【今日のポイント】

 今や肺炎禍で卒業式や卒業旅行は無論のこと、
入学式や入社式まで自粛、取り止めのニュースの毎日です。

 既に始まっている来年の就職に向けての活動にも影響が出始めている中、
新卒時の就職活動と、シニア世代が迎える第二の就職活動について
改めて比較することで、シニア再就職の実態を見つめてみたいと思います。

 

【新卒時と再就職時の違い】

 新卒者が臨む就職活動の場合、
ほとんどの場合は生まれて初めて「学生の身分」から
脱却することになります。
 
 アルバイト経験等で
「仕事の何たるや」は理解出来ていても
いざ就職となれば、立場は大きく変わります。

 特に会社組織に属する宮仕えを望む学生は
当然ながら仕事のノウハウやスキル等は
持ち合わせてないのが当たり前ですね。

 企業側も、その点は既成事実として
「将来性や可能性といった期待値」を採用の基準としています。

 ですから会社人としての教育や指導といった
時間をかけての戦力化を前提としてますね。

 これに比べて、
シニアの中核と言える50代、
いや今では40代半ばまで範囲は拡大中ですが、
シニア年代の場合、転職でも再就職でも、
会社=募集側の採用基準は「即戦力の採用」という
一点に絞られると言っていいでしょう。

 特に50代で再就職の場合、
会社の規定にもよりますが、60~65才で定年退職
というのが現時点では一般的でしょう。

 そうであるならば、
在職期間はせいぜい10年前後です。
将来に向けた「期待値・戦力化までの猶予」
といった悠長なことは言ってられません。

 

【求人情報の読み方】

 よくハローワークの求人情報サイトに、
「急募!」 「即日採用も可」等の記載がありますが、
実際に明日にでも採用しなければ会社が危ない!
といった例は実際は皆無です。

 なぜなら今、
会社は存続し、通常営業が出来ているからです。
ハローワーク等に募集をかける余裕があるのです。

 会社の要望に適した人材が見つかるまで
「待つこと」が出来るところだけが、
求人市場で人材募集を告知しているのです。

 
 それでは、
額面通り、会社が求めるスキルを持っていたら
即採用につながるかと言えば、そうとも言えません。

 仮に期待値を上回るスキルがあったとしても
その次には会社の社風、仕事の進め方等、今までとは異なる環境に
進んで早く慣れようとする意識や、慣れることが出来る対応力
を面談で精査されます。

 その為には職場の同僚や、特に部下に対しての
コミュニケーション能力が求められます。

 面接時のやりとりで
上記のような点に難ありと判断されたら
その時点で就活は終了と見ていいでしょう。

 

【40代以降の採用基準は?】

 先にも書いたことですが、
即戦力で会社に貢献が期待できるか否か 

 採用基準をひと言で表現すれが、これに尽きます。

 会社側から見れば、
40代以上のシニアであれば、
それなりの給与・待遇を考慮しなくてはいけません。

 で、あるならば
その待遇に応えてくれるのは
出社当日から戦力として稼働してくれること、
これが当たり前とみてきます。

 じっくり会社に慣れて下さい、焦らずに…
等は役員クラスやヘッドハンティングで
招聘したような場合だけです。

 40代半ばでも定年までは15年前後、
50代半ばであれば僅か4,5年で定年を迎えます。

 そんなショートリリーフに
悠然と会社に慣れ親しむといった時間はない
と自分でも思うべきですし、
会社側としたら、そのような効率の悪い出費は
極力避けるのが当然と思うべきなのです。

 50代より40代、
40代より30代での中途採用を望むのは
正常な企業論理なのです。

 

 私自身、思っていたことですが、
事務職での再就職は確かにそうだろうけど、
モノを売る営業職であれば、却って潰しが効くのでは?
どんなに機械化、自動化が進んでも
ヒトにモノを売るのはヒト、
だから営業職は生き残れる…

 
 確かに一理はあるのですが、
昨今益々物品の専門化は進んでいます。
その進化の時間もどんどん短縮化されています。

 実例を挙げますと、
以前の私の仕事だったカーステレオ営業では、
昔はまさにカーステレオ本体だけの知識で十分でした。
クルマへの取り付けについては我関せずで
そこは街中のドライブショップの責任の範疇でした。

 それが年々増加の一途をたどる新車情報を収集し、
どこにどうやって取り付けるか、純正品と変わらない取り付けはこうだ
といったクルマに関しての最新情報が求められるようになりました。

 それ以上に、本業のカーステレオについても
毎年のように新しい機能が追加された新作が発売され、
再生メディアもカセットテープからCD、MD,DVDと
多様化し、カーナビやドラレコといった別種と言える製品知識も
求められるのが当たり前となりました。

 最後の時点では携帯やスマホとの親和性についても
専門知識として修得することが求められたのです。

 同じ業界、同じ製品を扱うと言っても、
僅か20年でここまでの変化に対応しなくてはいけない
「昔の名前では通用しない時代」になったのです。

 正直な話、私自身は45才を過ぎた頃から
新製品や新技術の知識の習得に苦労していました。

 このように
長年業務に携わっていても対応に苦労するのに、
2,3年、若しくはそれ以上のブランクがあれば
どういう結果になるかは明白です。

 さらにその業界は初心者というのであれば、
並大抵の努力では再就職、転職が叶う程の、
言い換えれば、
採用側の期待値に達するほどのスキルは取得出来ません。

 市場の細分化と共に、
取り扱う商品もより細分化されているのが令和の現状です。

 営業職で勤続20年、退職後5年経過後に再就職の方と
同じく営業職で、勤続期間は半分の10年でも
再就職の直前まで営業の第一線で勤務していた方を例にすれば
長年の経験値も確かに大切な要素ではありますが、
第一線を離れて5年間も経過していては、即戦力は期待出来ないと
判断されても仕方ありません。

 経験期間は半分であっても「現役のまま」である方に
企業側の関心が向くのは当然のことなのです。

 

【考え方の切り替え】

 さて、ここまで厳しいコメントを続けてきましたが、
少なくとも50才を過ぎたら、「再就職の就活」を
今までの仕事によって培われたキャリアをいったん白紙にして
自分が出来る仕事、やりたい仕事、好きな仕事、得意な仕事のうち、
今の自分が望むのはどの範疇に入るものなのか?
先ずは相性、適性の見極めを考えることから始めてもいいかと思います。

 何度もこのブログで書いていますが、
現役時代と変わらない待遇(収入面、肩書など)を望むなら
前項に書いたような「即戦力、会社への早期貢献」が絶対条件になります。

 世間体と自尊心の為の肩書への固執や、
同じく根拠の希薄な収入額への固執を優先しての再就職活動で
うまくいった事例を少なくとも私は知りません。

 同じく、絶対に切り替えるべき再就職・転職の真の動機として
人間関係を挙げるのも考えものです。

 自分を不当評価した上司のせいで、
配属された不採算部門のせいで、
私の指示に応えられない無能な部下のせいで…

 こんな動機を面接時に披露してしまえば、
まず同情も共感も得られることはないでしょう。
却って「この人は仮に入社しても同じことを繰り返すのでは?」
と、警戒される=不採用ことになるでしょう。

 「負の動機」で会社を辞めて就活を始めて
仮に運よく再就職や転職が出来たとしても、
新職場に同様の負の動機が無いとは言えないのです。

 例えば、人間関係が原因で退職したとして
新たな職場での人間関係が(今度は自分にとって都合よく)
変わるという保証はどこにもありません。

 新しい職場でも同じ轍を踏んでしまえば、
自分にとっても組織にとっても弊害だけをもたらすだけの
迷惑極まりない存在と化してしまいます。

 

【何を以て成功した転職、再就職とするのかは自分次第】

 再就職や転職を始めとして、
第二の仕事の成功、失敗の判断を下すのはあくまでも当人です。
家族でも、第三者でもありません。

 これまでは仕事一筋で
土日もまともに家族と向き合ってこなかった、
今度の仕事は土日は確実に休めて
出来れば通勤時間が30分目安の場所で就職したい。

 今までの職場は都心の繁華街に隣接、
そのせいで毎日上り電車で殺人的ラッシュの通勤だった、
今度は下り電車で通勤出来るエリアで就職したい。

 上記2例のような考えは、
他人から見たら冗談のような動機でしょう。
世の中そんな甘い考えで就職など叶うものか!

 普通はこう考えて当然です。

 ですが、これがなんとこの「楽観的な」お二人共
退職後僅か2カ月で希望に叶った再就職先を見つけたのです。

 両者とも肩書には全く固執せず、
給与水準に関しても最低限の基準は持っていたようですが
ほぼ許容範囲であったため応募した結果、
とんとん拍子に話が進み、見事採用されたのです。

 お二人共、日頃から実績を誇るような言動もなく、
温厚でかつ聞き上手という点が共通していました。

~誇ってはいませんが片や米国法人の社長を歴任しており、
もう一人の方は上場企業の執行役員経験者です!
 もしかしたら肩書や収入に拘れば、
より好条件での再就職も叶ったかもしれません!?

 ※ちなみに後者の方は半年後にある部門の統括責任者となり
 下り電車での通勤ではあるものの、定例会議出席メンバーとなり
 2本早い電車での出社を週1回強いられるようになったそうです(笑)

 

 さて、首を傾げるような動画や画像や過剰な自慢話を
堂々とネット上で披露する所謂「承認欲求」は
残念ながらシニアの中にも存在しています。

 シニアの場合は承認の対象はより具体的です。
社内では課長、部長という肩書・役職であり、
外部には一部上場企業勤務、年収1千万等々があります。

 ほぼ他人、第三者からの承認~称賛、羨望という欲求です。

 こういった承認欲求は百害あって一利なしです。
早々にこんな考えを捨て、承認するのは自分だけとするのです。
自分で納得すればそれでよし、の心境になれば
本当にしたいこと、本当に譲れない事が自ずと判明します。

 

 70才現役制を謳う国の政策から
シニア向けの再就職・転職市場も今後は拡大し、
さらに企業側の定年年齢の引き上げ、
雇用延長も促進されるようですが、
これで全員が再就職が保証されるものではありません。

 最近の傾向ですが、
相談例の中に、60才で定年退職し、
再就職した会社を再び定年退職することになり、
65才で二度目の就活(新卒時の就活を含めれば3度目)
という相談がありました。

 60才でも厳しい再就職市場で
さらに厳しい環境の再就職に臨むことは
その場しのぎの対応で成功するはずもありません。

 最初の再就職を目前に控える世代の方は
可能な限り「最初で最後の再就職活動」と捉えて、
その場の勢いや多少の給与面の多寡などで
安易な結論を出さないよう、自分が承認できる仕事を
探す行動を進めてもらいたいものです。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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