【今日のポイント】

 コロナ禍が拡大を続け、終息の見通しが全く立たない中、
50代に加えて40代の会社員からの将来に関しての相談が絶えません。

 その中で「未曽有の経験」の為か、
これといった青写真を持たないまま現状を嘆くだけ?といった
相談なのか愚痴を言いたいだけなのかが判然としないケースが
かなり目立ってきました。

 以前は私もこのブログを始めとして第二の仕事選びのポイントは

 出来る事 
 好きな事
 得意な事
 やりたい事

 かつ、それで稼げるのか? 
をベースに考えて下さいと主張してきました。

 ですが、現状ではまずは「出来ること」を優先すべきと
考えるようになりました。

 残念ながら「好きなことや、やりたいこと」が
今の社会で求められていることと整合性があるかどうかが
極めて不透明だからです。

 

 今の環境下で何を考えるべきかについて
私なりに考えたものを紹介したいと思います。

 

 

【第二の仕事と老後資金2千万円問題】

 一時話題になっていた「公的年金以外で2千万円の貯蓄」
が必須という問題ですが、ある調査によれば
回答者の約70%は「貯蓄そのものに余裕はない」と回答し、
約30%だけが「2千万なら備えがある」と回答したそうです。

 このケースは、前提として一定の収入がある世帯で
夫婦2人が老後も不安なく暮らせるためには、月収の他に
2千万円の貯蓄等が欠かせないというものです。

 定年退職や早期退職の時点で、
まだ新しい仕事に就いていなければ
よりその時点での貯蓄や備えは大きなポイントになります。

 何度もこの場を借りて述べてきましたが、
個人的な見解として、60才の定年退職時に、
あるいはそれ以前の年齢でも早期退職などを
決断した時点で、または再雇用の期限満了で
再び仕事探しを始めるといった時に、
次の仕事の目途が無ければ、
最低でも年収の2年分程度のストック
確保しておきませんと精神的に追い込まれます。

 「時は金なり」といいますが
私は個人的に「時は金次第」と思っています。

「金=ストックの多寡で」「使える時間が買える=増やせる」
ことは間違いのない事実だからです。 
 

 当座の生活資金に心配がなければ、
焦ることなく転職先のリストアップや比較検討に時間が割けます。
再就職の場合でも情報収集の時間に余裕が持てます。

 備えがあれば、使える時間が増えるのです。

 この反対に、明日からでも収入を確保しなければといった
切羽詰まった状態で仕事探しをする場合、
焦って判断ミスを犯し、ブラックまがいに再就職したり、
狡猾な投資詐欺の餌食になるケースは少なくないのです。

 私自身、2年分の年収を確保して
士業開業の決断を下しています。
そしてちょうど2年経過後に、
想定外の業務を確立し本業に加えて
2本柱で収入の自信(これでやっていけそう?)を得たのです。

 

 年齢に関係なく
新たな人生を新たな仕事で送るという場合、
老後の貯蓄2千万円問題は、形を変えて直面する問題です。
仮に年収2年分を新生活の為に備えるという場合、
具体的にどうするか? 

 先に紹介した老後資金2千万円を確保するために
どういう対応を考えているかという問いかけには、

1)働き続ける   ~半数以上が選択
2)資産運用で   ~約30%が選択
3)家計の引き締め ~12%前後が選択

という結果でした。

 再就職や転職、起業・独立のケースに
当てはめてみますと、どれも退職が前提ですから
1)は除外されます。

 そうなりますと選択肢は2つです。

 意外に思えたのは、2千万円問題への対応の回答で
家計の引き締めが最下位だったことです。

 意識すらしていないのか、
意識はしていても選択はしなかったのか?
気になるところです。

 収入が不透明であれば、支出を見直す(削減する)ことは
当然の最優先選択事項のはずです。
場合によってはかなりの生活の変化を強いられることでしょう。
そうであれば余計に早い段階で支出削減を開始しなくてはいけません。

 定年を来年に控えていきなり今日から生活費半減と言っても
実行は困難です。まして退職後から支出を見直すということでは
より削減の実現は困難です。下手をすれば高額の退職金を前に
却って散財を推進するケースも出てくるほどです。

 収入が減るなら支出を減らす、
そうすればストック自体は変化しないと頭では分かっていても
いざ実行に移すには時間がかかるのです。

 

 では資産運用(を選択)はどうでしょうか?

 このアンケートの場合はまさに投資運用会社からの
甘い勧誘に心が動かされている証拠でしょう。
特に、退職直後に狙いすましたように取引銀行系列の証券会社から
投資案内や勧誘が開始されたのであれば、要注意です。
向こうサイドから見れば「警戒心皆無で漁場に回遊してきた獲物」
なのですから。
 
 
 老後資金の確保の為であっても、第二の仕事に就くまでの
繋ぎとして扱うにしても、かなりのハイリスクです。
このやりかたを選択するかしないかは、あくまでも自己判断ですが、
現状のコロナ禍による経済低迷の時期にあえて挑むことは
私は絶対に選択しませんし、お勧めもしません。

 2千万円問題と同じく、
退職後ではなく、今からの備えとして
「目減りを最大限絞る=無駄・浪費の排除」を意識して
日常生活の抜本的見直しを始めるべきです。

 

 

【何才まで働く?】

 働き続けるを選択した場合、
では具体的に何才迄という問いかけに
最も多かったのは
70才までは働くで、40%以上でした。
次が65才までの約36%、
60才の定年退職までが7%未満でした。
 
 逆に健康なうちはエンドレスで
という回答は9%以上となっていました。

 会社勤めをベースに考えれば、
雇用延長や再雇用を利用出来て
現状では期限は65才までが一般的ですから
70才まで働くことを選択したということは
さらに5年間、どこかで何かの仕事に就くという
選択をするということでしょう。

 またエンドレスで働きたいというのは
次の再就職や転職先は定年がないような会社や職種を
選択するということでしょうか?

 この希望に一番当て嵌まるのは
宮仕えよりも独立・自営業ということになりますが、
残念ながらここまでの分析はされていませんでした。

 このような社員側の考えとは別に
会社側は早期退職勧奨で社内の人員構成の見直しを
図ってきます。

  ですが意外にも過去10年間をみると
実施済みと答えたのは僅かに26%でした。
実施済みの場合の対象年齢は「50才以上を対象」
最も多く約29%、次は「40才以上」で26%と
若年層を早期退職の対象としていました。

 早めの決断を促すほうが選択肢は多い、
という?一種の思いやり?なのでしょうか?

 さらに、その時の会社の経営状態は
黒字決算が67%と出ていました。
(赤字は28%でした)

 ただこの調査は昨年上半期ですので
コロナ禍で経営悪化が急増している現在では
赤字による勧奨はこれ以上に拡大していると思われます。

 恐らく今までとは異なり、
対象年齢も50代以上を中心とした
目先の固定費(高額人件費)削減を優先するのは
避けられないでしょう。

 

 

【どう働く?】

 まず再雇用の場合、定年時の賃金と比べて
50%以上の減額というのが、約40%
30%以上40%未満が、約40%でした。

 以前と同程度の条件での再就職を果たせたのは
たったの7%ということです。

 では退職時の給与に満足していたかと言えば、
なんと約75%は「不満あり」とのことでした。

 当初から不満ありの給与水準を
それでも保つことが出来たのが、たったの7%、
不満ありの水準がさらに半額になるのが6倍弱の40%です。

 冒頭に書いたように今までの生活を見直し、
支出の削減を図る事は避けられない案件と言えるでしょう。

 さて、現状は
再雇用で最長65才までは現職で働けるケースが多くなりました。
では、そこから先はどう働くと考えているでしょう?

 この調査でも、
今と同じ会社の同じ職務で、同じ地域・部署を希望する
が 実に63%以上でした!

今と同じ会社で、今とは違う地域、部署を希望するのが約4%
子会社や関連会社へ出向でというのは1%未満でした。

 圧倒的に「今のままで70才まで」希望者が多いということです。

 ちなみに、
他の会社へ転職を目指すは、約10%、
起業・独立を目指すが約14,5%でした。

 やはり65才からの新天地に打って出るという決断は
相当な重みがあるということでしょう。

 今の会社で働くといっても、
実際は50%以上の収入減を覚悟する前提で、
多くは1年毎の再雇用契約となりますから
70才までの保証どころか翌年の保証すらありません。

 加えて最も多くの相談案件の一つである
以前の部下が上司という逆転の立場の居心地の悪さ、
誰にも出来る業務主体でのモチベーション低下やスキルの劣化は
事前に納得(覚悟)しておく必要があります。

 

 転職の場合は、
これも高齢になればなるほど求人枠は減少し、
あった場合でも収入は激減を覚悟、
それでも求人のリミットは今や50代前半という事実。

 うまく転職を果たしても契約社員であれば、
ここでも早期に結果を求められる立場であることに
変わりはなく、下手をすれば1年でお払い箱もあり得ます。

 自らが望む職種や業界への転職であれば
給与水準や年齢構成の逆転なども織り込み済みとして
やりがいを優先出来るかもしれません。

 ですが、不本意に前の会社を退職しての転職の場合
そうは簡単に納得は出来ないでしょう。

 

 最後に、起業・独立の場合ですが、
私の属する士業に関して言えば、
ポイントは最低限2つと考えています。

 一つは「細く長い収入源の確保」
いかに短期間で達成出来るか?

 もう一つは「複数の収入源の確保」
いかに短期間で達成できるか?

 法的に取り扱いに問題がない業務分野の中で
いかにして自分の強みを活かせ、かつ上記2つを
満たせるような業務を見出すかが決め手と思っています。

 言えば簡単ですが、実際は相当な難問です。
全て自己責任ですからどういう分野を選ぶかは
全くの事由ですが、結果責任も全て自分となります。

 絶対とは言いませんが、
これまでの会社員時代の経験や人脈、
あるいは独特のスキルを持っているのであれば
それが活かせるような起業を目指すことで
成功の確率は高まることとなるでしょう。

 

 

【業務歴の棚卸】

 ここで話題を変えます。

 貴方がサラリーマンであるならば
定年後ではなく在職中に、
又は第二の仕事選びを始める前に
ぜひ以下の作業をすることをお勧めします。

・どの期間に
・どの部署で
・どんな仕事に従事してきたか?

・そこではどんな成果・失敗を経験したか?
・その結果修得出来たスキル・ノウハウは何か?

 仕事に関連した活動歴も重要です。

・業務の必要上、取得した資格があるか?
・その為に講習会やセミナーを受講したか?
・社外活動でのボランティア経験の有無は?
・子会社や関連会社への出向経験の有無は?

 
 この両面から見つめ直すことで
在職中の全期間を通じての
自分の強み、弱みが
見えてくるはずです。

 

 例えば、
・自分は集団で力を発揮してきたタイプだったか、
・単独行動の方が実力を発揮してきたのか
 などは一目瞭然になるはずです。

・対人折衝の適否はどうだったか?
・計数感覚 論理的、柔軟性はどうだったか?
・複数の業務(部署)を経験してきたか?
・最後まで一つの業務(部署)に専従してきたか?

 

 このような自身の履歴の棚卸しを済ませておけば
仮に求人情報サイト(特にシニア向けの「マイナビミドルシニア」)
を検索した際に自分の履歴が活かせるような情報を
比較的早期に発見することに繋がります。

 もちろん、場合によっては自身の現在の市場価値が
自分の想定を超える評価(低評価の方で)という事実に直面もします。
ですが、自分の棚卸を済ませておけば、ある程度は理性的に
今求められる人材の要素は何か、それが今の自分にあるかどうか?
今の自分のスキルはどの程度の需要があるか等を
客観的に把握することにも効果的です。

 

 

【終わりに】

 昨年の今頃は、
今のような事態を想像すら出来ませんでした。
今までの風水害等の自然災害の場合は
不謹慎ですが地域が限定されていました。

 今回の様に全国的、全業種に長期にわたって
重大な影響を与えるような事態は私は生まれて初めてです。

 

 誰もが未経験という条件下では
前例(過去の成功例)は参考にはなりません。

 残念ながら50代以上の方にとっては
今迄経験したことのない環境下で、
第二の人生を始めることを強いられるのです。

 だからこそ、
より早期に、
より多くの情報を
より多くの時間をかけて吟味して、
最悪の選択だけは避けることを
心がけなくてはいけないのです。

 

【補足】
 30日付の日経朝刊によれば、厚労省のデータとして
コロナ禍に関連した解雇や雇止めは4万人を超えたとありました。

 この1ヶ月で1万人の増加であり、
その前段階の2万人台から3万人台に増加したのも1ヵ月で
毎月1万人のベースで失業・休業者は増加中とのことです。

 4万人のうち1,5万人超は「非正規労働者」で
宿泊業と製造業が共に6千人以上でトップでした。

 今年の1~6月までに「希望退職(早期退職勧奨)」を実施した企業も
上場企業だけで41社、これは既に昨年1年間の実施件数を超えています。

 上半期だけで40社を超えたのもリーマンショックの2010年以来で
この時は66社でしたが、下半期以降の動向に明るい前兆は全くなく、
この数字を上回るのではと懸念されるところです。

 雇用環境は日々悪化しています。
第二の仕事に関する競合はそれに比例して激化するという事です。
くれぐれも貴重な時間を空費しないで下さい。

 

 

 

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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