【今日のポイント】

 60歳を迎えると年金や保険、そして退職金と言った
おカネに関係する様々な選択を迫られてきます。

 今回は事前に知っておけば賢い選択に役立つと思われた
各種の公的なサービスや出費削減の方法について紹介したいと思います。

 

【年金受給開始までの働き方は?】

 今でも60歳で会社を定年退職し、
新しい仕事に就くのが一般的だと思いますが、
通常の年金受給開始となる65才までの働き方で
最初の選択を求められます。

 

〇雇用形態
 最近は認知度も高まっていますが、
厚生年金に加入しない働き方の場合には
年金のカットが発生しません。

 仮に今まで通り厚生年金に加入して
フルタイムで働く場合、条件によっては
給与と年金の合計月額が28万円を超える場合があります。
この場合、「在職老齢年金制度」の規定により
年金額がカットされます。

 現役時代同様に働くことで
却って年金が減額になるというのも
釈然としませんね。
 
 ですが、この場合のように
同じ職場で再雇用や嘱託契約で働く場合には
可能な限り「業務請負契約=自営業」の形態で
再雇用してもらえないかを相談すべきです。

 雇用ではなく請負の場合には
先の制約の対象外になるので、
働いた分だけ収入となり、
年金も減額されないのです。

 

〇雇用保険に加入して再就職
 この場合は
「高年齢雇用継続基本給付金」が支給されます。
従来の賃金から減額された新賃金のMAX15%まで
支給されますが、加入しないとこの給付はされません。

 

【年金は何時から受給する?】

 このテーマだけでブログ一本書けますが、
簡単にまとめると、繰り上げ受給の場合は
毎月の額は本来の受給額より一定の比率で減額されますが
心身共に健康なうちに長期間、安定した収入となります。

 反対に繰り下げの場合は、受給額自体は増額にはなります。
ですが、我慢を重ねて晴れて高額受給の開始となった時点で
既に病床に就いていたら? やりたい事は出来ず、
食べたいものが食べられない事も十分あり得ます。

 さらにはとりあえず健康な状態で受給開始を迎えても、
元を取るまで長生きしなければ結局は損することになります。

 極端な事例になりますが、
仮に繰り上げで月々の年金額が10万円。
繰り下げた場合に15万円としましょう。

 60歳から10万円の受給を選べば
85歳まで生きたとして受給期間は25年です。
年間では月10万×12で120万円、
120万×25年で累計3,000万円の受給です。

 70歳からの繰り下げ受給で
同じ85歳まで生きたとすれば
受給期間は15年ですから、
同様に15万円×12で年180万円、
累計では2,700万円の受給です。

 60歳から70歳までの10年間に
やりたいことを年金で実現するといった
身体が動く若いうち(?)に使いたいと考えるか

 70歳からゆとりのある収入を確保して
悠々自適な暮らしで過ごすと考えるか?

 自分は確実に何歳まで生きる、
更に健康な状態で何歳までは社会生活を続けている。

だから、繰り上げ受給を選ぶ?
だから、繰り下げ受給を選ぶ?

 繰り上げを選んでも急逝するケースはありますし、
80歳を超えても心身共に健康でバリバリ活躍出来るケースも
あり得るのです。

 この見極めを的確に出来る人はまずいないでしょう。

 

【65歳以降も働く?】

 もし年金の受給額が年211万円以下なら
「住民税非課税」になります。
この場合、連動して社会保険料にも
軽減措置が取られます。

 65歳以降、年金を受給しつつ
フルタイムで働く場合、
社会保険料の負担は従来並みのままとなり、
所得税、住民税も従来通り給与からの天引きとなります。

 収入額によっては
年金受給だけの方が最終的な手取り額が
高くなるという逆転現象になる場合も出てきますので
収入と課税、控除とのバランスの見極めが必要です。

 

【見直すべきサービス?】

〇生命保険
 特に民間の定額死亡保険は要注意です。
更新のたびに保険料が上がる=年齢に比例して高額になります。

 保険の見直し=保険料の削減には
後述する公的サービスの「高額療養費制度」
を活用すれば十分カバー可能な場合があります。

 

〇クルマを売却
 明らかに支出減に繋がります。
車検代、保険料、燃料代、駐車場代、税金等が
一気に消滅するわけですから・・・

 

〇固定電話
 基本料金、オプション契約等で
割安契約をしていても
年3万円前後は発生しているはずです。

 以前はローン契約の際に固定電話が無いと
難色を示されることがありましたが、
今では携帯電話だけでも契約等で問題はないようです。

 

 

【公的サービスの活用】

〇高齢受給証
 これは加入している健保から
被保険者が70歳になる月に送られてきます。

 この提示で自己負担額が1~2割になるのです。
但し、標準報酬月額28万円未満の場合です。

 詳しい内容については以下のリンクを参照して下さい。

高齢受給者証

 

〇子供の健康保険の扶養に入る 
 本人の健康保険料負担がゼロになります。

 

〇高額な医療費になりそうな時に
 事前に医療費が高額になると分かった場合は、
「限度額適用認定証」という制度があります。
これによって医療費の自己負担が軽減されます。

 健保か自治体へ申請が必要で、詳細は
以下のリンク先を参照して下さい。

高額医療費になりそうなとき

 

〇高額療養費制度もあります
 上記と異なり、結果的に高額な医療費を
自己負担することになった場合でも、
70歳以上で住民税非課税世帯の場合であれば
自己負担の上限が月額24,600円で抑えられます。

 この制度を活用することで上限額を超えた分は
後日払戻しされてくるのです。

 実際には所得区分によって自己負担額上限が5段階に
区分けされていますので、上記以外のケースでも
自己負担額の軽減が可能な場合があります。

 これも詳細については
以下のリンクを参照して下さい。

高額療養医制度


 条件が合致する世帯であれば、

民間の医療保険への加入は再考する余地があります。

 病気にならなくても毎年必ず、
最低でも10万円台の保険料が発生する
民間の保険への加入が適当かどうかを検討すべきでしょう。

 


〇高額介護サービス費制度

 こちらの対象は「介護サービス費」なので
上記とは別物になります。

  70歳以上で、住民税非課税世帯なら
自己負担は上限24,600円で済みます。

 但し、2年以内に申請しませんと
24,600円を超えた分の1割が自己負担になります。

 自治体から届く申請書での申請によって、
適用されます。

 

〇高額医療・高額介護合算療養費制度
 70歳以上で住民税非課税世帯なら
この制度によって年間の支払総額は
31万円以内に抑えられます。

 但し、自治体への申請勧奨書を
提出することが条件となっています。

 

 

 この他、細かなものになりますが、

〇入院時生活療養費
 65歳以上で住民税非課税の場合なら
「減額認定証を交付」してもらえば
長期入院時に一食210円、居住費一日370円になります。

〇療養費の申請
 申請することによって
ギブスや装具の代金の一部払い戻しされる場合があります。
但し2年以内の申請が条件となっています。

 

 

 公的サービス、と言えるかどうかは別に
以下のサービスも覚えておくべきものでしょう。


〇高年齢求職者給付金の支給

 これはハローワークでの申請が必要ですが
申請によって(MAX基本手当日額50日分)が支給されます。

 

〇失業手当
 これは有名なので詳細は省きます。
最大で150日給付が受けられます。
但し年金給付開始前に限らる点には注意が必要です。

 

【税金・社会保険料の軽減】

 この項目は以前にも紹介していたものなので
ざっくりとした紹介に留めておきます。

 

〇退職金のもらい方
 一括払いと分割払いの2者択一が一般的ですが、
一括で貰った場合は「退職所得控除」が適用されるので
節税効果が期待出来ますが、分割の場合は結果的に「月収増」となります。
この為、年
金からの天引き(所得税)が発生してしまうのです。

 

〇厚生年金に加入しない   
 厚生年金に加入を続けた場合、
年金保険料の軽減や在職老齢年金のカットがなくなります。

 同じ会社で再雇用された場合でも、厚生年金に加入しないで
業務請負契約で働くことが可能であれば、上記の問題は
発生しません。 また自営業の場合この問題は関係ありません。

 

 

【最後に】

 この案件は、
今までとは異なり
親子に絡む問題になるものです。

 高齢化社会の今、
子が60歳でも80代の老親が健在という
ケースは普通のものとなっています。

 お墓と住まいの問題は
高齢の親が存命か既に亡くなっているかで
考え方がやや異なってきます。

〇墓
 改葬する場合は、
新墓の準備を考えると
納骨堂への改葬の場合でも
100万円単位の出費は
覚悟しなくてはいけないでしょう。

 親が健在であれば、
何時、誰が主体となって行動するかが
まず解決すべき課題になってきます。

 諸々の事情で
現在の墓を残さざるを得ない場合は
問題の先延ばしとも言えますが、
改葬ではなく「分骨」という手段もあります。

 

〇一戸建てのマイホーム
 築年数によっては、
または立地条件によっては
売却が困難な場合があります。
さらに家屋の取り壊し費用もバカになりません。

 既に自分の代が所有している家屋であれば
早い段階で売却し、狭くても駅近、駅前の
立地で生活環境に秀でたマンションへの転居が
ベターでしょう。

 その後さらに
そのマンションを転売する場合でも
付加価値が高ければ、売却も容易ですし、

その売却代金で病院や施設への入院・入所資金を
捻出することも可能になるからです。

 

 まだ親が暮らしている場合や、
親の名義のまま空き家になっている場合は
早急な話し合いで「家の終活」を始めるべきでしょう。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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