【今日のポイント】

  令和最初のブログになります! 新時代も今まで同様に宜しくお願いします。

 さて、5月最初のブログは、芸能人の訃報と相続の関係についてです。

 

【芸能人夫婦の相次ぐ訃報】

 昨年は、大物芸能人夫妻の訃報が続きました。
最後までおしどり夫婦だった津川雅彦さんと朝丘雪路さん、
おしどりなのか?は疑問ですが樹木希林さんと内田裕也さん。

 共に一般的な相続のパターンとは異なり、
夫が妻を看取るという点も同じでした。
そしてごく短期間に後を追うように亡くなった点も。

樹木希林さんは、2018年9月15日に亡くなり、
内田裕也さんはほぼ半年後の2019年3月17日に亡くなっています。

相続人は娘と養子縁組した娘の夫、夫婦間には子供が男女1人づつ。

朝丘雪路さんは2018年4月27日、
津川雅彦さんは僅か3ヵ月足らずの2018年8月4日に
亡くなりました。

相続人は娘一人で子供はいないようです。

 

【気になる相続~相次か数次か?】

 おせっかいな話ですが、
仕事上このようなケースでは
相続がどういう手続きになるのかが気になりました。

 この例のように、
最初の相続の発生から短期間のうちに
二度目の相続が発生した場合は
以下のようなケースが考えられるのです。

「相次相続控除」の対象だったのか?

「数次相続」に該当するケースだったのか?

「再転相続」に該当するケースだったのか?

 

1)「相次相続控除」

 2度目の相続の開始前10年以内
被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって、
財産を取得し、相続税が課されていた場合には、
その被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって
財産を取得した人の相続税額から、一定の金額が控除されます。

 これが「相次相続控除」であり、
一種の相続税の節税にもなるものです。

 但し、この相次相続控除が受けられるのは
次の全てに当てはまる人になります。

(1) 被相続人の相続人であること
 この制度の適用対象者は相続人に限定されていますので、
 相続の放棄をした人及び相続権を失った人が
 たとえ遺贈により財産を取得してもこの制度は適用されません。

(2) その相続の開始前10年以内に開始した相続により
  被相続人が財産を取得していること

(3) その相続の開始前10年以内に開始した相続により
  取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと

 
 相次相続の考え方について、
国税庁の資料から一部を紹介します。

 ~2年前に父親が死亡し相続手続きを行いました。
子供である自分は相続税を納付、
母は配偶者控除を適用して
相続税は非課税でした。

 その母が亡くなったのですが、
相次相続にある10年以内の相続になるから
私が納めた相続税額は、今回の母の相続税の申告において
相次相続控除の対象になるでしょうか?

 これへの回答は
 ~相次相続控除は、
前回の相続において被相続人が納めた相続税がある場合に、
その相続税額を基に計算する制度です。

 したがって、今回の被相続人(母)は、
前回の父の相続において
配偶者の税額の軽減により納めた相続税がないため
今回の母の相続税の申告において
相次相続控除額は算出されませんので、
相次相続控除を受けることはできません。

 上記(3)の意味はこのような事例を指します。

 勝手な推測ですが、今回取り上げた2組の夫婦の場合、
この控除が適用されるだけの時間的余裕はあったのでしょうか?

 特に津川さん夫婦の場合、
3ヵ月という非常に短い時間で二度目の相続発生ですから
恐らく1回目の相続手続きも進んではいなかったのではないでしょうか? 

 

2)「数次相続」

 例えば被相続人である父親が死亡し、
父親の遺産について遺産分割協議を何もしていないうちに、
続けて相続人の1人である母親も死亡した場合が、
「数次相続」の状態となります。

 この場合の子供たちは、
父親の相続人でもあると同時に、母親の相続人でもあります。

 そして父親の遺産相続における遺産分割協議は、
母親と子供達でしなければなりません。

 しかしその母親は、
父親が亡くなったあとすぐに亡くなってしまっため、
父親の遺産相続の遺産分割協議は、
父親の法定相続人である子供たちと、
母親の相続人でもある子供たちが
母親の立場として、
遺産分割協議をすることになるのです。

 このように被相続人の「遺産分割協議前」に
相続人のひとり(または複数人)が死亡してしまった場合、
その地位を法定相続人が引き継いだ状態のことをいいます。

 

3)「再転相続」

 数次相続と似ているものの、
再転相続というケースもあります。
これは数次相続と異なり「相続の承認が成される前に」
法定相続人が続けて亡くなった場合を指します。

 相続の原則としては
相続の発生から3カ月(熟慮期間)以内に
単純承認、限定承認、相続放棄
といった選択をしなくてはいけない。

 とされていますが、
その結論が出ないうちに(出さないままに)
法定相続人が続けて亡くなったケースを指します。

 

【どういう相続になるのか?】

 さて、事例に採り上げた2組の夫妻のケースで
思ったことは以下の通りです。

 津川さん夫妻の場合、
奥さまは認知症を患っていたと書かれています。

あくまでも憶測ですが、
この場合後見人をつけていなければ、
遺言書の作成は不可能です。
相続に関しては相続人による
「遺産分割協議」が必須となります。

 ですが、僅か3か月後に夫も亡くなっています。
遺産相続の話し合いなどを事前に済ませてなければ
到底分割協議を開催できる時間的余裕はなかった
としか思えません。

 幸か不幸か、相続人である子供は
娘一人のようなので、分割協議は無用ですが
恐らくは「数次相続」または「再転相続」
の対象になったと思います。

 

 これに比べて
樹木希林さん夫妻の場合は、
約半年の時間がありましたから、
場合によっては遺言書、
または遺産分割協議による
相続手続きを(または贈与)
完了出来たかもしれません。

恐らくは「再転相続」には
該当しなかったと思います。

 ただ相続税の申告と納付は
相続発生後10カ月以内ですから
申告と納付まで済ませたかは
微妙なところです。

 仮に納付を済ませていたならば
「相次相続控除」の対象になりますし、
済ませていなければ「数次相続」
対象となる訳です。

 

 芸能人全てが多額の資産を有するとは
限らないですが、この2組に関しては
芸能界での地位にふさわしい資産を
持っていたのではないでしょうか?

 この場合相続人である子供達も
芸能界で活躍しており、相続問題に
どれだけ時間を回せるか?
遺産が巨額であればあるほど、
さらにこの事例のように相次ぐ相続発生ともなると
相当な時間と労力を求められるでしょう。

 ※週刊誌によれば樹木さんは
  水際立った相続準備を
  生前に完了していたようです。

 

【他人事ではない3つの相続】 

 この2つの事例は
夫婦が共に高齢化していた点が共通しています。

という事は、我々のような還暦世代の親世代にも
十分当てはまる事例だという事になります。

 私の周辺でも認知症の父親を看護してきた
母親が看護疲れからか病に倒れそのまま亡くなり
ごく短期間で父親も世を去ったという例がありました。

 母親はまさか自分が先とは思っていなかった
為に遺言書も書かず、父親は財産目録を用意する前に
発症したため、相続人の子供たちは相続手続きに
相当な時間と労力を費やし、その後の指摘で
数次相続の手続きを知り、さらに時間がかかったと
話していました。

 
 同じように父親が亡くなり母親と子供2人の
相続手続きを済ませ、相続税を納付後4年後に
母親が亡くなった際に相次相続控除を知らずに
「通常の相続税を納付」していた知人もいました。

 

 人生100年時代と言われ
確実に「共に元気な80代夫婦」は増加しています。

 ですが、見方を変えれば
「その時を迎える」のも同時期になり易いのです。

 これからは60才の(子供世代の)常識として
せめて相次相続と数次相続、再転相続については
習得しておくことが必要になるのではないでしょうか?

 

 参考までに以前のブログですが、
いろいろな相続のパターンを紹介したものが
ありますので、リンクを貼っておきます。

 相続のパターン

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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