのは相談とも思えません。

 
 甚だしいのは、
今年定年を迎えて時間があるので
これから資格取得を目指して
資格起業で第二の人生を送りたいが、
これから人気の資格は何でしょうか?
という相談例がありました。

 このような相談は非常に危険です。
相談相手によっては即相談に応じます。

 その後、成功体験セミナーや
今後国家資格になる(予定の)
有望資格の講習会と言った胡散臭い商談に入ります。

 業界では「ひよこ食い」といって
資格取得直後の「初心者マーク」に対して
業界の現状や有望な業務等を解説したり
成功の為に必要なスキルの紹介や取得に向けての
有料セミナーへ勧誘するなどのビジネスがあります。

 資格を取得してもこういった勧誘ビジネスがあります、
当然起業を目指す方に対しても同様のビジネスが存在しています。

 中には、「開業1年後には年収ン千万円達成!」といった
普通なら眉唾の話を堂々と自分の成功例として展開してきます。

 起業相談の際に、本音の問合せの一つには
「それで幾ら稼げるのか?」というものがあります。

 これ自体は悪いことでも避けることでもありません。
家族を養うといった面からすれば当然の不安要因ですから。

 ですが、いくら稼げるのかを決めるのは、
士業に限らず自営業で成功のカギを握っているのは
「営業力」と「対人折衝力」です。

 私の穿った見方もあるとは思いますが、
安易に年収を気にする方は、成功事例を真似すれば、
成功の秘訣を聞き出せれば、容易に自分も成功出来る?
と言った考えがあるのではないでしょうか?

 

 大変お気の毒ですが、
そういう考えの方には私の経験は全く役には立ちません。

 私は50代前半で起業してますし、
独り者で身軽に活動が出来ました。

 自分の強みを活かした独自の業務を探すのに
約3年間は無収入でも耐えられる財政基盤を用意してました。

 実質的な営業開始までの2年間に
全く無知だったSNSの使用法やブログ等の書き方や構成方法等を
有料講座を受講して習得しました。

 残念ながら60代で
これから資格起業を目指したいという相談者で
SNSをスタートしていた方は皆無、
開業場所や専門業務を検討していた方もほぼゼロ。
住宅ローンを20年余残している方もいました。

 甚だしきは、3年以内に資格試験に合格して
郷里の田舎で事務所を開きたいという「夢物語」を
語り始めるケースもありました。

 彼らは、自分達の生活の糧にしようと目論んでいる
業界の先輩や起業コンサルなどから見れば
「最上級のお得意様=食い扶持」なのです。

 おそらく懇切丁寧に話を聞いてくれ、
親身になって相談に乗ってくれます。
そして、自分たちのフィールドに囲い込みます。

 彼らから見れば、相談内容を5分も聞けば
その内容の不十分さ、脆弱さを見抜きます。

 当然私も話を聞けば相談者の想いの重さは
把握できるだけの経験は積んできています。
ですが、私は相談者にとって耳の痛い話を厭いません。
夢心地の相談者がむざむざ貴重な時間と費用を浪費するのを
傍観は出来ないからです。

 

 繰り返しになりますが、
相談と夢を語ることは全く違います。
起業の根拠が固まっていないままの相談は無駄ですし
相談相手の選択にも十分な注意力を発揮すべきです。

 誰でも成功出来る!
 感謝のメールが続出!
 たった1年で貴方も成功者!
 年収1,000万円保証!

 こんな言葉で相談を決めるのであれば、
もはや起業する素質がないと自覚すべきです。

 

 もう一つ気になる点としては
現時点で同年代だからということで相談するケースです。

 具体的には、私と同じ62才なので身近に感じて
起業の相談に来ましたというケースです。

 確かに遥かに年下の先輩に相談するよりは
心理的な抵抗も少ないでしょう。
世間話でも会話が弾むのも確かです。

 ですが、意識すべき原則として、
サラリーマンからの転職経験者に相談するのであれば、
転職時の年齢が相談者の現年齢と同じ方に相談すべきです。

 私は資格自体は27才で取得して
52才で早期退職して起業し、今に至っています。
 
 今、私と同じ年の方が相談するのであれば、
62才で起業を図った方に相談すべきです。

 10年前には追い風だった環境(経済、社会などの)が
10年後の今も同じわけはなく、競合や必要性も
間違いなく変化しているはずです。

 どうもこの手の勘違いをされる方は
「同じ年の人間がここまで成功しているのだから自分だって…」
と思っているようでした。

 ですが、そこには10年間の時間差があるのです。

 
 無論、成功の秘訣は参考には出来ますが、
当時の成功の秘訣が、今もそのまま通用することは
まずありません。

 その時代だったから可能だった、
時代が求めるタイミングとマッチしたから
ある意味巡り合わせが最大の秘訣と言えると思います。

 

 今でこそ、私の業務としては
「相続・遺言、改葬」に始まり、
「終活」での相談を主としていますが、
開業当時の10年前に今を想定して
この分野に絞り込んだわけではありません。

 もう一つの業務である
シニアからの起業や独立の相談や
支援などは元来行政書士の業務でもなく、
自分で狙った訳でもない全く想定外の産物です。

 前者については、
今から10年前は、「終活」という言葉は市民権を得てなく、
相続や遺言、お墓の問題などは「人前で軽々しく口にしない」
避けるべき話題でした。

 なぜそんな分野に目を付けたのかと言えば、
競合がまだ少なかったというだけです。
将来を分析し、論理的な結論としてこの分野は拡大する!?
と確信した等という格好のいいものではありません。

 他にも当時は、まだ扱う書士が少ない分野があり、
色々な将来が期待出来そうな分野に首を突っ込んでましたが
結果に繋がったのがこの分野だけというのが真相です。

 

 後者に関しては、全くの偶然の産物です。

 自分では当たり前と思った会社員時代の行動様式が
何故か第三者から過分な評価を頂き、
テレビや専門誌、週刊誌などからオファーされ
拙い履歴を採り上げて頂いた結果でした。

 
 たまたま、終活という考えが一般に浸透してきたときに
SNSを中心にした業務案内が第三者の目に留まったから。

 たまたま、数多いる(はずの)シニアの転職経験者の中から
私の履歴が「一歩早く」第三者の目に留まったから。

 

 これを結果から見た後追いの見解として述べるとすれば、
終活関連業務は、まさにまだ(終活全般の)市場がない、
又はまだ未成熟なときにその分野のビジネスに目を付けたことが
成功の要因であり、競合の始まった時点ではブログやコラム、
又は取材記事等の効果によって検索ワード上位を安定して確保しており、
競合下でも優位に立てたのです。

 仮に今、60才の新米士業従事者が終活をメイン業務にしたとしても
時代も環境も全く変貌していますから、私の履歴をなぞっても結果は出ません。

 

 目の付け所が良くても、その時代が早過ぎれば
自らは成功の果実に与れぬまま撤退したでしょう。

 遅すぎれば、馬群に沈んでフェードアウトでしょう。

 まさに、「たまたま目の付け所が、その時代にマッチした」
というのが、私の結論です。

 ここに成功の公式は見出せません。

 先にも書きましたが、悪徳コンサルなどは
ここにそれらしい成功公式を当てはめて、
誰にでも成功のチャンスがあると宣伝し、
有料講座への勧誘をしてきます。

 もしかしたら、
私の目が節穴で、本当は理詰めで説明出来る
成功の公式はあるのかもしれません。

 でも私自身が理解していないのですから
他人に解説・指導など出来るはずはないのです。

 

 

 身もふたもない話になりますが、
先輩から業務成功について相談をする場合は、
以下のような切り分けを心掛けるべきでしょう。

 ・貴方が目指す士業の業務は、十分な市場規模があるのか?
 ・そこは既に競合激化な市場になっていないか?
 ・なっていなければ、なぜなっていないかの理由は分かっているか?
 ・その理由を踏まえて、なおその市場を目指すには何が必要か?
 ・その必要なものは、貴方が容易に入手できるものなのか?

 

 他人の轍の跡をなぞっても
その人以上どころか、同等の成功にもたどり着けません。

 

 尻上がりに辛辣な言葉になりましたが、
特に残された時間に限りのある55才以上のシニアで
士業での起業を志望するのであれば、
相当な覚悟をもって準備を始めなくてはいけません。

 

記事が参考になった方はクリック投票お願いします

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村 士業ブログへ

投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中
独りで思い悩むより「相談」から始めてみませんか?

まずはお電話で! TEL 03-5157-5027 月~金 10:00~19:00(土日は要事前予約)