【今日のポイント】

 今日のテーマは
私自身が60歳を迎えて想った事や、
相談者とのやりとりの中から
考えておくべきことと思ったもの
10項目についてを紹介したいと思います。

 

【1)預貯金口座の見直し】

 いきなり私の事例で恐縮ですが、
私はサラリーマン時代の名残で
異動先で開設した給与振込用の口座や、
生活資金用の口座、投資信託用の口座など、
気がついたら6つもの異なる金融機関に
口座を有していました。

 それぞれ毎月の履歴や、各種の案内書、
通帳管理やパスワードの管理など、
結構面倒な存在という事を悟り、
一気に生活用と資産運用の2本に絞って
口座の解約、新設を進めました。

 先に6つと書きましたが、
これも口座の見直しを実施したことで
判明した次第で、その中には存在すら
覚えていなかった「幽霊口座」が2つ
も出てきました!
 
 恐らく、あの時点で行動していなければ
未だにあの2つの口座は埋もれたままだったと思います。

 これからも複数口座を持つ
何らかの理由や必要性があるのなら別ですが、
あえて維持管理する理由が無ければ、
思い切って「スリム化」させるいい機会と思います。

 

【2)生保の受取人の確認】

 若い頃に契約していた生命保険などの見直しです。

 まだ夫婦2人の時代の契約であれば、
ほぼ受取人は妻としているはずです
(中には親の場合もあるでしょうが)

 このまま保険が発効した場合(夫が死亡)、
当然受け取りは妻となりますが、
仮に夫婦ともに高齢になっていた場合
短期間のうちに妻も亡くなるケースは珍しくありません。

 この場合、妻の財産となっていた保険金は
子供に相続されますが、二次相続となり、
控除の対象にはならず金額によっては
相当な相続税が課税されます。

 仮に受取人を子供に変更しておけば
相続税の課税は1度で済むこととなります。

 さらには、
今現在どれだけの保険に加入しているかを
改めて確認することで先の口座ではありませんが、
思わぬ「幽霊保険」の存在が判明するかもしれません。

 

【3)不動産名義の確認】

 意外に確認を怠りがちなのが
土地や家屋の名義の確認です。

 自分の代で購入したものなら
問題はありませんが、相続した物件の場合
相続の際に兄弟との共有名義にしていなかったか?
さらに言えば、名義変更をしていたか?
を確認しておく必要があります。

 自分が相続する段になって調査した結果、
なんと未だに曽祖父の名義のままだった!
顔すら知らない遠縁の親戚との共有名義だった!!
といった事実が判明し、相続が暗礁に乗り上げたケースや
3代遡っての相続人調査を強いられて多額の出費と
丸1年間労力を費やしたという笑えない話もあるのです。

 今や「負動産」とまで酷評される
空き地化した土地が、相続財産の中に確認された場合、
親の代でケリをつけてもらうのか、自分の代で何とかするのか?
どちらにしても、不動産の現状把握だけは早い方がいいに決まっています。

 

【4)遺言書】

 実は60歳を前に(もう)遺言書を用意すること、
この考えに懐疑的な方は最近まで少なくありませんでした。

 ですが、子のいない夫婦で義理の両親や兄弟と
疎遠、険悪な関係にある場合は遺言書だけが
配偶者の相続権を守れる唯一の「セーフティネット」
になるのです。

 同様に財産と呼べるものが
自宅兼店舗と言った不動産しかないような場合も、
子供たちに無用な負荷をかけない効力を持つのは
遺言書だけなのです。

 さらに、いざ書こうと決心した際に
次の問題を解決する必要があります。

 公正証書遺言か、自筆証書遺言か?
この選択です。

 前者なら保管、保証についてメリットがありますが、
その為に10万円前後の費用が発生します。

 後者の場合、費用はほぼゼロで作成可能ですが、
紛失や破損、あるいは改ざんのリスクが付きまといますし、
肝心の書式に不備があった場合は遺言書自体が無効になります。

※自筆証書遺言に関しては今年の1月と来年の7月からの民放改正で
 要件の緩和が図られる予定です。

 

【5)生前贈与】

 年間110万円までなら贈与非課税というのは
ほぼ認知されてきましたが、死亡前3年の贈与については
相続財産に組み入れられ、相続税の課税対象になることは
そこまで認知が進んでいないようです。
 
 110万円以内の贈与であっても
被相続人死亡前の3年分は相続財産とされるのです。

 
 自分たちの現在と将来の生活を脅かさないレベルで
贈与が可能だという場合、早いうちからの継続的な生前贈与は
確実な相続税の節税に繋がります。

 年間110万円までなら、子供が何人でも贈与は非課税です。
見極めは自己責任になりますが、検討課題ではあると思います。

 

【6)葬儀】

 ここからは終活にも絡んできます。
遺言書どころか、葬儀まで!?
とは言うもののこれも本人の死亡後には
意向を確認することが出来ません。

 仮に希望があるならば、
事前に家族の誰かにはその旨を伝えておくべきです。
~家族葬、直葬、または散骨を希望する等など

 
 さらに一歩踏み込めば
葬儀の参列者の選定も記録しておきましょう。

~葬儀に来て欲しい人、
~自分の死を知っておいて欲しい人、
~連絡すら不要の人、

 本人以外に判断出来ないことですので
家族への負荷を軽減させるためにも
記録しておくべき項目です。

 ※葬儀以前の話で、
菩提寺の所在地を知らない、
墓地の所在を知らない、行ったことがない、
そもそも親から聞かされていないといった
ケースもあったほどです。

 念のため、これらの情報の洗い出しと
伝達も必要かと思われます。

 

【7)葬祭費、埋葬費】

 細かいことになりますが、
葬祭費給付制度の申請についても
自分で調べておき、家人に伝えるべきです。

 書式に則って申請することで
自治体、国保、組合等から給付金として
一定金額が支給されます。

 東京23区の場合は、7万円だそうです。
但し、葬儀翌日から2年以内の申請が条件で
期間を過ぎてしまうと失効します。
この点からもこの制度の情報を記録しておく
必要があると言えます。

 子供側からすれば、
親が存命中にこの様な情報を調べる事には
やはり躊躇する傾向がみられます。

 また実際の葬儀の場面に直面すれば、
他の重要事項に振り回されますから、
つい忘れがちになります。

 当人が調べるという事にも
抵抗があるとは思いますが、
これも家人に余計な負担を残さないという
観点から、意識しておいてもらいたい項目です。

 

【8)クレジットカード】

 家族カードであれば問題ありませんが
個人用カードを所有し、なおかつそこから
年会費や定期払い、自動引落しの契約があるならば
相続人に必ず伝えておくべきです。

 親族が気付ないまま
貴重な財産が無為に引き落とされる(=減少)
のは避けたいものでしょう。

 また、カードに関しても
冒頭の銀行口座の整理統合と同様、
枚数の削減や一本化を考える時期とも言えます。

 

【9)生命保険】

 先の2)と重複する部分もありますが、
まずは家人に生命保険の契約の事実を伝えておくこと。

 これは大前提中の大前提ですが、
加えて死亡保険金の請求方法についても
伝えておく必要があります。

 通常請求期間には時効が設けられており、
3年を経過するとその権利は消滅します。

 契約の存在には気付いたものの
時効の存在を知らず、一段落してから
請求したものの、その時には3年が経過していた!

 こんなことにならないよう
遺すべき情報、伝えるべき情報には
細心の注意が求められます。

 

【10)「新制度」への配慮】

 遺言書の中でも触れましたが
今年から民法改正に伴い、新制度が
発足し、順次施行されていきます。

 相続問題に限っただけでも
配偶者居住権の新設と登記
遺された配偶者の生活の保障に
大きな影響を与えるものです。

 財産が自宅と土地で大半を占めるような
子供との相続財産の分与が難しい場合等、
事前にこの制度の活用を家人に相談することで
無用な争いや禍根を残さないで済むのです。

 最期に、
長年病気や事故の後遺症などで
介護生活を続けているような場合に
長年にわたり介護に従事してくれる嫁に
何か形あるもので報いたいという場合、
制度の改正で特別寄与料を請求出来るようになります。

 但し、6ヶ月以内に家裁へ請求する必要があり
加えて詳細な介護実態の記録が必須となります。

 「出来た嫁」に対し
感謝の気持ちを形で伝えたいのであれば
進んで記録作成を手伝うことも
やるべきことの一つではないでしょうか?

 

 如何でしょうか?
個人的には

還暦を迎える前には
「最低」この10項目についての備えを
済ませておくべき

と考えています。

 あくまでも決めるのは貴方自身ですが、
決めておかない事で貴方自身には迷惑は
生じません。

 但し、備えておかなかったことの影響は
遺された配偶者や子供に生じてしまうのです。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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