【今日のポイント】

 今回は相続に関係する相談事例の中から、
記憶に残った相談内容について、紹介したいと思います。

 もしかすると、
貴方の今悩んでいる問題の解決のヒントに
なるかもしれません。

 

 

【遺言作成が進まない】

 この事例は、親が書いてくれないのではなく、
自筆で遺言を遺す意思はあるものの、知識も乏しく
なかなか資料集めにも手間取っている親を見て
公正証書遺言の作成のメリットを説明して
その方向に誘導して欲しいというものでした。

 どちらかというとレアケースです。
通常はどうすれば気分を害さずに親に遺言を
書いてもらえるかという相談が圧倒的ですから。

 親の責務として、自分の言葉で子供たちに
遺産相続を果たしたい、でも完成には程遠い。

 この場合でも、子供が良かれと思って
公正証書に切り替えさせようとすると、
却って遺言作成自体を放棄してしまう事もあります。

 ですからあまり強引な説得や誘導は禁物です。

 話を伺うと、
被相続人(父親)には配偶者は既に亡く、
相続人は兄弟2人だけでした。
兄弟仲は非常に良好で共に借金もなく現状の生活でも
おカネにこまっていることはないというものでした。

 ご存知の通り、遺言書は正式なものが遺されていても
相続人全員の合意による遺産分割協議が成立すれば、
法的な効力は遺言書に優先します。

 極端な話、書式に則ってない自筆遺言であっても
そのまま受け入れておいて、その後相続が発生した時点で
兄弟2人による遺産分割協議で正式な遺産相続を決め、
相続手続きに入ることで問題はないのです。

 但し、
相続財産の目録と法定相続人の確定だけは
遺産相続には欠かせないので、
この場合正確な相続財産の情報だけは
父親に用意してもらうと後々楽になります。

 親子間、兄弟間で
確実に遺産相続で確執を生じない自信があるのでしたら、
無理に正しい遺言書作成に固執することなく、
エンディングノートの一環で
財産調査と相続人調査だけは、親の合意の下、
事前に済ませておけばそれで十分ではないか?

 相談者との協議の結果、
相続財産の目録だけを父親に依頼した結果、
数週間後に目論が完成し、遺言書の作成から
エンディングノートへの切り替えも叶ったとのことでした。

 

【相続発生後の遺産分割協義で兄弟間で確執】

  この事例は少なくありません。
長男は大学まで親の援助で出してもらったものの、
その後の家業の不振から次男の時は大学進学を諦めた、
あるいは4年間の全ての学費を自分が働いて賄った…

 この差額は兄貴の「特別受益」だから
遺産相続の際はその分遺産を多く貰う権利が弟の俺にはある!
と遺留分請求を主張するケースです。

 似たような話では
長男夫婦には新居の頭金をポンと支払ったり、
初孫の学費や入学時のお祝いなどと比べて
次男である自分の子供の場合は「雀の涙」ほどの
祝儀しか貰えなかった! 等があります。

 2019年7月までは、
特別受益に関して、相続人の主張を制限するという規定が
ありませんで、その為法的な結論が出せませんでした。
この結果、延々と相続人同士の話し合いを重ねて
決着をつけるしか方法が無かったのです。

 これが法改正後には
「10年以上前の特別受益に関しては時効とする」
明文化されたのです。

 これは逆に言えば、
遺留分に関しては相続の発生前10年間の特別受益に絞って
審理されることになったという事です。

 相談者の場合は、既に10年以上前(ほぼ四半世紀前でした)
の学費の援助であった為時効となり、主張は認められることは
難しいでしょうと回答しました。

 

【相続人は妻と道楽息子1人の計2人】

 財産としてはいくばくかの預貯金と夫婦で暮らす実家だけ。
息子は事業に失敗、遺産相続に期待している有様。

 今のままでは
私の死後には今暮らしている実家を巡って遺産争いは避けられない?
今までの経緯(息子の放蕩)もあって妻と息子は実の親子ながら絶縁状態・・・

 シニア世代の息子さんを持つ高齢の父親からの相談でした。

 この場合、
婚姻期間が20年以上であれば、
今回の法改正によって
夫婦間における居住用不動産の生前贈与は
遺産分割の対象外になりました。

 なので条件を持たしているのであれば、
妻が暮らす実家を遺産争いの対象から外すことが
出来るという点を説明しました。

 既に結婚40有余年ということなので
妻に生前贈与しておくことで、事前に「争族の芽」を摘むことになりました。

 

【田舎の親の実家、いつ「特定空き家等」に指定されるか?】

 特定空家の指定を受けると家屋が残っていたとしても
固定資産税は今までの6倍になる!
 
 更地にさえしなければ、固定資産税は軽減される
という(メリット?)が通用しなくなる! 
そういえば既に空き家になった郷里の親の実家、
無駄に大きく、かといって買い手もなく、使い道もない家屋と土地、
6倍の固定資産税を課税されるのは何時からでしょうか?

 という内容でした。

 少々、制度の理解が不十分なケースで、
実は空き家であっても保全が十分であれば
特定空家などには該当しないのです。

 特定空家の定義を紹介したところ、
そこまでの「廃屋」ではなかったようで
ひとまず安堵していました。
 
 ついでに、補足として
仮に特定空家に指定された場合でも、
正確にはその時点では既にその土地は「宅地」ではなく
「駐車場や倉庫の扱い」になります。

 この場合、当該の土地(元宅地?)が200㎡以下であれば
固定資産税は6倍ではなく、4倍超になります。
全てが即6倍という訳ではないのです。

 それでも固定資産税は4倍超の「増税」にはなりますから
負担が一気に増大することに変わりはありません。

 

【故人の財産調査で金融機関に出向いたが、情報の開示に差がある】

 金融機関毎に基準が違うのでしょうか?

 親の名義の銀行口座の調査を始めたところ、
情報開示が一律ではない、これはおかしくはないでしょうか?

 50代の方が実際の手続きの際に感じた疑問でした。

 これは間違いではありませんし、
手続き上のミスから開示に差が出たわけでもありません。

 まず、ゆうちょの場合ですが、
「現存照会」という方法で手続きがあります。
これは、戸籍謄本や運転免許証等
相続人であることを証明出来る書類を持参し
被相続人名義の口座について問い合わせることが出来ます。

 この場合、被相続人名義の口座の有無の確認、
口座があった場合のその種類、番号、貯金残高を開示してくれます。

 これに対し市中銀行の場合は
「全店照会」という手続きで、
先のゆうちょのように情報を開示してくれますが、
被相続人名義の口座の有無や支店名等は開示するものの、
口座の残高は開示しないというのが一般的なようです。

 

【他の書類と違って1部しか交付されないものは?】

 戸籍謄本や除籍謄本と違って、
死亡診断書(死体検案書)は複数枚交付されるものではありません。
とはいえ、各種の手続きに死亡診断書は欠かせないので、
コピーを多めにとっておく事が必要になります。

 仮に原本のみで手続きを進める場合、
先方の手続きが終わるまで原本は返却されませんから
その間同書類を必要とする他の手続きを進めることが出来ず
無駄な時間を費やすことになります。

 

【被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要】

 最後は、相談者の思い込み?
ケアレスミスの部類かもしれません。

 子供である相続人が、
早手回しに存命中の親の「出生から死亡までの」
戸籍謄本を収集を始めたさいに「今の本籍地までの謄本」
全て収集したと連絡がありました。

 どうも「死亡まで」の意味を
どうせもうこの場から戸籍を移すことはないのだから
「今現在の戸籍」でも十分だろうと考えたのでした。

 求められるものは「死亡までの戸籍」ですから、
今更変更することはないからと「存命中の戸籍」での
代用は出来るはずもありません。

 死亡診断書と同じく、
相続発生後でないと入手できない書類があること
に留意するようアドバイスをしました。

 

記事が参考になった方はクリック投票お願いします

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村 士業ブログへ

投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中
独りで思い悩むより「相談」から始めてみませんか?

まずはお電話で! TEL 03-5157-5027 月~金 10:00~19:00(土日は要事前予約)