【今日のポイント】

 今月1日から順次施行される改正民法。
その中から我々の日常生活に深く関与している内容(の変更)について
簡単に紹介してみました。

 今回は、その第一弾として、「短期消滅時効の見直し」です。

 

【短期消滅時効の見直し】

 従来は原則として、
債権の時効期間を10年としていましたが、
例外として通常より短い時効期間が定められる制度があり、
それを短期消滅時効と言います。

 今回の改正前はこの短期消滅時効は
職業別にバラバラに設定されていました。

 一例をあげれば
飲食店の飲食代、ホテル等の宿泊代、運送費などの時効期間は 1年
弁護士、公証人の報酬に関するもの、卸売商人、教育費用に関する債権は 2年
医師、薬剤師の報酬、不法行為に基づく損害賠償請求などは 3年

といった具合でしたが、
これが改正後は原則全て時効期間は以下の通り同じ扱いになりました。

・債権者が債権行使を出来ると知った時から5年
 但し、生命、身体を害するもの以外の不法行為は3年
 (交通事故での物損の場合等)

・客観的に権利行使が可能になったときから10年

 
 極端な例えになりますが、
飲食店での「食い逃げ」の場合、
従来は1年間逃げ切れれば、時効成立となっていたました。

 これが今回の改正によって
「生命、身体を害するもの以外の不法行為による損害」
に該当となれば時効は最低でも3年となるわけです。

これによって「店側の回収の可能性=追跡期間」が3倍になり、
食い逃げ犯は3倍の年月を逃げ隠れしなくてはいけなくなったのです。

 ただ、
個人間での貸し借りの場合はこの逆で、
今までは時効まで10年の期間があったものが
今改正後は、5年と半減されたのです。

「彼に限って」「催促がしにくくて」等など、
親しき仲に過剰な遠慮や気遣いをしていますと
貸し倒れの危険性は倍増することになります。

 

【注意点】

 最大の注意点は、
2020年4月1日以降に発生した債権に
改正後の民法が適用されるという点です。

 ですから2020年3月31日以前に
既に発生していた債権については
改正前の個別に設定された短期消滅時効が適用になるのです。

 請求開始が4月1日以降であっても、
発生が3月31日以前であれば、改正前の民法に適用となります。

 いつ発生した債権問題なのか?
この点はよく認識しておく必要があります。

 もうひとつの注意点は 
人の身体や生命に対しての不法行為は5年の時効ですが、
モノに対する不法行為は従来通り3年である点です。

 これも例えとして、
親しい仲同士で自動車事故を起こしたというような場合、
つい強く言えないまま「時効まで5年あるから相手の誠意を期待する」
などと消極的な対応で問題解決を先延ばししていますと
事故発生後3年経過した時点で修理代などの損害賠償は時効となるのです!

 

【時効の更新】

 時効は、停止させることが出来ます。
改正後は「時効の更新」という呼称になりましたが、
期間内に損害賠償等についての「内容証明」を相手に送付していれば
時効期間が6か月延長されます。

 裁判の場合ならば、時効期間は10年に延長出来ます。

 これら以外にも
相手に債務があることを認めさせれば時効の更新となり
当初の時効期間まで巻き戻すことが出来ます。

 他にも当事者間の話し合いによっても
時効の先延ばしが出来るようになりました。

 

【労基法との関係】

 また賃金未払い、残業代未払いなどの賃金債権については
現在は労働基準法による時効期間は2年とされています。

 実は民法では賃金債権の時効は1年とされているため、
労基法のほうが労働者よりの対応(だから労基法なんですが)
だったのですが、今回の民法改正でこの時効期間が変わります。

 とはいえ、
今改正の結果、民法では5年の時効に対して
労働者の味方のはずの労基法の時効が2年では
労基法の立場がなくなってしまいます。

 ですがいきなり2年から5年では
これはこれで変動幅が大きすぎるということから
「暫定的に時効は3年」の変更(延長)に留められました。

 これも先と同じく、
2020年4月1日以降に発生した未払い等の問題に関して
適用されることになるので注意して下さい。

 また、3年はあくまでも暫定なので、
急遽民法と足並みをそろえて5年になる可能性もありますので
今後の推移にも注意が必要です。

 

記事が参考になった方はクリック投票お願いします

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村 士業ブログへ

投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中
独りで思い悩むより「相談」から始めてみませんか?

まずはお電話で! TEL 03-5157-5027 月~金 10:00~19:00(土日は要事前予約)