【今日のポイント】

 終活と言う考え、行動が社会に認知され、
積極的に調べたり問合わせをしてくるケースが
増えてきました。

 遺言や節税といったものではなくても
いざ、具体的な行動を起こそうとして
早々に壁に直面することは少なくありません。

 何を、いつから始めるか?

 代表的な事例を交えて紹介していきましょう。

 

【モノの処分について】

 比較的容易に始められるものに
身の回りの整理~断捨離があります。

 大別すると
以下の3つのパターンが想定出来ます。

1)自分にしか処分の判断が下せないもの
  ~最も身近な個人に関するもの

  ・名刺、住所録、年賀状など
   主に学生時代の旧友、会社員時代の同僚等
   既に没交渉、音信不通のものは処分対象です。
   
  ・日記等の自分の歴史を遺したもの
   家族に遺したいものであれば保管です。

  ・写真、アルバム
   家族に知られたくない写真やアルバムは
   心身健康なうちに処分しましょう。
   可能であれば遺影に使う写真の選定も。

  ・パソコンに保存した個人情報等
   但し、継続する予定の通販の契約や
   会員等の情報については家族に分かるように
   紙媒体での保存やパスワードの記録を遺しましょう。

  ・個人的な趣味品で家族に知られたくないもの
   個人的には最優先での処分対象と思います。

2)売却が可能なもの

  ・書籍やCD等
  ・趣味のコレクション類(切手、コインなど)
  ・楽器類
  ・貴金属類、骨董品等
  ・腕時計、ブランド品等

   これらは当人の意思が確認出来なければ
  遺族が処分の判断をしなくてはいけなくなるものです。
  中には相続財産に値する価値のある品もあるでしょう。
  家族には無価値でもその世界のマニアからは垂涎の的、
  となるような逸品もあるかもしれません。

   「売却可能」と言う括りにしていますが
  出来る事なら、売却、遺贈、相続の判断は
  所有者本人で決めておきたいものです。

 
3)将来粗大ごみ化の危険性あるもの

  ・衣服
  ・家電品
  ・デスク等の家具類
  ・食器類
  ・寝具等

   今ではネット上にフリマや物々交換、
  無料譲渡の掲示板など、いろいろな
  受け皿もありますが、この処分についても
  家族の手を煩わせることなく(最小限に留める)
  出来る範囲で早期に片付けることが必要です。

 

 上記1)~3)はどういった順番で進めるべきか?

 特に上記の順番で薄めなくてはいけないという事はありません。
ですが、先にも書いたように1)の項目は自分自身の判断でしか
処分出来ませんし、その存在を知っているのも自分だけ、
と言うケースが多いので万が一のことを考えれば、
優先的に手を付けるものと言えるかもしれません。

 2)や3)については
タイミングの問題や手を付けやすいかどうか等、
個々の判断で優先順位を決めることで問題はないと思います。

 

【保管しておくべきもの】

 次は、
上記の事例とは逆に、
必ず保管し、その所在を家族に分かるようにしておくべき
情報とそれに関連する資料類です。

1)実印
2)保険証券類
3)家、貸金庫などの鍵
4)土地の登記簿
5)最新の年賀状(出来れば差し出したリストと併せて)

 実際に聞き取りした中では
2)は妻任せ、4)は親からの伝言のみで
自分で存在を確認してもいなかったなど等、
非常に心配なケースもありました。

 5)については、
最新の交友関係を容易に確認出来る
貴重な情報になります。

 最近はメールやSNS上で
年始の挨拶を済ませるケースもあるので
その場合にはその連絡先の一覧だけは別途用意した方が
いいでしょう、個人のパソコンの情報を開示するのは
相当な手間と時間がかかるのでこれも当人の責任で
「誰かに伝える」という視点から名簿作成をお奨めします。

 

【その他】

 この他、経験上当人の責任で
事前に進めておくべき行動を紹介します。

1)銀行口座の集約
 私の経験では60代以上の世帯主の方で
自分名義で平均で3つの金融機関に4つ以上の口座を
開設されていました。(普通・定期・外貨等)

 口座の目的を質しましたが、
過半数は「過去の遺物」「前住居地の時に使用していた口座」
等の「現在非稼働状態」で、ほぼ1~3年間も
入出金履歴が無い口座でした。

 名義人でなければ、
速やかな名義変更は叶いません。
家族の為にも、率先して口座の整理・統合を
済ませておきたいものです。
 
2)証券取引の見直し
  
自分名義で取引している株や投信も
継続保有がメリットがある場合を除き、
適宜解約し現金化して、「整理統合した後」の
金融機関の口座へ入金しておけば
その後の財産管理も容易になります。

3)生命保険の受取人の見直し
 例えば、歳が近い妻を受取人にしている場合、
被相続人より先に受取人が亡くなるケースは
珍しくありません。
 
 受取人が先に亡くなった場合、
法定相続人が受取人になります。

 子供がいればまだしも、
子のいない夫婦であれば、相続権は
契約者の兄弟姉妹や親に発生します。

 それも已む無しというのなら
構わないのですが、険悪な関係の
兄弟が受取人になるのではそうはいかないでしょう。

 子がいても、不肖の子で
遺される妻の今後を考えて受取人を
妻にしていたケースも考えられます。

 この場合も、先に妻が亡くなれば
ドラ息子に相続財産に加えて保険金まで
与えることになります。

4)貸金庫の見直し
 現時点で契約している価値があるかどうか?
保管している書類や物品が貸金庫に保管するだけの
価値、重要性があるかどうかを吟味する事も必要でしょう。

 以前所有していた高額な割引債を全て引き出してしまい
貸金庫契約の理由が消滅したものの、惰性で契約を
続けているだけというケースもあったのです。

5)自動車
 クルマ自体が趣味の対象でなければ、
1年単位で維持管理費と利用頻度を精査しましょう。
レンタカー、カーシェアに変更した場合の費用との
対比をすることで本当に保有し続ける必要があるのかどうか
が見えてくるはずです。

 

【生前は手を出さない方がいいもの】

〇 不動産の相続
 自宅の場合であれば、
「小規模宅地等の特例」を使えば
評価額を8割引きに出来ます。

 その他の相続財産との兼ね合いにも
拠りますが、うまくいけば相続税ゼロになる
場合も考えられます。

 特段の事情がなければ、
生前贈与よりは、相続での分与を優先するべきです。

 同じく、
不動産の名義変更の場合も
生前の変更(=贈与)では
相続時の5倍の登録免許税がかかることになります。
 
 ※相続の場合は「不動産価額に税率4/1000」
  贈与の場合は「不動産価額に税率20/1000」

  蛇足になりますが、
仮に自分名義の土地の中に
地目が「農地=田畑」の場合、
生前贈与は事実上出来ません。

 詳細は省きますが、
農地を農地として名義変更する事はまだ可能ですが、
多くの場合既にその土地は地目のみの農地と化していて
子供もその土地を再び農地にすることはまずあり得ません。

 地目によっては
生前贈与が不可能で相続までは名義変更が
出来ない地目の土地があることも覚えておく必要があります。

 

 以上、終活として最初に行う事例を紹介しましたが、
個々の事情で優先順位は異なってくるでしょうから
ここで紹介した順番は確定ではありません。

 今の自分の家庭では何を優先すべきか?
何が一番手付かずな状態なのか?
この判断は自己責任で決めてもらい、
粛々と事を進めるようにして下さい。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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