【今日のポイント】

 今年最初のブログのテーマは、
以前から何度か紹介してきた配偶者居住権です。

 改めてそのポイント(メリットや注意点)
をまとめてみました。
施行前によく内容を理解して、
賢い相続に向けての備えとして下さい。

 

【配偶者の新しい権利】

〇 配偶者居住権と敷地利用権

 同居している配偶者が相続の発生に伴って
住む場所を失うことがないようにという考えから
「配偶者居住権」という新しい権利が創設されました。

 遺された配偶者に対して終身、又は一定期間
今まで住んできた家屋への居住(使用)を認めるもので、
遺言、または遺産分割協議で取得が出来るものとされています。

 また権利の放棄や解除は可能ですが、
売却や譲渡は出来ないとされています。

 さて、配偶者居住権は
家屋に対してのみ設定出来る権利です。

 では家屋が立っている土地はどうなるのでしょう?
土地には配偶者の権利が及ばないのでしょうか?
そんなことはありません、土地に対しては
敷地利用権を取得することが出来るのです。

 イメージとして、
家屋については、建物の所有権と配偶者居住権
土地については、敷地の所有権と敷地利用権

に分類し、それぞれに評価額を算出することになります。

 

【こんなケースにメリット】

 さて、この新しい権利ですが、
どんなケースでそのメリットが特に発揮されるでしょうか?
以下にまとめてみました。

・相続財産が高額な場合

・自宅(土地、家屋)の評価額が高い場合

・配偶者の年齢が若い場合

・築年数が相当経過している家屋を所有する場合

 この様なケースでは
配偶者居住権の評価額が高額になり易い為、
権利を設定するメリットが大と言えます。

 ごくシンプルな言い方をすれば
一次相続、二次相続で相続財産が同額とした場合に
配偶者居住権を設定していると、
二次相続の時点で配偶者居住権、敷地利用権は消滅します。

 当然その分だけ相続財産が減額になります。
それはそのまま相続税節税になる訳です。

 この場合でも、
結果的に子供(相続人)は
配偶者居住権を設定していなかった場合と同じ
土地建物を相続出来ること(所有権の獲得)になるのです!

 これは2019年7月に国税庁の決定によって
「二次相続では配偶者居住権と敷地利用権共に課税対象から外す」
とされたことで大きな節税効果が期待出来るものとなったためです。

 そもそも配偶者居住権は
配偶者の死亡によって消滅する権利なので
相続人が相続財産として相続できない
課税対象にはならないという解釈から
この様な措置となったのです。

 言わば、国のお墨付きの節税策という訳です。

 実は当初の目的としては
配偶者居住権は所有権よりは低い評価額になることで
その差額を現金等の現物資産で相続する事が可能になり、
配偶者としては住む場所の確保に加えて
将来の生活費の確保にも繋がるメリットが
期待出来るというものでした。

 本来はこちらの意味合いが強い制度でしたが、
結果的に相続人にとっても大きなメリットを
得ることが出来る制度となったのです。

 

【この点に注意!】

 まず注意すべきは、
この権利は、
2020年4月以降に発生した相続から適用される
という点です。

 仮に、今用意してある遺言書に
既に配偶者居住権の設定を記載していても
来年4月以前に相続が発生してしまっては適用されませんし、
そもそも遺言書自体が無効になる恐れがあります。

 遺言書で配偶者に対して配偶者居住権を遺贈する場合は
2020年4月1日以降の作成が必要となるわけです。

 また、既に完成された遺言書がある場合でも
自宅への配偶者居住権の取得以外に
財産分割に変更がない場合、
「自宅部分についてだけ」
遺言書を作成することが出来ます。

 こう書きますと
「遺言書の日付が最新のものが有効では?」
と思われるでしょう。

 ですが、「重複しない部分」については
古い日付の遺言内容であっても有効になるのです。 
2通りの日付であっても共に有効な遺言書として扱われるのです。

 遺言書以外でも
遺産分割協議、死因贈与契約でもこの権利の取得は可能です。

 さて、配偶者居住権は、
相続開始時点に当該の住まいに居住していた配偶者だけ
に認められる権利です。

 という事は、
別居中の場合は適用外になりますので、この点には注意が必要です。

 また、
相続前に家屋の権利を長男など
被相続人以外が所有していた場合は
この家屋に対し配偶者居住権の設定は出来ません。

 さらに配偶者居住権は
登記をして初めて第三者への対抗が可能になります。

 仮に登記しないままだと、
家屋の所有権を持った者
自由に売却することが出来てしまいます。

 こういう事態を防ぐ、対抗する為にも
登記は必須となるのです。

 他にも注意すべき点として、
仮に何らかの事情で、
存命中に配偶者居住権を放棄したり、
同様に所有者と配偶者との合意によって
解除した場合には、その時点で
配偶者から所有権者への権利の贈与
と見做されて
贈与税の課税対象になる点も
覚えておくべきでしょう。

 

 以上の内容を踏まえて、
詳細については各自で確認して
自分たちの相続時に賢く活用出来るよう
備えを始めましょう!

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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