【今日のポイント】

 以前にもこのブログで何度かデジタル遺品、
特にデジタル資産の問題を採り上げていますが、
最近は新たな問題が生じていることについて
紹介したいと思います。

 

【厄介なデジタル資産の台頭】

 一つ目の問題(危険)は処置を誤ると
損失を生じさせるデジタル資産です。

 従来デジタル遺品の中で、
特に注意を促して来たものの中心は、
金融機関の口座情報でした。

どの銀行、証券会社にオンライン口座を持っているか?
口座へのアクセスに必要なパスワード等は把握しているか?
自動引き落としや自動積立等の処理、解約手続きに難航する。

 これに加えて、
最近より深刻な問題が台頭してきました。

〇仮想通貨
 最近登場してきたこれがデジタル遺品の中でも
厄介なものの筆頭候補です。

 仮想通貨に関しては、ほぼ郵便物での足跡の把握は不可能です。
契約当事者以外は取扱い方法はおろか現金化の手続きも
分かっていないケースが少なくないようです。

 問題になるのは、
仮想通貨にも最近は当然ながら「税務調査」が入る為、
調査の結果、大幅な値上がりになっていた場合、
相続税課税対象になっていたという場合があります。

 でも相続人は仮想通貨の何たるかも知らず、
まして現金化方法を知る訳もありません。
となると、どうなるか?

 詳しいことは私もよく分かりませんが、
仮想通貨の現金化の為には別個にある「ウォレット」と呼ばれる
記憶媒体が必須なのですが、仮想通貨の存在すら知らなければ
当然そんな存在に遺族が気付くはずもありません。
それどころか、遺品整理の際に何かわからないまま処分していたら
もはや現金化の可能性はゼロに等しいのでは?

それでも、課税対象は課税対象です、税務署は見逃してはくれません。

 手の出せない相続財産の為に、
現実の手持ちの財産で相続税を納付することになるのです。

 

 これまで最も厄介なデジタル遺品としては
FX取引が挙げられていました。

 FX取引(外国為替証拠金取引)は以前にも紹介していますが、
タイミングによっては大儲けもしますが、
その逆に一夜にして大損するリスクもあります。
遺族がその存在を知らないまま、自動的に取引が継続され
その後の経済環境の推移によって大損を喫した場合、
元本の損失に加えて、さらに追加証拠金(追証)の
支払いの請求を受けるリスクも含んでいます。

 仮想通貨の場合は、より個人のスマホでのやりとりが
主流の為、FX取引き以上に秘匿性が高まっています。

 ある日突然にFXで追証を請求され、
仮想通貨の実績に有無を言わせず課税されるとなれば、
遺族としては堪ったものではありませんね!

 

【データの復元】

 上記したようなリスク回避の為に、
あるいは事実の正確な把握の為に
白黒はっきりさせて安心したい!

 となれば、誰もが考えるのは
遺品となったパソコン、スマホの
パスワード解析を行おうとなって当然ですね。

 実はこの作業自体は可能です。
民間のデジタルデーターの修復作業を行う会社で、
十分に原状回復は可能です。
可能ではありますが、問題はその費用です。

 パソコンの場合で、
比較的簡単なデータ解析でも4,5万円、
スマホの場合はより高額になり、
場合によっては数十万円の費用が発生するようです。

 さらに、このデータ復元が可能という点が
新たに生じてきた二つ目のリスクになるのです。

 

 復元されたデータが全て遺産に関するものでしたら
問題とは書きませんが、多くの場合それ以外の情報も
併存させているはずです。

 自分の死後の発覚とはいえ、
それこそ墓場まで持っていくつもりの
個人情報や行動履歴の数々も満天下に晒されるのが
第二のリスクになります。

 内容のレベルによっては
死者に鞭打つどころではない処遇を
覚悟することにもなるでしょう。

 

【次善の策として】 

 上記してきたような迷惑を
家族にかけたくない、
加えて最後まで名誉を守っていたい、
こう考えるのは当然です。

 とはいえ、
今のうちから手の内を明かすのも
発覚のリスク面を考えるとどうも…

 これが多くの場合、偽らざる気持ちでしょう。
ですが、やはり何らかの形でデータの記録と保管に
責任を持つことは最低限の務めと思います。

 でも。具体的には何から始めたら?
という方も多いことでしょう。

 参考までに紹介しますが、
日本デジタル終活協会という団体があります。
このサイトにいろいろとデジタル遺品に対する
対処方法などについて紹介されています。

⇒ 日本デジタル終活協会

 とはいえ、見せたくないことを書き遺すことには
やはりかなりの抵抗があるようです。

 

 そこで、次の策として考えられるのが貸金庫です。

 貸金庫を契約しているのであれば、
所有しているパソコンやスマホの一覧と
それぞれのパスワードやID、
それぞれで取引している金融機関の口座名等の一覧を
作成し、プリントアウトするか、USBメモリに保管し、
貸金庫に保管するという方法です。

 家人には、いろいろな情報は貸金庫にあるとだけ伝えておけば
生前に「露見する」可能性はかなり薄まるはずです。

 

 また、確実とは言いませんが
遺族が最も知りたがっているのは
デジタル遺品や資産の情報です。

 これらが網羅されている一覧があれば、
それ以外の情報収集の為に、
高額な費用をかけてまでパソコンやスマホの
データ完全復元を試みる可能性は
かなり低くなると言えるのではないでしょうか?

 

【ショックな現状】

 経産省の2012年の調査データによれば
30代以上でエンディングノートを知っている比率は約64%、
過半を超えているのですが、
実際に作成したという比率はそのうちの2%でしかないそうです。

 さらに2015年の総務省の「通信利用動向調査」によりますと
60代のパソコン保有率は53,2%
ネットの利用経験者は実に76,6%に達しているそうです。

 我々世代以降はデジタル遺品の存在は必至と考える方が
妥当な時代になったのです。

 当然今の40代、50代はより高い比率でしょうから
秘匿されたままの個人資産情報などは増加の一途でしょう。

 
 人生100年時代と最近よく耳にしますが
40代で幕を閉じるケースも他人事ではありません。

 

 やはり、諸々の事情を鑑みて、
男女共に年齢に関係なく、結婚、あるいは出産で
家庭・家族を持ったら、個人情報だけでも記録した
プレ・エンディングノートを作成することを
改めて強くお奨めします。

 

記事が参考になった方はクリック投票お願いします

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村 士業ブログへ

投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中
独りで思い悩むより「相談」から始めてみませんか?

まずはお電話で! TEL 03-5157-5027 月~金 10:00~19:00(土日は要事前予約)