【今日のポイント】

  我々世代のように無事に定年退職を迎え、
再就職、独立、あるいは隠居生活等、
様々な分野に居場所を移しても、
ついて回ってるのが「税金」ですね。

 現役世代以上に、控除や節税の方策が
少なくなったように思える定年世代にも
活用出来る節税対策について、紹介します。

 

【何が節税できるの?】

 やはり最大の節税対象は、相続税の節税です。
ですがこの話はいろいろな場で紹介されていますし、
ほぼ出尽くした感もあります。

 ザックリと紹介すると、

・「暦年贈与」一人当たり年110万まで
・「孫の教育費一括贈与非課税」1,500万まで
・「小規模宅地の特例」配偶者や子がそのまま住み続ければ土地評価額が80%減に
・自分の墓、仏具、仏壇を用意するなら生前に購入しておく

 等が挙げられますが、
既にブログやコラムで何度も紹介しているので
ここではこれらの詳細については省略します。

 

 では、これ以外で節税が可能なものに何があるでしょうか?

 

【所得税】

 所得税に加えて、
結果的に相続税節税にもなります。

〇「高齢者向け返済特例付リフォーム融資」

 これは、住宅金融支援機構が提供するもので
満60才以上、
自宅のバリアフリー化の為、
の場合に活用できる制度です。

 例えば、
床の段差の解消や
浴室や階段の手すりの設置等が該当します。

 この融資を受ける事になると
リフォーム資金として、
最大1,000万まで借り入れが可能になり、
月々の返済は利息のみの支払となります。

 元本は申込人が死亡時(相続発生時)に、
相続人が自宅を売却したり、
現金での一括返済で完済することになります。

 最近よく耳にする
「リバースモーゲージ」の
政府系金融機関バージョン
といえるでしょう。

 

 これの活用がどう節税に反映されるのか?
分かりやすい事例で紹介していきますと、

自宅 資産額5,000万~相続評価では1,000万円
現金 3,000万円
年金収入は 約380万円
相続人は 妻と子供一人
被相続人は65才

 この設定で、リフォーム資金として
500万をこの制度から借り入れるとします。

 ここで同時に(耳慣れないと思います)
「バリアフリーリフォームローン型減税」
という制度を併用します。

 この制度を利用すると、
5年間、年末の残債額の250万までは2%、
残りは1%の所得税控除が受けられることになるのです。

 先に想定した「500万借りてリフォーム」
を行う場合には、

500万のうち250万に対しては=2%
残りの額(250万)に対しては=1%

 それぞれ所得税控除が受けられるのです。

 具体的に計算すれば、
250万×2%=5万の減税、
(残高の)250万×1%=2,5万の減税となり、
合計で、7万5千円の所得税控除になります。

 先に設定した380万の年金の場合、
約1,9%の所得税が課税されます。
380万×1,9%=約7万2千円なので 
上記した所得税控除額7万5千円で、
所得税分は十分リカバリー出来るのです。

 さらに、
相続発生時にはローンの500万は「負債で残っている」
ことになります。

 そこで、
自宅の評価額1,000万から500万を差し引くことが出来ます。

 これで、相続税の課税対象の相続財産は
評価額500万の自宅と3,000万の現金で計3,500万となります。

 相続人は妻と子の2人なので、
基礎控除額は「3,000万+600万×2人」で算出され、
4,200万となります。

 この結果、財産額よりも控除額が上回る為、
結果的に相続税は非課税になりました。

 これが、仮にリフォームしないまま相続となると、
先の所得税を払い、相続税も課税対象となることで
約25万円が課税されることになるのです。

 それに加えて、リフォーム実施時には
500万の出費が発生することになるのです。

 

【住民税】

 住民税については、
65才以上で妻を扶養している場合で、
年金受給額が211万を超えると住民税が課税されます。

 

 さて、年金の受給額が211万以下の場合には

・住民税は非課税
・社会保険料(国民健康保険と介護保険料)が最大で年10万安くなる
・高額療養費制度の自己負担額の上限が引き下げられる。
 (例えば70才未満なら月57,600円から35,400円に引き下げられる)
・「高額介護サービス」の利用が可能になる。
 (自己負担額が月24,600円を超える介護費は、申請することで戻る)
 (住民税課税ならば、上限は月44,400円に跳ね上がる)

※自治体によっては公共交通機関が無料になる

 年金の受給額を「減らす」には、
あえて繰り上げ支給を選択するという方法もあります。

 規定にある、
1か月の繰り上げ受給で受給額が0,5%減少する。
ことを「有効活用」することで、受給額の調整が可能になるからです。

 

 ただ、やみくもに211万円に固執するのではなく、
生活の安定のためには、受給額のアップが最適か、
税負担の軽減が最適なのかは個々の事情で変わります。

 自分自身の分析と判断で、どちらを選択するか
どういったプランを設定するかを決めて下さい。

 

【退職金の受け取り方】

 最後に、これも最近はご存知の方が多い話になりますが
退職金の受け取り方で課税・非課税の差が出ます。

 一括で貰う場合には、「退職金控除」が適用されます。
例えば、勤続20年を超える場合には、
800万+70万×(勤続年数-20)の額が非課税になります。

~勤続30年ならば、
800万+70万×(30-20)=1,500万円までは非課税となります。

 

 これに対し、分割での受取=企業年金の場合は、
「所得扱い」になり、年金には所得税と住民税がかかります。

 年金の場合、
64才までは年70万円、
65才以降は120万円を超えると
この課税対象になります。

 

 一括で受け取れば、全額非課税も期待出来ますが、
初めて手にするまとまった金額に、無駄な出費に奔る
危険性は高まります。

 そのリスクを避けようと分割で受け取れば、
勤続〇十年の働きに対する「汗と涙の結晶」から
毎年少なくない税金が取られていきます。

 この問題も個人の置かれた立場や環境で
どちらの選択が正しいかは異なってきます。

 

 こうして見てくると
どの方法を選択するにしても、即断即決は難しく、
またすべきではない重要課題です。

 その時になってから考えるのではなく
やはり、事前の検討や吟味を家族と共に
重ねることをお奨めします。

 

記事が参考になった方はクリック投票お願いします

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村 士業ブログへ

投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中
独りで思い悩むより「相談」から始めてみませんか?

まずはお電話で! TEL 03-5157-5027 月~金 10:00~19:00(土日は要事前予約)