【今日のポイント】

 最近の50代以上の相談者から
ほぼ100%出てくる実家の問題や自宅の悩み。

 空き家になっている実家、
空き家になってしまう持ち家等など、
内容は様々ですが、問題意識の高さは
年々高まっていると思います。

 今日は、空家問題関連の現状と
空き家に起因する問題について、
さらにはこれから家をどうするかを
段階的に考える「住まいの終活」
紹介したいと思います。
 

 

 

【最近の空き家対策】

 まずは、国の対応について紹介します。
この6月25日に全面施行された「改正建築基準法」
があります。~詳細はリンク先を参照してください。
 

  今回関係するのは、
戸建て住宅を福祉施設や商業施設に用途変更する際の規制を
緩和し、加えて大規模な改修工事は不要とした点です。

 詳細は省きますが、
これまで高いハードルと言えた規制を緩和し
加えて手続き自体を簡素化することで
容易に転用が可能になる点でしょう。

 

 

 また東京都の施策ではありますが、
「東京空き家ガイドブック」というものを
この3月に東京都が作成しています。

 一言で言えば、
空家解決の実例や基礎知識をまとめたもので
これもリンクしていますので、詳細はリンク先を
参照して下さい。

 

 この他にも、税制上の便宜として
相続や遺贈で取得した空き家について、
売却時に最高3千万円までの控除が可能な
所得税の特例があります。

 制度の適用期間が終了になるところでしたが
この3月の税制改正によって2023年末までの
延長が決まりました。

 但し、
売却代金が1億円以下、
相続開始日から3年が経過する年の年末までに
売却しなければ特例が受けられない
点は従来通りなので注意が必要です。

 また、従来この特例の対象にならない例として
被相続人が相続の開始直前まで老人ホームに入居していた場合
がありましたが、これも今回の改正で緩和されました。

 

 

【増加する空き家】

 総務省が発表した今年4月のデータでは
昨年の全国の空き家は約846万戸、
空き家率は実に13,6%で過去最高水準に達しました!

 なぜ、空き家は増加するのか?

 まず今の住まいのトレンドというのが、
「都心、駅前、駅近」だそうです。

 いくら庭付きの広大な敷地を持つ家でも
最寄駅からのバスは1時間に1~2便、
徒歩なら20分以上といった立地の場合、
まず賃貸物件には適当と言えず、
売却するとしても相当の時間と
思い切った値付けが必要になるそうです。

 東京都であっても、人気物件は
やはり23区内であり、さらに鉄道やバスの駅に近く
駅前に充実したインフラがある場所以外は
関心を惹かないようです。

 ちなみに「駅近」とは駅から徒歩7分圏であり、
賃貸でも分譲でも、共に譲れない条件の一つだそうです。

 

 これでは首都圏であっても空き家は無論のこと、
空き家予備軍が年々増加しても仕方のないこと、
と思えてしまいます。

 なぜなのか?

 駅前、駅近希望の背景には、
まずは自動車保有の減少、

あるいは免許証保有率の減少があると
私は考えています。

 今迄のイメージでは、
郊外の庭付き一戸建てであれば
当然駐車場も付いてます。

 駅前には十分な駐車スペースも用意されており、
バスの時間を気にすることなく出かけることが可能です。

 当時は奥様は専業主婦で免許取得者、
旦那さんの送迎や買い物での利用で
車を常時使用していました。

 これが最近では
「共働き世帯」の増加により

日常生活で車を利用する機会が激減したり、
奥様が免許を持っていないといった
「クルマ離れ」
によって
郊外生活が重荷になってしまった為。

 高齢に差し掛かった夫婦の場合では
昨今の大問題となっている「運転ミス」
のリスクを考慮しての「クルマ離れ」も
今後は増加すると思われます。

 このような理由から
クルマが無くても安心・便利な
生活環境が保障される
「都心への回帰」は加速するでしょう。

 

【空き家に起因する問題】

 空き家のまま放置するのは忍びない!
きれいさっぱり解体して更地化して売却する、
というのは理想ですが、その前に・・・

 一般的な例ですが、家屋解体の場合
木造建築で坪当たり4~5万円だそうです。

 諸費用を考慮すれば、100万円単位の出費は
避けられないでしょう。

 また当然ですが
空き家であっても固定資産税はかかります。
いくら築年数が経過していたとしても、ゼロにはならず、
およそ新築時の2割前後の固定資産税評価額に基づいた
固定資産税は家がある限り課税され続けるのです!

 
 さらに、空き家のまま放置していた結果、
以下のような派生する問題を生じさせる危険性も
拡大していくのです!!

 

〇 空家の屋根の除雪をしなかった為に… 
 降り積もっていた大量の雪が
隣家の敷地内にまで落下して
屋根を損壊したり、
隣家の住民を負傷をさせたケースがあります。

 裁判に発展した例では、
所有者の管理責任が問われ、
賠償責任が
発生しています。
~参考:民法717条 

 

〇 降雨により空き家の石垣が崩落、隣家に損害を与えた
 最近は異常気象により、
どこでも発生する危険性がある問題です。

 この場合も空き家の管理責任を問われ、
所有者が損害賠償することになります。

 
 天災であっても空き家所有者の管理責任は問われる
この考えが一般的になっているのが現状です。

 特に目立つのは、
台風や強風で瓦が脱落、
飛散して隣家へ損害を
与えたり、
近隣の歩行者を負傷させたという事例があります。

 

〇 不法侵入・滞在者に起因するトラブル
 こういった不届きものが起こした失火によって
隣家や周辺エリアに
多大の損害を与えてしまった場合でも、
事実上空き家の所有者が賠償責任を負う
事になります。

 本来は当然「主犯」が賠償すべきものではありますが、
裁判の長期化や犯人の特定が困難な場合は、
所有者に対し被害者は請求してきます。

~先に貴方が我々に損害を賠償してから、
貴方が犯人を捜し、犯人から損害賠償を受ければいい。

 これが、現実です。

 

〇 庭の樹木もトラブル要因
 瓦などの人工物以外でも

庭の樹木が強風で倒れこんだり、
長年の放置で幹や根が腐り、倒木といった形で
隣家に損害を与えた場合も損害賠償が発生します。
 

 倒木でなくても、
隣家の庭に根が侵入しているケースもあります。
芝生を突き破って出てきたり、足を取られて転倒する
危険性も出てきます。

 ただ根の場合は、隣家の承諾待つことなく
勝手に切り取ること、撤去することは可能です。

 但し、枝や葉が侵入している場合は、
勝手な切り取りは許されないのです!
生い茂ったままの枝葉で窓が開けられない、
枯葉が庭に充満してしまう、というような場合でも
隣家に対し除去の許諾が必要とされているのです。
~参考:民法233条 

 

〇 マンションでも問題は避けられません!
 ここまでは主に「戸建て住宅」の問題を紹介してきました。
では、マンションならば問題はない?又はそこまで深刻にはならない?

 確かに、瓦の剥離や降雪の崩落での他人の生命財産への脅威は
発生はしません。樹木もほぼ問題にはならないでしょう。
~ベランダの鉢植えの放置や落下等による問題を除けばですが

 ですが、維持管理費用に関しては
一番厄介なのがマンションではと私は思います。

 特に、築年数が経過したマンションの
さらに空き室を相続するとなると、かなり厄介です。

 部屋の状態によっては内装のリフォーム、
住む住まないに関係なく、所有した場合には
月々の管理費、年単位での修繕積立金の負担は発生します。

 そのマンションンが既に退去者続出で
空き家だらけのマンションであれば残留入居者へ
管理費の不足分が「上乗せ」されるケースもあります。

 さらに修繕積立金の不足となれば
共有設備のメンテにも影響が生じます。

 切れたままの廊下の照明、
稼働数を減らされたエレベーター、
等など、外部からもそうと分かる様な
劣化した実態となっていくのです。

 当然マンションの資産価値は歯止めなく下落、
今更売ろうにも買い手がつくことはなく、
売るに売れないまま周辺の景観や治安悪化の
原因と見做されるというリスクがあります。

 
 このように、戸建て、マンションの区別なく
空家の存在は多くのトラブルを引き起こす要因になります。

 さらに極言すれば、
地域の防災、衛生、景観へ悪影響を与える存在に
なってしまう=所有者への非難・批判へと拡大し、
持ち主に仇成す存在となってしまう場合があります。

 

民間サービス】

 空き家問題の解決に役立つサービスは
先に挙げた対策以外にも民間でも扱っています。

 一例を挙げますと、

「空き家バンク」

 というものがあります。

 詳細はリンク先を参照して頂くとして
昨年2018年4月から運用が開始され、
現時点では550
の自治体が参加して
約4,000件以上の空き家情報が登録されており
全国の空き家に関する情報を一括して検索が可能です。

 ここに登録することで
近隣だけでなく全国に空家の存在を認知させることが出来、
思いがけない商談に繋がることも夢ではありません。

 空き家問題に限ったことではないのですが、
悩んでいるだけでは問題は解決しません。
何か自分で出来る事を一つでも、一歩でも
進める事からでしか
事態の改善には繋がらないのです。

 

【住まいの終活】

 最後のまとめに入ります。

 ある日ある時から
いきなり今の家や故郷に放置されたままの空き家を
どうこうするといってもどうなるものではありません。

 時間をかけて、順序だった整理と準備が必要です。
いわば、「住まいの終活」と言える計画を立てる事です。

 

 具体的な事例としては、

1)住まいの思い出を整理する
 家財の整理を定期的に行い、
不用品を増大させない癖をつけておく事。
どうしても決め切れない場合は、
まずは記念写真を撮影をして時間を置き
写真だけで十分か、やはり保存したいかを
よく検討する事です。

 

2)不動産のに関する情報収集と管理
 最低限、抑えておくべきは
固定資産税の納税通知書

登記事項証明書
購入時の契約書類
重要事項証明書
設計図などです。
 
 
戸建ての場合は別個に
土地の測量図、確認済み証、検査済み証等が、
 マンションの場合であれば
最新のマンション管理規約の確認が
必要になると思われます。

 さらに続けての確認事項としては、
登記名義人の確認~共有名義かどうか?
また抵当権設定の有無についての確認です。

 また、戸建ての場合は
境界画定の有無、前面道路の状況などの情報、
 
マンションの場合は
修繕計画の有無、修繕積立金の現状を聞き出す事、
 欲を言えば、
事故物件の有無や管理費滞納者の情報等が必要でしょう。

 いわば、家の身上調査と履歴書の作成です。

 

)周辺相場の聞き取り、売買事例の収集 
 例えば再建築不可のマンションでないか?
現時点で管理不良が明白な老朽マンションではないか?
近隣での同等の条件のマンションの実勢売価はいくらか?
さらには過去に売買の事実があるかどうか?

 これこそ、必ず自身の目と足で確認すべき
情報であり、この手の情報は住まいの商品価値」
より正確に把握する為の格好の情報にもなるのです。

 

4)方向性の確立
 このような多面的な情報を
収集、とりまとめた結果として
今後は売却の方向で進めるのか、
貸し出し用として活用することにするのか?
等の今後の取り扱いについてを決めていく
のです。

 その場合も、
自治体等の公的な相談窓口に相談する他に
地域のNPO法人や、地域を熟知する不動産仲介業
者も
視野に入れて、よりよい「住まいの終活」が果たせるように
課題の解消を図りたいものですね

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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