【今日のポイント】

 60歳、
今でも多くは定年退職の歳であり、
新しい人生を始める年でもあります。

 60歳の時点で、
またはその後も覚えておくべき
「やるべきこと」について
簡単に紹介したいと思います。

 

【60歳で】

1)健康保険の保険料
  これは会社勤めの方に限られますが、
 60歳で定年退職する場合、健康保険には
 以下の2つの選択肢が用意されています。
  
 ① 会社の健康保険を任意継続する
 ② 国民健康保険(国保)に加入する

 まず国保の場合、
前年の収入を基準に今年の保険料を算定します。

 任意継続の場合は
退職時の給与(標準報酬月額)が
仮に30万円を超えていても、
一律30万円として算定します。

 この為、
退職前の給与が30万円以上だった場合には
国保はその実際の金額ベースで保険料が算定され、
任意継続の場合は30万円で統一される
(足切り?)ため翌年の保険料は低くなります。

 これだけを見ると
給与水準によっては任意継続が絶対得と
思われますが、あくまでも国保は
「前年の収入」が算定基準なのです。

多くの場合、
定年退職直前の給与はピークであるため、
退職後に転職、再就職をした場合でも
収入は退職時の基準を下回るのが普通ですから
退職の2,3年後には任意継続よりも
却って安くなる場合も出てきます。

 どちらの選択が保険料の節約に繋がるのか?
事前の検討は不可欠ですね。

 ちなみに任意継続の場合、
退職の翌日から20日以内の申請が必要となるので
あまり時間をかけすぎると機会損失の恐れが
ありますので、要注意です!

 

2)財産目録の作成
  これもサラリーマンに限られてしまいますが、
 殆どの人は退職金を受け取った時点で
 (恐らく)人生最高額の資産を持つことになります。

  この機会についでと言っては何ですが、
 預貯金、有価証券、生命保険、不動産、負の財産等の
 資産の棚卸をしましょう。
 

 なぜそんなことを?
こうした財産調査を行うことで、
第二の人生をスタートさせる時の
正確なマネープランの作成に繋がるからです。

 さらには、
遺言書作成の最大のポイントの一つである
相続財産調査の基礎資料にもなります。

 例えば60歳から85歳までのプランの場合、
年間で生活費等でいくらまで使えるか?
その結果として85歳時点では相続財産として
残っている財産はどのくらいになるかが
ある程度見えてきます。
 

3)退職金は一括支給で
  その退職金ですが、
  22歳大卒で60歳まで38年間
 会社勤めをした場合に支給される退職金の場合、
 最大2060万円までは非課税となります。

  問題はその受け取り方です。
 これも一括方式と分割(年金)方式の
 2者択一が一般的です。

  ですが、
 上記のように仮に2,000万円の退職金を
 一括で受け取れば非課税になりますが、
 分割(年金方式)を選択した場合は
 同じ退職金であっても「毎月の収入」
 見做される為、課税対象になるのです!
 さらに社会保険料の対象にもなります!

 

 よほど金銭感覚にルーズで
大金を目の前に自制が効かないという人は別として
概ね一括で受け取るほうが節税になる、
即ち手取り額は多くなると言えるでしょう。

 

【64歳】

 定年後の仕事探しの場合に
忘れていけないのが雇用保険の基本手当の給付
~失業給付があります。
 これには年齢制限がありますので注意が必要です。

 離職前の2年で
雇用保険の被保険者期間が
通算で12ヵ月以上ある場合は
離職前の給与から算出される
「基本手当日額」の最大150日分が受け取れます。

 但しこれは
65歳の誕生日の前々日までに退職している場合の話です。

 

 これが仮に65歳の誕生日の前日に退職すると
「高年齢求職者給付金」に切り替えられます。

 離職する前の1年間で
雇用保険に加入していた期間が
通算6カ月以上あることが支給条件となり、
支給額は「基本手当日額」の最大50日分となります。

 前述の給付金と比べて
1日の差で支給額の対象が50日(1/3に!)に短縮されます。

 但しこちらは
雇用保険の加入条件さえ満たしていれば
その後何才になっても何度でも支給されます。

 ですからより高齢になっても働くという場合は
こちらの制度をうまく利用する方が賢明という事になります。

 例えば雇用延長で
65歳までは今の会社にいられるといった場合は
この選択によって大きく給付内容が変わりますので
特に慎重な判断が必要になります。

 

 さて、特に64歳に固定するわけではありませんが、
64歳は生前贈与の開始時期を考える「適齢期」になってきます。

 仮に妻と子が一人ならば
最大3,000万プラス一人につき600万円の
基礎控除枠がありますから
相続財産の合計額が4,200万円以内であれば
相続税は非課税になります。

 先述した様に
60歳で詳細な財産調査をしていれば、
この総額と相続税非課税枠を対比させて
年110万円の生前贈与非課税枠を何年間
利用すれば、何年後には相続税も非課税になる
という試算が可能になります。

 ただ亡くなる前の3年間の生前贈与は
相続財産に戻し入れされ相続税の対象になります。
出来るならばこの条件も加味した試算をお奨めします。

 生前贈与を自分が何才の時から始めると、
相続財産が非課税枠に収まるのは何年後になる。
さらに、そこに3年分を加算すれば戻し入れも含めて
非課税枠に収まるという試算になります。

 但し金銭だけが相続財産だけではない場合、
特に不動産がある場合はこれらを含めての
相続財産の圧縮が求められます。

 不動産の場合、条件によっては
小規模宅地の特例等の活用で
評価額を圧縮することが可能なので、
総合的な節税対策を講じる必要があります。

 どちらにしても
64歳前後から対策を始める事は
決して早すぎることではない、
という事です。

 

 

【60代で】

〇退職金の最終的な推定額
 60歳以降も同じ会社で働く場合、
即ち定年延長や雇用延長の場合、
何時まで今の会社で働くのか?
退職する時期は何時になるのか?

 これを考えることで、
最終的に手にする退職金が
推定ですが算出出来ます。

〇特別支給の年金額 
 これはねんきん定期便で確認出来ます。
年幾らが何年間支給されるかがわかります。
とにかく貰えるものは全て把握することが
大切です。

〇再就職・転職のタイムスケジュールの確認 
 第2の仕事に就く場合、
何歳まで働く予定なのか? 
何歳から年金受給を開始するか?

 はたまた年金受給後も働くのか?
年金受給後は仕事は辞めて年金生活に入るのか?

 この様な重要な選択と判断も
全て月々の生活費の目安が分かっていてこそ
下せるものです。

 

 2018年の家計調査によりますと
「60代が退職後に最も支出が多い年代」
という統計が出ていました。

 毎月の生活費を比較すると
60~64歳の世帯の平均値が
約30万5千円でした。

 これが5歳ごとに2万円づつ減少し
80~84歳の世代の平均値では
約20万5千円で10万円の減少となっていました。

 

 ここまで紹介してきた
定年後の月々の生活費を想定する場合も
今後の10年、20年間、全く今と同じ支出が続く
ということは、まずありえないという前提で
背伸びしない、現実的な設定を考慮することも
必要になってきます。
 

 

 

【補足:50歳になったら】

 ここから先は
50代前半、出来れば50歳目前の方への
アドバイスとなります。

 60歳まで(又は定年退職年齢まで)
生活に無理のない範囲で
1年間でどのくらいの積み立てが可能か?
または月額ではどのくらいの積み立てが可能か?
この検討を始めて欲しいのです。

 この時同時にローン返済等、
毎月発生する支出額も計算しておきます。

 この結果から
毎月の純積立可能な金額が出せます。

 この時同時に
毎月の支出を「固定費」と「変動費」に分別します。

 固定費は家賃や日々の食費、公共料金、交通費、
通院しているならその治療費等です。

 変動費は娯楽や遊興費、よそ行きの衣類や
トレンドの電気製品、家具や自動車等の
どちらかと言えば不要不急の品や趣味にかける
費用等を指します。

 先の家計調査の結果では
平均的な支出の割合としては
固定費:変動費は 6:4だそうです。

 変動費部分の40%は
節約や見直し等が可能な分野の支出です。
ここの分析と、削減についても大いに
検討する価値はあると思います。

 

 以上の結果から導き出された金額に
10年後の?定年退職時の推定の退職金額と
定年まで手を付けることがほぼ無い財産
(不動産や保険証券等)を加えれば
おおまかな定年退職時の財産目録が出来ます。

 その数値が適当な額であれば
もう少し増やせないか?

 その数値が予想外に少なかったら
どうすれば希望額に達することが出来るか?

 あくまでも「推定額」でいいので
あまり神経質にならずに始めることで
毎年の集計と軌道修正にも苦労することなく
一種の「慣習」として資金計画と向き合えます。

 これからの10年とどう向き合うか?
これもまた「先憂後楽」の精神が重要になるでしょう。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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