【今日のポイント】

 前回のブログで法改正による「早い者が得をする」「早い者勝ち」
の話題を採り上げたところ、いろいろ反響がありました。

 「あんまりではないか?」「身も蓋もない!!」
「何か対抗策、事前の備えはないのか?」

 こういったメールが続いたので今回は予定を変えて
ある程度の範囲ですが、早い者勝ちに対抗する備えについて
ひとつ簡単に紹介したいと思います。

 ここでは不動産の法定相続分の名義変更への備えを
採り上げてみました。
 

【遺言書にこれを記載しておく】

 ごくシンプルに言えば、基本はここに尽きます。

 一般的には、
葬儀や死後手続き等は喪主が取り仕切る訳で、
その喪主には多くの場合長男が就くことが多いでしょう。

 このため、
遺言書の内容を相続人全員で把握した後にも
いろいろと先にやるべき仕事に追われることになり、
必然的に遺産相続に関する手続きを後回しにせざるを得なくなります。

 この間隙を縫って、
不心得者の次男(その他)が前回紹介した事例のように
不動産の法定相続分の名義変更を行うわけです。

 これを防ぐ一つの手段としては、
「遺言執行人」を選任し、
遺言者にその旨を明記しておくことで

執行人による速やかな相続手続の遂行
が対抗策となります。

 遺言執行人になれるのは、
親族でも士業従事者等第三者の専門家でも構いません。
但し、後者の場合は必ず報酬が発生する点は注意が必要です。

 この手続きによって、
喪主である長男は葬儀から埋葬といった
死後の手続きに専念できることになりますし、
法的手続きに関しては遺言執行人が迅速に遂行すれば
不心得者の介入する隙を生じさせなくなります。

 但し、
この場合遺言執行人は
事前に遺言者から就任の打診を受け、
遺言書内にその旨を記載されることを知ることになります。

 先に親族から選任することも可能と書きましたが、
相続人になる親族の一人が先に内容を把握する可能性(危険性)を
考慮すれば、確実を期すためには第三者の専門家にすることが
より安全性を高められると私は思います。

 

【遺言書への記載】

 さて、遺言書の内容に沿って手続きを進める際に、
より迅速、正確な手続きの為には「不動産の詳細情報」
記載しておくことも重要になってきます。

 名義変更に必要となる不動産情報は、

「所在」
いわゆる住所にあたります。
「〇〇区××3丁目」までが所在です。

「地番」
上記に続く「〇番地×号」が該当します。

「地積」
面積です。

「地目」
宅地等と表記します。

 また家屋の場合は、

「所在、家屋番号」
上記と同じ表記です。

「種類」
住宅であれば「居宅」となります。

「構造」
木造、鉄筋などです。

「床面積」
1階、2階等各階ごとに表記します。

 

 改めて確認する場合、意外に手間取ることが多く、
事前に遺言書に正確、最新の情報を記載しておけば、
より名義変更の手続きがスムースに行えます。

 より簡単な備えとしては
「登記事項証明書」を予め取得しておき、
遺言書に同封しておけばより手間が省けます。

 

 こういった情報収集に関しても
長男に比べ、自由時間が多い次男ならば
法務局で登記事項証明書を取得する時間的余裕は有利となります。

 下手をすれば遺言執行人よりも先に動く可能性もあるのです。

 ここまで考えると、
遺言執行人を選任するだけで終わり、ではなく
その時が来たら即時行動を促すといった
長男の側の「早い者勝ちの信念」が必要となってきます。

 

 遺言者が存命中から
兄弟間で遺産相続の争いがおこること必至と判断したならば

1)生前に信頼に足る遺言執行人を決めておく
2)彼に登記事項証明書を提供しておく
3)速やかな名義変更を特に依頼しておく

等の 根回しも必要になるかも。

 難しいのは、生前は仲の良い兄弟だった
あるいはそう見えていたために、
ここまでシビアな予防策をすることは
却って兄弟間に疑心暗鬼を生じさせるのでは
という懸念を持たれても当然でしょう。

 さらには、遺言執行人を「赤の他人に」
指名することへの不安や家族に対しての
一種の後ろめたさなどから、なかなか実行に移せない…

 ですが、決して少なくない確率で
親の死後に、生前は予想も出来ないような
豹変した子供同士の遺産相続の争いが生じることもまた事実です。

 

 やはり
備え(生前の判断力のあるうちの完ぺきな内容の遺言書の作成)あれば
憂い(上記準備が無かったことからの泥沼の争族の発生)なし、
は、今も昔も、また将来にわたって揺るぎない対策と私は確信しています。

 

【補足】

 ここでは触れませんでしたが、
故人の名義の口座からの仮払い制度も
事前にそういう制度が始まったことを知っていれば
誰に遠慮することなく金融機関に出向いて手続きをすれば
いいだけの話です。

 身も蓋もない話ですが、
合法的な手段であるならば、
「知らないものが損をする」
ことは受け入れざるを得ないのです。

 

 誰も教えてくれなかったから!
では通用しません。

 情報収集はあくまでも自己責任なのです。

 今回の事例に限らず、
今の時代は仕事探しや住まい探し、
婚活から終活に至るまで、
いかに最新の情報を自分から動いて
収集、更新、理解しているかが
その後の明暗を分けるということを
認識出来るかどうかが問われることになるでしょう。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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