【今日のポイント】

  個人的には今回の法改正の中で最も関心のある項目である
「自筆証書遺言の保管制度」について、4月2日現在の制度内容が
 法務省のHP内に掲載されました。

  今回は現時点で判明している項目についての紹介と
 今回の内容で私が疑問に感じた点を法務局に問い合わせした内容について
 紹介していきたいと思います。

 

【自筆証書遺言保管制度とは?】

 まず、これまで自筆証書遺言の保管は
「自己責任」が大前提でした。

 自筆証書遺言と並ぶ公正証書遺言のメリットのひとつに、
公証役場での遺言書の原本のを保管という点がありました。

 これが、今回の改正によって自筆証書遺言であっても
法務局という第三者機関による保管が可能になるのです。

 この他、保管に付帯する事項として
・遺言書の原本は、相続人等には交付しない。
・遺言書の保管の申出は遺言者本人に限定する。
・遺言書保管の有無の確認、保管されている原本の閲覧請求等が
 出来るのは相続人、受遺者、遺言執行者に限定する。

 という取扱いを同時に定めるとあります。

 一見してわかりますが、
遺言者本人の意向を最大限配慮するとした内容と思えます。

 また、相続の発生に伴い
保管していた遺言書の原本閲覧や
正本の交付を相続人が申し出た場合は
申出人以外の相続人等に対して
遺言書保管の事実を通知するとありました。

 この点も相続人間で不平等な扱いが
発生しない為の方策と考えられます。

 また、最大のメリットの一つと言えるのが、
従来は家裁による検認作業が不可欠だったものが
新制度によって、今後は家裁による検認が不要になります。

 

 なお、上記内容は以前にもこのブログ上で紹介しています。
以下にリンクを貼りましたので自筆証書遺言の要件緩和と併せて
参考にして下さい。

自筆証書遺言の保管について

 

 もう一つ、参考データとして
法務局のHPの該当部分にもリンクを貼ったので
こちらも各自で確認して下さい。

自筆証書遺言保管制度

 

【保管できる場所は?】

 さて、では肝心の「遺言書を預かってくれる法務局」は
どこにあるかという点ですが、東京都に関しては少々意外な
展開でした。

 東京都には九段下の法務局本局を始めとして
3つの支局と19の出張所があります。
このうち、保管場所として紹介されているのは
本局と3支局、そして板橋出張所の5拠点だけでした!

 ちなみに3支局とは「府中」「八王子」「西多摩」
23区内はすべて出張所です。

 参考までに出張所の一覧です(50音順)
板橋
江戸川

品川
渋谷
城南
城北
杉並
新宿
墨田
世田谷
台東
立川
田無
豊島
中野
練馬
町田

 ですから23区内は本局(九段下)と板橋出張所だけとなります。

 それならば、
私はたった2か所だけなら23区すべてを2拠点で対応するものと思ったのですが、
今後対応可能区域(受け持ち区域)を2分するとのことでした。

 2か所だけというのも、今後の使用頻度等を考慮するためで
このまま2か所で固定するということはないはずですとのことでした。
利用頻度の高い区が出てくれば、対応出張所も増加するのでしょうか?

 東京都以外の詳細は
以下のリンクから該当地域の対応法務局を確認して下さい。

自筆証書遺言保管制度に対応する法務局保管所の一覧

※このリンク先のサイトに、申請から閲覧、交付などに関しての
 手数料も掲載されています。こちらも同時に参考にして下さい。

 

 

【現時点でのQ&A】

1)申請者の範囲は?

 この制度の骨子が公表されて以来気になっていたのひとつに
「申請出来るのは、遺言者のみ」という点でした。

 正常な判断力を持っていても寝たきりの場合や
病床にあって申請に行くことが叶わないケースなどの場合は
この制度は適用されないのかという点を確認したところ、
上記のような場合はこの制度ではなく「公正証書遺言」の作成で
対応が可能となることから、あくまでも申請は本人限りということです。

 

2)遺言者の閲覧も手数料が発生か?

 遺言者が生前に申請済みの遺言書を閲覧する場合、
例えば、内容の確認の必要が出た場合等に作成し、申請した
遺言者本人であっても閲覧の都度、手数料は発生します。

 申請の際には、内容を徹底的に検討し、完全に納得のいく
遺言にしてから保管するようにしませんと、無駄な出費を
強いられることになりそうです。

 

3)遺言書の閲覧時に写真撮影は可能か?

 閲覧には
原本閲覧と画像データの閲覧(タブレットによる)があり、
それぞれに手数料が発生します。(前者が1,700円、後者が1,400円)
決して安くはない金額で見るだけ? 今日は親族代表で来たので
後日他の親族に証拠として見せたいといった要望はあって当たり前です。
ではカメラでの撮影などの可否についてはどうでしょうか?

 これについては現時点では「未定」だそうで、可とも不可とも言えない
という回答でした。 後日(施行日前までに)方針を公表するようです。

 

4)同じく閲覧時の手数料の基準は、回数か人数か?

 現在の規定では
閲覧1回につき1,400円、又は1,700円とあります。

 仮に相続人である子供たちが
兄弟そろって大挙して閲覧に訪れた場合、
一人当たり1,400円なのか、
何名だろうと1回あたり1,400円なのか?

ということになるのかを確認しましたが、
これも現時点では未定です。

 もしも「人数基準で費用発生」にされては
それこそ無視出来ない額の出費になる場合もあります。
ここも正式な見解の発表を待つことになりました。

 

5)写しの交付はどこでも対応可能なのか?

 いわゆる「遺言書情報証明書」の交付はどこで可能なのか?
これは明確に「先に挙げた保管所のみが交付できる」とのことでした。 

 

6)保管されていることの通知に関して

 仮に複数人いる相続人の中の一人が交付や閲覧の申請をした場合、
申請者以外の相続人に対して、その事実を通知するという制度があります。

 この場合、HPにあるパンフには郵送と思われるイラストが掲示されています。
では、郵便物の扱いはどうなるのか? 親展扱いか、書留扱いか?
普通郵便では当該相続人以外の家族が先んじて内容を確認出来てしまいます。

 この点についても「回答保留」となりました。
いずれ、正式な様式が公表されることと思われます。

 

7)未完成のHPについて

 ここまで紹介してきた内容を含めた法務局のHPですが、
遺言書保管制度のトップページでは12のメニューが用意されています。

 ですが、3日現在閲覧可能なメニューは僅かに4つです。

 これも、何時からという確約は出来ないものの、
7月10日の施行日までには全メニュー閲覧可能な状態にします
とのことでした。

 

 

 

  まだまだ全貌が明らかになっていない保管制度です、
今後も何らかの進展があり次第、この場で紹介をしていきたいと思います。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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