【今日のポイント】

 先日、新聞記事に出ていました転職希望者の前に立ち塞がる「勤続20年の壁」

今日はこの内容について私の考えを加味して紹介したいと思います。

 

【勤続20年は働き盛りの中心】

 勤続20年と言えば、22才新卒で入社した場合、42才の中堅となっており、
一般的には部下を率いる部門責任者、中間管理職にあるケースです。
まさに会社の第一線で活躍する年代です。

 特により高いポジションで実力を発揮したい、
思い切って新しい世界に飛び込みたいといった
前向きの転職を考える最初の世代とも言えるでしょう。

 加えて今の経済状況下ではどんな会社にも業績悪化、リストラの実施と言った
リスク発生の可能性(危険性)は否定出来ません。

 何はともあれ、今の会社で上を目指すか、
将来性を鑑みて若いうちに(商品価値がピークのタイミング)
転職を図るべきか? 選択を余儀なくされるケースも少なくありません。

 以前とは異なり、終身雇用にあまり執着しないのも今の40台前後からで
50代になってからでは条件的にも相当厳しくなることも十分認識済みです。

 中にはいわゆる「ヘッドハンティング」の話を持ち出されるという
ケースも無きにしも非ずです。

 実力と実績さえあれば、
自分の商品価値を世に問う最高のタイミングと言えるでしょう。

 同様に、起業・独立を目指す場合でも
40代前半は「脂の乗った年代」であることに間違いはありません。

 飲食や小売業の場合の体力面でも
資格起業を目指す柔軟な学習能力の面でも
新しい分野に挑む意欲と気力といった面からも
今日では40代はベストなタイミングと思われます。

 

【問題は退職一時金の控除額に】

 さて、その40代のタイミングで
思いもよらない転職の機会に巡り合った。
理想の立地で理想の好物件が出てきた。
事業のパートナーと巡り合ったとして
今の会社を退職する際に、勤続年数に応じた退職一時金が支給されます。

 勤続20年での退職と21年の退職の場合、
支給される退職一時金にはそれほどの差はないはずです。
問題は退職金の支給額ではなく、控除額の格差なのです。

 原則として、
退職金を一時金で受け取ると「退職所得控除」が適用されます。
そして退職金への課税は勤続年数が長いほどこの控除額が増えるのです。

 控除額は勤続1年あたり40万円
これが勤続20年を超えると70万円に拡大するのです。

 ですが、途中で別の会社に転職すれば
それまでの会社での勤続年数はチャラになり、
また1年目からの計算に戻ってしまいます。

 

【制度をどう捉えるかで変わること】

 転職や起業・開業を最初に真剣に考える40代前後の場合、
最初の会社に22才で入社し、仮に切りのいい40才で転職した場合、
勤続年数は18年です。

 次に転職先で60歳定年まで働いたとしても
勤続20年ですから、共に先の条件を満たさないままの退職となります。

 この場合問題になってくるものの一つに、
住宅ローン等の返済計画があります。
仮に定年時の退職金で残債を一括返済という計画の場合は
手取りの退職金の総額が減額されることになるので
返済計画の大幅な修正が求められます。
 
 起業・独立となれば当面の安定的収入は期待出来ません。
1円でも多くの退職金を手元に残したいのは当然のことです。
ここでも事前の計画に齟齬をきたすことになり兼ねません。

 1年の違いであるならば、とりあえず転職や起業の計画を
1年先送りにすればいいだけではないか?

 確かに勤続20年目の場合なら、
翌年にずらせば「満額控除?」になります。

 ですが、その時に今と同様の転職の機会があるでしょうか?
最適の立地に理想的な店舗が来年まで残っているでしょうか?
そんな保証はどこにもありません。

 一時的ながらより高額の資金確保を優先するか?
それよりも転職や起業の絶好の好機を優先するのか?

 加えてこの選択の場合、
本人だけの決断では済むものではありません。

 前提としている40代という世代は
多くの場合家庭を持っています。
子供がいる場合は生涯最も支出が多くなる年代でもあるのです!

 ただでさえ定年退職時より目減りする退職金に加えて、
1年の差で大幅に減額になってしまう控除額の話を聞いて
特に配偶者が無条件に貴方の決断を了解するとは思えません。

 下手な交渉を始めてしまうと最悪な結果を招くリスクは
決して低いものとは言えないでしょう。

 根本的には制度自体の見直しが最適な解決策となるでしょうけど、
今の時点では現行制度の下でどういう選択をするかを考えるしかありません。

 仮に、この制度を前向きに捉えれば、
今の会社では最低でも勤続21年までは働く。
その間は転職を目指して、起業・開業を目指して
積極的に情報収集を図り、スキルアップに努める。 
そして勤続が21年を迎えた時点からは機会があれば
いつでも退職に移れるような状態になっておくことです。

 例えば今40才で勤続18年のケースでは
3年後の「控除額増額」までに何をするかを考えることが出来ます。

 この期間に
より好条件での転職を目指すならば資格を取得するとか
専門分野でのスキルをアップさせる為の行動を始めます。

 起業・開業を目指すのであれば資格の取得を目指す、
業界知識の習得を図る、市場調査を長期にわたって継続する等
限られた時間を有効に活用することに注力します。

 制度上の壁を新たな生活の為のスタートラインと考えれば
決断の後押しに利用することになるのです。

 上記の様に具体的な行動計画を家族に示すことが出来れば
3年後の決断への賛同を得られる可能性が高まることは確実です。

 

 この反対に、ただ漠然と転職や起業を検討しているだけの場合には
自分自身の考えが決まっていませんから家族への説明も説得力に欠け、
当然了解を取り付けることなど、不可能です。
 却って「二度とおかしな考えを持たないよう」定年退職一択を約束させられ、
二度と転職・起業の選択が出来なくなることもあり得ます。

 

 ほんの15年前までなら
転職や起業に関する問題は50代が検討する問題でした。
50代ともなれば子供の多くはすでに独立しています、
なので夫婦の生活だけを考慮すれば事足りたのです。

 当然勤続年数は20年を超えていますから
ここに挙げたような控除額の差額問題はほとんど存在しませんでした。

 それが今では
40代での転職や起業・独立の選択が普通になってきました。

 前例のない状況を自分の決断で対応せざるを得ない環境なのです。
制度自体の見直しが必要という意見もありましたが、現時点では前にも書きましたが自分たちの対応でこの制度と共存するしかありません。

 

 最前線で業務を遂行する40才前後の方に
更なる負荷をかけるようですが、

 この制度を
第二の人生の為の「起爆剤」として活用出来るか、
「やむを得ない阻害要因」として甘受するかは
貴方次第です。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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