【今日のポイント】

 この10月で個人事業者となって丸7年。
実質事務所を開業してから6年となります。

 勤続29年の会社勤めと比べて何がどう変わったか?
又は変わらないかについて、思うところを書いてみました。

 

【変わったこと~おカネの意味】

 変わったことはいろいろありますが、
個人的に最も(見方が)変わったものは、
「おカネ」に対して(の考え)です。

 個人事業者は「身銭を切る」のが当たり前です。

 顧みれば会社員時代には、
様々な場面での支出については基本会社負担でした。
(旅費、宿泊費、資料購入、消耗品費等)

 同様の支出に接待というものもありました。
特に私は営業職でしたので、得意先との交流は
「必要不可欠」な「業務」と位置付けられていました。

 例えば、娯楽でしかないゴルフも
得意先接待という大義名分があれば、
交際費という名目で堂々と精算が出来。
「高額なゴルフコースで」「ワンランク上の飲食を」
 ごく自然に(半ば当然のように)楽しんできたものでした。

 接待でなくとも、例えば職場の部下との飲食代も
極端な例では学生時代の旧友との飲食であっても
会社員時代にはいろいろな名目をつけて雑費や交際費で
会社にツケを回すことが出来たのです。

 それに加えて、給料は毎月必ず振り込まれており、
賞与も年2回、当たり前のように支給されてきました。

 二日酔いでデスクに突っ伏していようとも
出張先で午前中に仕事を済ませ、午後からは
観光に勤しんでも給料は同額でした。

 有給休暇も保障されており、リフレッシュ休暇といった
特別な休暇の取得は取得必須という「お墨付き」まで
付与されていたものです。

 

 個人事業者となった時点で
ここに書いたような「看板に依存する」
「大樹の陰での生活」とは無縁になりました。

 受任業務遂行の為の各種の経費は
当然先払いであり、自己負担です。

 細かな点を言えば、
例えば、業務遂行の為の地方出張時に
・新幹線でなければいけない理由
・さらにグリーン車でなければいけない理由
・1泊しなければいけない理由
・先方の関係者との飲食の理由

等など、依頼者が納得出来る理由のある経費で
あることを意識しなくてはいけません。

 異議を唱えられれば、その超過分は自己負担です。

 必要経費、という概念を本当の意味で理解したのは
開業して1年後、辺りからでした。 

 
 報酬という収入についても個人事業=独立開業の場合
「働かなければ稼ぎは出ない」のが当然です。

「依頼が無ければ、仕事にならず」
「仕事がなければ1円の収入も生じない」
そして
「収入がなければ満足な働きが出来ず」
「満足な働きをしなければ信頼は得られず」
「信頼がなければ、その世界に居場所はなくなる」
という結果に行き着くのです。

 会社顧問の様な仕事でなければ全てその場限り、
単発の依頼が前提ですから、持続的安定収入を
得るには並大抵の営業努力では足らないのです。

 表現はきつくなりますが、
「金勘定にはシビアになること。」

最大の変化はこの一点でしょうか?

 

 私の仕事のように「形のないサービス」を
提供する場合、必ずぶつかるのは
「そのくらいサービスしてよ」
「友達価格で宜しく!」

という軽い考えでの要求でした。

「水臭いな、友達だろ~」
「覚えきれないから後からメールしてよ」
「その本、貸して、読んどくから」

 形あるものを提供(紙媒体、印刷物等)すれば
当然有料サービスになりますし、
覚えきれないのは自己責任です。
貸すためにそろえた本(=資料)ではありません。

 質の悪い友達と称する人物程
「あそこなら安く、タダで、請け負ってくれるよ」
「俺の名前出せば安くなるから」等々
無責任で好き勝手な宣伝をされるのが関の山です。
 

 個人事業の世界に入ったら、
生ぬるい過去の人間関係を気にする必要はありません。
誤解を招く表現かもしれませんが、

 依頼人ファーストとは相応の対価あっての考えです。

 

 

【変わったこと~意識すること】

 いつも普段着ばかり着ていると、普段着しか似合わなくなるぞ。

 これは2通りの意味と認識しています。

 最初は文字通り、いくら制服のない自由業(の一種)に
就いたとはいえ、着るものにはそれなりの関心と注意を払うべき
という考えです。

 個人的な悩みを相談する際に、それも初対面の士業従事者となれば
先ずは見た目から「値踏み」されるのは仕方ないことと思います。
私自身、例えば医者にかかる際にしわくちゃの白衣の先生では
警戒心が先に立ちます、場違いなアロハを着たバーテンダーには
好みのカクテルをオーダーする気にはなりません。

 私個人の拘りかもしれませんが、初見の相談者との面談時には
必ずネクタイとジャケットは着用して臨みます。
事務所での面談でも、先方に出向いていく場合でも同様です。
夏であろうとこのスタンスは変えてきませんでした。

 業務終了時に、雑談がてらこの件を尋ねたところ、
100%「好印象だった」と返答を頂いています。

 クールビズ、敗れたり!? でした。

 なんだかんだ言っても、
見かけで判断される職業は、厳然と存在する。

ことは間違いない事実と確信した次第です。

 

 2つ目の意味としては、
手慣れた仕事ばかり、楽な仕事ばかりで満足すると
仕事の幅はどんどん狭くなり、スキルアップの機会も
意欲も失ってしまうと捉えています。

 冒頭にも書きましたが、この仕事は
毎月毎月同じことを繰り返すような仕事ではありません。

 今は引く手あまたな仕事に就いていても、
翌月、翌年、それ以降にも存在する保障は全く無いのです。

 今が良ければ良しとする、
の姿勢に甘んじては進歩も変革も難しくなります。

 

 機会あれば、意識して
これまで取り組んでこなかった分野の仕事を
探す、調べる、学ぶことは最初はなかなか
うまく進まないでしょうし、適不適もあることともいます。

ですが試さなければ適不適の判別も出来ません。

 着慣れた普段着に満足していると、
いざという時に、着替える事も出来ず、
丸裸にされるかもしれないのです。

 

 話が横道にそれますが、
この点は会社勤めの場合でも、飲食店経営の場合でも
同じ意味を持つものと思います。

 この仕事なら社内NO1

という評価は耳障りの良いものではありますが、

それ以外は人並み以下でしかない

というのであれば考えものですね。

 その仕事が省力化、効率化によって
無くなったとしたら? 

 今の自分を意識するという事は
どんな仕事の場合でも共通する事ではないでしょうか?

 

 

【変わらないこと~裏付けを持つこと】

 

 裏付けという表現を言い換えますと、
資格、志でしょうか?

 起業・独立を目指す場合において
何をおいても十分な説得力を持つ「裏付け」は欠かせません。

 特に士業のように、最低限「資格取得」しなくては
始まらない仕事を選ぶのであれば、まずは合格することが
必須案件です。

 加えて、資格を取って何をしたいのか?
何を為すために資格を取るのか? 
所謂志を持つこと、見定める事です。

 この点は自省を込めて書きたいと思います。
退職後、1年余をかけて事務所開設の準備をしたのは
いいのですが、肝心の何をするために?については
まだ流動的なままのスタートをしてしまいました。

 その結果、開業後1年以上は迷走を続け
ほぼ開店休業で宣伝もせず、開業告知も出来ないままでした。

 このブログの冒頭に実質開業6年と書いてはいますが、
より厳密に言えば、未だ5年足らずというのが事実です。

 私の事例を反面教師として、志を持つことに
十分な時間をかけて下さい。

 

 とはいえ、いくら高尚な志を秘めていても、
その志を具現化する為に必要な資格を有しなければ、
志を実際の行動に移すことは出来ないのです。

 F1ドライバーにあこがれていても運転免許を持たなければ
最初の一歩すら踏み出せないのと同じなのです。
 

 起業・独立に求められる最低限の資格とは何でしょうか?
ケースバイケースではありますが、
先立つものの裏付け(立上げ資金、運転資金、借りるアテ、助成金のめど)
は多くの場合不可欠でしょう。

 小さくとも会社経営を目指すのであれば、
最低限簿記の基礎知識、経営学の基礎知識、
業界情報、関連する分野での人脈等々、
これらがあってこそ「経営者の入り口」に立てるのです。

 会社員であっても裏付けが重要という基本は変わりません。

どうしても営業職を採り上げてしまいますが、
利害の反する得意先に、いかにこちらの意向を
受け入れてもらうか? 
日々この繰り返しと言っていいでしょう。

 私の事例で恐縮ですが
・なぜ、今この提案なのか?
・なぜこの条件での交渉なのか?
・この製品がなぜお奨めなのか?
・なぜお宅に提案するのか?

 常にこの4点について、十分な裏付けを用意して
商談に臨んでいました。

 前年の実績が好調であれば、さらなる飛躍が望める。
反対に芳しくなければ、この提案で挽回が可能になる。

 それぞれの相手の事情、背景に応じた商談を組み立て
いかに相手の関心を惹くことが出来るか?
この一点に集中していました。

 ですからこちらが用意した土俵に乗ってさえくれれば
ほぼ商談自体での負けはありませんでした。

 
 続けて手前味噌になりますが、
この形で仕事を続けてきた結果、
最後の一文が自然に書き加えられました。

寺田が言うことだから(お任せ下さい)であり、
寺田が言う事なら(間違いはないだろう)

 自分自身を「裏付けの要因」に出来たことは
大いに自慢出来る私の強みでした。

 

 最近はめっきり少なくなりましたが、
開業当初は「不遇だった会社時代を見返したい。」
「自分には組織は合わない、だから独立でうまくいく。」
「アイツに出来て自分に出来ないはずがないから起業する」

といった動機で相談にくる方がいたのです。

 話をよく聞くにつれ、

社長になって率先垂範・陣頭指揮で仕事に取組み、
稼ぐことが目的という方と、

社長になることが夢、だけの方と分類出来ました。

どちらも起業、独立の際の本音ではあるのです。

(社長=経営者)になっただけでは仕事は来ません。
仕事を見つけることも出来ないでしょう。

「社長」「代表」「先生」「オーナー」という名称は
いかにも耳障りはいいです、
ですがそれは第三者が、(貴方が)その名称に相応しい
働きをしていると思ってこそ、
重みと意味のある名称になるのです。

 自ら、聞かれもしないのに
そう名乗ることに嬉々としているようでは、
その後の展望に見込みはなし、と私は断言します。

 

 今から独立・開業を目指す方、
決して時の勢いや一時の感情で突っ走ることだけは
自制して下さい!

 少なくとも、個人事業者の先輩として経験し、
認識したことについては個人事業を行う上での
共通する注意事項と考えていますので。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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