【今日のポイント】

 第3の後見制度という位置づけで
最近注目の「家族信託」

 具体的に従来の後見制度と
どういった点が違うのか?
それぞれのメリット・デメリットは何か?

 これらについてまとめてみました。

【それぞれの違いは?】

1)申立て時の契約時の当人の健康状態

 法定後見の場合、既に判断能力なしの状態です。
 任意後見の場合、判断能力は未だ健在の状態です。
 家族信託の場合、判断能力は未だ健在の状態です。

2)制度の有効期限

 法定後見の場合、当人死亡まで。
 任意後見の場合、当人、又は任意後見人死亡まで。
 家族信託の場合、期限の設定は自由となります。

3)財産管理人

 法定後見の場合、家族若しくは資格者等となります。
 任意後見の場合、家族等の身内となります。(任意後見監督人は専門家が就任)
 家族信託の場合、家族等の身内となります。

4)居住用不動産の処分について

 法定後見の場合、合理的な理由が不可欠で、家裁の判断によります。
 任意後見の場合、契約内容によりますが、概ね合理的な理由は必要となります。
 家族信託の場合、信託契約に権限が付与されていれば受託者判断で可能です。

5)遺言機能について

 法定後見の場合、ありません。
 任意後見の場合、ありません。
 家族信託の場合、あります。

6)費用について

 法定後見の場合、概ね10万円から
 任意後見の場合、  〃
 家族信託の場合、概ね50~100万円

7)継続費用と期間について

 法定後見の場合、月額2~6万円で制度存続中は毎月発生です。
 任意後見の場合、月額1~2万円   〃  但し家族の場合は無料もあります。
 家族信託の場合、なし

【家族信託のメリットとデメリット】

 まず、家族信託の場合、その特徴としていえるのが、
自由度が高いこと、
受託者の裁量範囲が大きいことが挙げられます。

 例えば、親名義のアパート経営や家賃管理を
子の受託者が行ない、その収益を介護費用に充てることが可能です。

 また、現金や不動産、上場株等を
信託財産に出来る点もメリットです。
 
~信託銀行の扱う信託サービス(認知症サポート信託等)は
「現金」のみの信託なので、サービスの幅が異なるのです。

 さらに、自分の死後の財産の承継を
自分の意思で決められる点もメリットと言えるでしょう。

 
 次に注意点としては、以下の点があります。

 当人の正常な判断能力は不可欠な要件です。
原則は公証役場で公証人立会いの下となるので
第三者の厳しい監視の目が光る中での契約となります。

 場合によっては、
契約作成時にビデオ撮影による記録保全も図られるそうです!
ほとんどの場合、士業の専門家が委任されて行うようです。

 契約内容によっては、
贈与と見做されるケースもあるので注意が必要です。

 契約時には、当然ですが
相続財産を事前に正確に把握しておく事です。
後から記載内容に含まれない財産が出てくると
深刻なトラブルの恐れが生じます。

 また、余談になりますが、
契約作成時には心身共に万全な状態であることが望まれます。
仮にインフル罹患高熱の為意識朦朧としている中では
公証人から立会いも作成も拒否される可能性があります。
内容の正確性についても疑義を生じかねません。

 契約に係る報酬額は信託財産の額で変わります。
信託財産が高額であれば、当然高額な契約費用になるのです。

 中でも初期費用は最もかかるもので、
概ね財産の1%が信託契約自体の報酬となります。

 その他、不動産があれば
登記費用、登録免許税も発生しますし、
公証役場での手数料等、目録作成費もかかってきます。

 場合によっては、
100万円単位の費用になることも少なくありません!

 前項の6)に書いたように
家族信託の最大のネックはこの点と言えるでしょう。

 さらに、
信託監査人を選任しなければ
信託のチェック機能はありません、
受託者はやろうと思えば、自分の思うままに
信託財産を使うことが可能になってしまいます。

【任意後見のメリットとデメリット】

 任意後見とは、
言い換えると予約後見といえます。

 任意後見の場合には
任意後見監督人家裁が選任します。
多くの場合、士業の専門家が選任されるようです。

 後見監督人は家族ではない第三者ですから、
監督機能は厳密に働くこととなり、
任意後見人には財産状況の定期報告が、
任意後見監督人には財産管理が義務付けられます。

 この事務的、かつ煩雑な手続きが
任意後見契約の大きな課題と言えそうです。

 ただ、メリットとしては
事前に代理権を作成出来る点や、
広範な権限を付与できる点がありますし、
何と言っても自分の意思で人生を託せる人物を
選任できるという点は大きなメリットと
言えるでしょう。

【法定後見のメリットとデメリット】

 前記した2つと異なり、
判断力を喪失後に唯一契約可能な制度です。

 家裁の選任によって後見人が決められますが、
原則として法律の専門家が就任する為、費用は必ず発生します。
概ね月額2~6万円が被後見人が亡くなるまで発生します。

 シビアな問題として、
仮に月額3万円の報酬で契約した場合、
契約後15年生存した場合には総費用で540万円となります。

 法定後見の場合、
特にこの費用面の見通しを正確に立てることが
大きな課題となってきます。

 さらに、何度も書いてきたことですが、
法定後見の場合、特に被後見人の財産管理と
身上監護には厳格な対応をするケースが多く、
実の子供や配偶者と言えども、被後見人名義の
財産の使用に関しては、厳しい管理下に置かれます。

 

【最適の選択は?】

 如何でしょうか?
既に判断力を喪った時点では
選択肢は法定後見ただ一つだけとなります。

 そうなると、当人の選択が可能な時期に
家族信託と任意後見のどちらを選択するかが
ポイントとなってくるでしょう。

 この場合も、費用面と契約内容の裁量範囲との
兼ね合いが大きく影響してくるのは確実で、
それなりの熟考期間は欠かせません。

 いつかは、ではなく、今のうちに
というスタンスでこの問題に取り組みませんと
取り返しのつかない事態に自分だけではなく、
家族も巻き込んでしまうのです!

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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