【今日のポイント】

 今年もお世話になりました。
本年最後のブログ投稿になります。

 来年の税制改正を意識してか、微妙な判断が求められるような
税金逃れ、節税、相続対策のノウハウが雑誌やネット上に出ています。

 私のところにもその手の問合せが目立ってきています。
その中で「代理人カード」を口にする
50代以上の相談者が複数いらっしゃいました。

 今日は銀行で作成出来る「代理人カード」の功罪と
同じような理由からでしょうか、これもシニア世代から
相談増加中の「タンス預金」について紹介したいと思います。

 

 

【代理人カードの活用】

 ご存知の方も多いと思いますが、
銀行に普通預金口座を設けた場合、
口座を持っている本人のキャッシュカード以外に、
代理人カードが作れます。

 このカードが作れるのは、
「本人と生計を同一にする親族」になります。
現実的にはほぼ、夫婦間、親子間での作成
と利用となるはずです。
作成可能な枚数は銀行によって異なりますが
聞き取りをした範囲では多くても2枚まででした。

 「代理人カード」の作成の為には、
口座名義人が銀行窓口へ行く必要がありますが、
ほとんどの場合家族(代理人)の同行は必須ではないようでした。

 作成には、口座の持ち主本人と代理人となる家族それぞれの
「本人確認書類」(運転免許証、各種健康保険証、パスポートなど)
が必要です。

 さらに銀行によっては、
代理人となる家族の本人確認書類は必要ない場合もあります。
但し、代理人となる家族が16歳以上である確認を求められることがあるので、
一応口座を持つ銀行には事前に確認しておく必要があります。

 発行手数料は1,080円のところが多く、
マイレージクラブなどの会員組織に入っていると
無料の場合もあるようです。

 具体的な申請手続き等については
それぞれの銀行で規定が異なるようなので
この点も事前に当該銀行の担当窓口に確認することをお勧めします。

 

【カード作成のメリットは?】

 何と言っても「お金の共有が出来ること」です。

 例えば、大学に入学し親元を離れた子供に持たせれば
現金書留でなく、直接口座に入金するだけで送金と同じことになります。

 この場合同じ口座ですから振込手数料は発生しません・
この点も口座一つというのはメリットになります。

 同様に単身赴任中の夫と自宅の家族が同じ口座を使えるので
生活費を振り込む、引き出すことも容易に可能です。

 別居に限らず、夫の給与や年金の振込口座から、
妻が自由に生活費を引き出す事も可能になります。
実態としてはこのケースが最も頻度が高いのではないでしょうか?

 さらに、共稼ぎの夫婦の場合、
お互いが自分の収入から定額の生活費を1つの口座に入金し、
日常の買い物はその口座からお金を下ろして使う。

 何か共通の目的(自家用車の購入、海外旅行等)があって
お金を貯める際に、1つの口座に2人で入金して貯める。

 など等、目的に応じた金銭管理の為にも活用が出来ます。

 他にも片方がカード暗証番号を失念しても、
もう一人に確認することでATMの前や銀行の窓口で
立ち往生することなく、速やかな対応が可能になります。

 但し、本人が死亡した場合は口座が凍結されます。
当然ですが、その場合家族カードも使用出来なくなります。

 

 死亡時は別ですが、
人が認知症や脳死状態の場合には
代理人カードはその効力を維持出来ます。

 通常成年後見制度の適用になった場合、
本人名義の口座は後見人の管理下に置かれますが
このカードを作成しておけば、生活費の引出等については
今まで通りに出来る事になります。

 

【代理人カードの制限事項】

 銀行ではキャッシュカードの種類によって、
1日の引落し限度額が決まっています。

 代理人カードの場合、
一般にはICカードとなりますので、
当然1日当たりの制限があります。

 制限額は銀行によって異なりますので、
これも予め事前に確認しておきましょう。

 例えばゆうちょ銀行の場合は、
代理人が「指静脈情報を登録」し、
暗証番号と併せて本人確認をすることで
1日上限1,000万円までの引出しが可能になります。

  参照リンク先⇒ゆうちょ銀行HPより

 通常ではここまでの必要は無いと思いますが、
大きな金額を操作する可能性がある場合は、
検討してもいでしょう。

 また口座を持っている本人のカードが、
クレジットカード兼用の場合でも、
代理人カードはキャッシュカードのみの機能しかありません。

 クレジットカード機能を家族に使用させる場合は、
別途「家族カード」の申し込みが必要となります。
これらの制限事項については、各銀行によって異なります。
この点も銀行の担当窓口でお尋ねください。

 

【カードのデメリット】

 先に書きましたが、
遠隔地の子供への生活費送金の為に代理人カードを作成する場合、
仮に親の普通預金口座そのままを利用する場合には注意が必要です。

 子が生活費を引出した時には残高明細が発行されます。
そうなると、「我が家の預金残高総額」を子供が知ってしまうのです!

 ここから先は、
親子の信頼関係の領域になるので何も言いませんが、
送金以上の引出しが可能になっていることは
双方認識しておく必要があります。

 また口座名義人が死亡した後に、
その旨を銀行に伝えないまま代理人カード(家族カード含む)
を使用し続けた場合は、その金額や使途によっては
相続財産の先取りと見做される場合もあります。

 さらに別居する兄弟等の他の相続人間との信頼関係にも
重大な亀裂を生じる危険性があります。

 件数として多いのが、
名義人の財産である預貯金を家族が無条件に使用出来る
という点を悪用・濫用するケースです。

 出来ることと、していいこと
この分別が出来ないような家族の場合は
この制度の利用を推奨は出来ません。

 

【タンス預金の復権?】

 口座名義人死亡後には税務署の調査が入ります。
調査期間は死亡時から遡ること3年間で、
この期間の入出金について徹底調査が入ります。

 この中で、毎月定期的な一定額の出金、
100万円以上の高額の引き出し、
又は他行や別口座への送金等は
相続対策の一環と見られることは必至です。

 人間何時その時を迎えるかは分かりません。
仮に疾病からの余命宣告を受けた場合でも
3年前に宣告を受ける事はまずありえませんから、
その時になってからでは打てる対策は限られたものになります。

 一般的には早い時期からの
「暦年贈与」で毎年110万円までの生前贈与を始める、
子や孫がいて条件が合致すれば期限付きですが
住宅資金、教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与も可能です。

 現在預貯金口座にはマイナンバーの提出は紐付けされていません。
あくまでも現在は、という前提ですから
いずれは紐付けは実施されると考えるべきでしょう。

 記録に残らなければ、税務調査の追求も及ばない?
最近はこの考えからか、所謂「タンス預金」に関しての相談が増えています。

 月々不揃いの金額を引き出しタンス預金に「積み立て」
引き出しの理由を生活費、または扶養家族の扶助の為
という理由であれば、正当な出費=必要な生活費になります。

 無論、税務調査で自宅に不相応な金庫を発見されたり、
押し入れの中に放置している状態を発見されれば
「追徴」の可能性はほぼ100%です。

 下手に悪質な税金逃れと判断されれば追徴課税は免れません。

 ポイントは、時間との兼ね合いでしょう。
5年10年という時間をかけての積立であれば
調査に対する釈明の余地は十分用意出来ます。

 ですが余命宣告を受けてから、期限が迫る金策の為という場合は
入出金の不自然さは免れません。リスクは相当なものとなるのは当然です。

 さすがの税務署も、
長期にわたる月々の少額の引出しまでを
徹底して追跡調査する余力はありません。

 賢明な釈明とは思えませんが、
毎月の出費の内訳として、趣味が記録の残らないギャンブル
(パチンコや宝くじ等)を主張すれば
それ以上の追求は難しくなるのも事実でしょう。

 但し、その後何らかの事情で税務調査が入った場合は
相当綿密な調査が実施されることは覚悟した方がいいでしょう。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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