【今日のポイント】

 悪戦苦闘の末に完成させた自筆証書遺言、
それなのにたったひとつのミスによって無効扱いに!

 法改正で作成しやすくなったとはいえ
まだまだ自筆証書遺言の作成には注意すべき点が
多く存在しています。

 今回は基礎的な中でも基礎的な注意要件を
紹介していきます。

 

【3つの注意点】

 自筆証書遺言に限りませんが、
遺言書の場合 「日付、署名、押印」
先ず最初に注意すべき「3点セット」です。

 よく、契約書などの場合
「記名」と「署名」と2通りの表現で
書かれていることがあります。

記名とは 氏名を掘った印鑑を用いる事も含まれます。
署名とは 自身の手で筆記具を用いて書くことです。

 記名の場合は、自筆でもいいですし、
上記のような印鑑を押すだけでも通用します。

 これに対して署名は、
必ず自筆で書くことで通用するもので、
遺言書の場合は全て「署名」となります。

 押印については、
修正個所には必ず押印することは
もちろんですが、今回の法改正で
新たな注意事項が加わりました。

 自筆証書遺言の場合でも
財産目録については自筆でなく
パソコンでの作成や代筆でも
通用することとなりましたが、
そのページには必ず遺言者の
署名と押印が必須とされています。

 仮に印刷した財産目録が
両面印刷の場合は両面に署名と押印が
必須となりますので、要注意です。

 くどいようですが、
名前を彫った印鑑を用いても
それが署名と押印として通用することは
ありません。

 日付に関する注意点としては
代表的なものに「吉日」表記があります。
手紙を書き慣れている方に見受けられますが、
ついいつもの癖で日付に用いがちですが、
吉日では日付の確定が出来ません。

 同様に「末日」と言う表記も
出来れば避けた方が無難です。

 この表現に異議を唱えて
裁判沙汰になったケースは少なくありません。
この点だけが争点の場合は、
ほぼその訴えは認められないようですが、
そこに至るまでの時間や手間を考えると
この表記は避けた方が無難です。

 実際に末日に作成した場合ならば
30日、31日と明記すべきですし
2月でしたら、うるう年の場合は
29日と明記しておきましょう。

 
 次に注意すべき点としては
作成日と明らかに異なる日付を記載した場合です。

 一例として、
自分の誕生日に作成したとしたいがために
年内にも拘らず来年早々の1月の誕生日を
作成日として遺言書に記載したとします。

 自筆証書遺言として内容に問題はなく
完璧な仕上がりだったものの、
作成者が年内12月に急死した場合。

 遺言書の日付を見れば
遺言者は死後に作成したことになります。
当然ながら死後の作成はあり得ません。
結果として、苦心の作の遺言書は無効になります。

 同様に、元号での表記もリスクを伴います。
例えば平成31年5月以降の自分の誕生日や
結婚記念日の作成とした場合、元号自体は令和になっています。

 平成31年に5月以降の日付は存在しません
=この遺言書は無効と異議を唱えられた場合
裁判まで発展する危険性は大いに考えられます。

 変なゲン担ぎなどで
先走った日付を記載すると
場合によっては全てを台無しにする!

 たかが日付ですが、されど日付
このようなリスクが生じることも意識して下さい。

 作成時の日付については
もうひとつ注意すべき点があります。

 自筆証書遺言を作成後に
これまで長年暮らしていた住まいから
新しい住まいに転居したとします。

 その結果、遺言書作成時の日付には
所有していなかった不動産が新たな相続財産になる訳です。
同様に転居に伴って家財を新規購入していた場合や
自動車を売買したような場合、
以前の住まいをベースとした遺言書(の内容)は
現状と全く異なってくるわけです。

 この逆に、転居を前提に早手回しに
新しい相続財産を明記した遺言書を作成した際に
正直に作成時の日付を記載した場合も同様で
その日付には住んでいない住居が記載されている
ことになりますから、当然無効扱いになります。

 遺言書における日付とは
このように大きな影響力を持つという事
しっかりと意識するようにお願いします。

 

【財産目録は詳細に】

 最後に念のために紹介しておきます。

 出来る限り財産目録は詳細な情報を記載しましょう。

 例えば金融資産の場合であれば
金融機関名、支店名、
口座の種類と口座番号
名義人氏名は必須項目です。

 出来れば統廃合後の最新の金融機関名と支店名を
その都度更新するようにしたいものです。
※既に40代の世代では都銀13行といった60代にとって
 当たり前だった存在をほぼ知りませんでした!

 中には各口座の預貯金残高まで記載したがる方もいます
ですが、定期預金等でない限り何かの都合で引き出したり
逆に預入をする場合がありますから、残高を記載するのであれば
遺言作成時の日付まで併記すべきでしょう。
やるならば徹底的に記載することで遺族の手間を省くことになるのです。

 株式の場合も同様に
銘柄、株数、証券口座を明記しましょう。
前述した様な注意事項は株式の場合も共通する項目です。

 不動産の場合は
土地であれば 「所在・地目・地番・面積」迄を
家屋ならば 「所在・地目・構造・床面積」迄を
正確に記載することで名義変更時の手間が省けます。

 

 最後の最後に、
自筆証書遺言を作成する場合、
悪筆の方は特に注意が必要です。
数字の表記では7と9、0と6、
0と9,1と7等が判別困難なケースは
少なくありません。

 

 当然ですが誤字脱字で遺言内容の
解釈が分かれるケースもあります、
たった一か所の不明部分のせいで
遺言書自体が無効になるのは何とも
忍びないものがあります。

 

 いつでも手軽に一人で作成出来る自筆証書遺言ですが
反面、その様式や正確性は厳密・厳正を求められます。

 労作が無駄にならないよう
作成前の情報収集や専門家からのアドバイスは
進んで受けることを強く推奨します。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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