【今日のポイント】

 私の世代が定年退職の時を迎えてます。
私の周囲では全員が定年後も働くことで一致していますが、
その大半は、「今の会社で定年延長~再雇用」
という選択をしていました。

 今回は定年後の仕事について、再雇用、再就職、起業
それぞれの側面を見ていきたいと思います。

 

【再雇用制度】

 再雇用制度とはごく簡単に説明しますと
60歳の定年以降も今の会社で継続雇用を希望すれば、
原則1年ごとに契約更新の再雇用が保証される制度です。
(個々の企業によって各種条件等に差異はあると思います)

 慣れ親しんだ職場、仕事内容、人間関係といった
「安心、安定、安寧」な点にメリットを感じるのか
実に再雇用制度導入企業では対象者の約80%
この制度を利用しているとありました。

 確かにこの制度を利用すれば、
多くの場合65歳までは今の会社に
そのまま働ける訳です。

 とはいえ、良いことばかりではありません。
再雇用後の給与は定年前と比べて
40%以上ダウンしている方が約60%。

さらに23%前後の方は
50%以上のダウンとなっているそうです。

 役職が無くなり、業務もスタッフ業務から
ライン業務に代わる訳で、給与ダウンは当然のこと、
雇用延長だけでも最大限の譲歩
というのが会社側の本音でしょう。

 それでも毎月の収入が保証され、
場合によっては賞与も支給される身分が
5年間継続という事実は否定出来ません。

 では5年後は?

 私の知人で超楽観主義者がいますが、
彼は「そのうち70歳まで雇用延長」になることを
半ば期待、半ば確信していました!?

 たら・ればは排除して、65歳になってから
再び再就職、起業、または年金生活という
選択を迫られることは避けられないのです。

 再雇用を選択する場合は
その期間は一時的な雇用保険の受給期間
と見做すべきです。

 再雇用=安定収入のあるうちに、
「終の仕事」を探すという目的を持つならばいいのですが
とりあえずは安心と思考停止になっては要注意です!

 またまた私の知人の話ですが、
「まあここからの5年は一種の充電期間?
リフレッシュ期間として、心機一転して
65歳から再び真剣に取り組むつもりさ?!」

 そうでしょうか?
再雇用中の仕事は、基本的にはこれまでのノウハウや
スキルの「放電期間」になるリスクがあります。

リフレッシュとは聞こえはいいですが、
相撲で言えば稽古は続けているも本場所は休場と同じことです。
5年間も「本場所休場」していればどうなるか?
いざ土俵に立っても勝負勘は鈍りに鈍って勝負にはなりませんね。

 

 60歳の時点でも、再就職市場の現実は厳しいです。
さらに5年のハンデを負っての再就職活動は
より厳しいものになることは自明の理ですね。

 定年退職後の再雇用を選んだ場合は、
5年後の終の仕事に関するプラン策定を
最低でも60歳の定年退職時から始めないといけません。

 

【再就職、転職、起業の注意点】

 前段で書いたように
定年前後での再就職や転職を選択したとして、
結局、再雇用と同様で
時間が経てばまた定年を迎えることを
念頭に置いておくことです。

 再就職や転職を果たしたら、問題解決ではなく
その間に次の生活設計を考えなくてはいけません。

 二度目の定年退職を迎えたら何歳になるのか?
より高齢になったうえ、また就職活動を始める覚悟はありますか?

 リクルート調べでは
60歳以上で転職成功率は、15%未満!
60歳未満でも40%前後でした。
アラカン世代の半分以上は失敗と挫折を味わっているのです。

賃金変化は、55~64歳の区分では約26%ダウン
65歳以上になると32%近いダウンという統計があります。

 
 少数派ですが、卓越した管理能力や企画力や指導力、
または最新の専門技術等に精通しているのであれば
「生涯現役」として充実人生を全うする方もいることはいます。

 ですが、私を筆頭に圧倒的大多数の還暦世代は
至って平々凡々な能力と知識を有しているに過ぎません。

 

 この様な(残念な)前提を認識したうえで、
改めて再就職や転職で新天地を目指す場合には
どういった点に注意しなくてはいけないでしょうか?

 以下に紹介していきます。

 

1)肩書、年収に固執しない
 どこでも言われていることですが、それでもなかなか
この「こだわり」をクリアできないケースが多いのです。

 キャリアリセットが出来なければ話が始まらない。

 今の自分は「2回目の」新社会人、
というくらいの気持ちを持つことです。

 

2)条件の見直しが優柔不断になりがち
 現役時代100%の(収入)基準はさすがに無理と
自覚するケースは多いのですが、その後が甘い。

 せめて90%は欲しい、ダメなら80%で考えたい…
業務を変えることも厭わないから80%はマスト…

 不慣れな業務に就く=成果が確約出来ない
のに条件だけは今まで通りでというのは、
いかにも甘い見通しです。

 一気に半減することも視野に入れる、
このくらいの覚悟で臨まないといつまでも
第二の仕事には巡り合えないでしょう。

 

3)同業種、同業界ばかりで選ばない
 上記でも書いたように、
この業種、この業界だけが天職?
と勝手に思い込まない。

 同じことで、自分の考えに(根拠なく)
固執しない事も大事なことです。

 同意ばかり求め、アドバイスを聞かない
これでは現実逃避と言われても仕方ありませんね。

 

4)退職してから、行動を始める!?
 今の仕事に全力集中するのは当然のこと、
仕事しながら次の仕事探しをすることは
どちらも中途半端になるのでは?

 在職中は今の仕事に全力、
退職後は仕事探しに全力で臨みたい!

 一見すると会社への忠誠心?
仕事への責任感の発露に見えなくもないですが、
今の時代では単なる「問題先送り」
としか思えません。

「背水の陣」を勘違いしているのかもしれません。

 退職後から仕事探しをスタートさせる他のケースでは
自分はこの仕事に就いて30年、業界にも通じている、
だから慌てて仕事探しする必要は無い(引く手あまた、だろう)
と自己判断するケースがあります。

 今重要視されるのは、
仕事の経験の長さや確固の実績よりも
現代の仕事に求められるスキル、ノウハウを提供してくれるかどうか?
将来の会社への貢献が具体的に想定可能かどうか?
今迄の貴方ではなく、これからの貴方への投資
が会社にとって是か非か、なのです。

 

【採用側の思惑は?】

 ここで目を転じて、シニア世代を採用する
会社側の思惑を考えてみたいと思います。

 知り合いの会社の採用担当者や、
人材斡旋の会社のスタッフが
共通して口にしたのは、

〇初期投資(給与面)は安く収めたい。
 もう少し自分の置かれた立場=現実を直視して欲しい。
 ヘッドハンティングではないのだから
 リスク管理には慎重になるのは当然です、
 とのことでした。

〇健康面に関心が高い。
 中小企業になれば、
一人が担う役割は多岐にわたることがあります。
デスクワークだけでなく、時には現場に駆り出されることも。
替えの効かない職種、バックアップ体制の取れない職場であれば、
そうそう簡単に病欠されては業務に重大な影響を与え兼ねません。

 明らかに故意に虚偽の記載や受け答えをしていた場合、
会社が採用にかけた時間や費用を無駄にしたことにもなります。

 
〇就職の意思、その根拠の第一は何か?
 なぜ当社を希望したのか?
待遇面だけか? 通勤距離が近いからか?
以前の同僚の存在か? ネームバリューか?

 共に働く新たなメンバーと共感出来る何かを
この人は持っているのかを注視してきます。

 口先だけの耳障りの良い動機を並べるだけでは
目の肥えた採用担当者の関心を惹くことはありません。

 
〇有益な人脈の見極め
 重要視する人脈は「現役」の戦力です。
現場責任者、開発当事者、現役世代との絆です。

 多くの方が勘違いしていますが、
定年直前、50代の同世代の同期、同業他社の
同世代は概ね管理職の場合が多く、
日々の業務は管理と決済のみとなって、
実務に携わる人脈とはとっくに縁が切れている
ケースが少なくありません。

 口にする人脈がこの範囲でしかない場合、
今の仕事で有効な情報を持つ人脈は持っていない、
と見做されても仕方のないことです。

 

 最初を除いた3点については事前に自己診断が可能です。
特に「社内のみならず、社外にも豊富な人脈を有します」
と、履歴書に書く場合には「人脈の鮮度」を意識して
記載しませんと却って逆効果になってしまう場合があります。

 

 

【自分で出来ること、すべきこと】

 最後に、事に当たる前に自分で出来ることと
自分がすべきことを紹介しておきたいと思います。

 

1)定年世代(55~60歳)からの資格取得
  資格起業や独立を始め、資格取得による転職、再就職時の
 PR素材とする場合であっても相当な決意で臨む覚悟が必要です。

  例えば、転職や再就職の際に有利と言われる資格を取得したとして、
 同じ資格取得者ならば、会社側は当然、年若い人材の方がより長く、
 より幅広い範囲での活躍を期待するでしょう。
 おまけに、若ければ若いほど給与面でも「経済的に」済ませられます。

  資格を取れば安心安全、という事は全く保証されないのです。

  資格起業・独立はさらにリスクが高まります。
 この場合は、専門知識に加え、より重要な「経営手腕」が求められます。
 営業力、対人折衝力、異業種交流、アイデア、宣伝、そして行動力。

  資格を取って、事務所を持ち、看板を掲げたら
 お客は自然に寄って来る、わけがありません。

 

 さらに身も蓋もない現実を紹介しますと、
年齢的には、記憶力、学習能力は確実に減退しているという事実。
独学では覚束ないので、セミナー受講や合格講座に参加で
合格を目指すのであれば、当然費用が別途発生します。

 意外におカネはかかる。
 加えて勉強時間、拘束時間も増える。
 その間に年齢はどんどん高くなる。
 反面持続力、記憶力といった基礎能力は低くなる…
 研修やセミナーを受講しても合格の保証は全く無い。

 なんとかこれらの難関をクリアして取得出来ても、
冒頭にあるようにその努力がそのまま社会に認められ、
報われる保証はありません。

 

 度重なる受験失敗による気力喪失、
遅まきながら能力・適性の欠如を自覚した時は
既に数年の貴重な時間が失われている。
改めて「宮仕え」したくとも、その機会は年齢に相応しい
「狭き門」になっているのです。

 

 ここで紹介したのは、あくまでも
「60歳から」資格取得の準備=勉強を始めることが
難しいという事です。

 「60歳までに」資格取得を済ませていれば、
開業に必要な諸準備の目途がついているのであれば
話は別です(事務所の確保、顧客候補の絞り込み、営業計画等)

 

2)自分を知るという事
  
華々しい実績を挙げてきた人が
 第二の仕事でも成功する保証はありません。

  それなのに、多くの場合過去に実績を挙げたことに満足し
 その成功履歴だけで今後も安泰と考えるようでは望みなしです。

  実績を挙げられた原因を追究し、
 自分が関与したのは成功要因の中でどの程度だったか
 自分以外が担当の場合はどういう結果が出たと推測出来るか?
 様々な切り口で事実を見つめ直すことで
 改めて自分の強み、弱みを類推判断することが
 出来るかどうかがポイントです。

  その結果、自分で導き出した強みを
 いかにして次の仕事で活かせるか?
 
  今時代が(会社が)求めているものは何か?
 自分の手掛けてきた仕事の中に、関係性のあるものはないか?
 そこに自分が関与できるか(得意な分野か、好きな仕事か)

 

  その次に、経験、知識の平準化を図ることです。
 自分が体得してきた業界慣習やノウハウ等を 
 その分野以外でも通用させることは出来ないだろうか?

  自分の経歴、それに裏打ちされたスキルやノウハウが
 実は転職・再就職先の会社にとって得難いものではないか?

  自分で意識しないものが、実は大きな強みだったという
 ケースは決して珍しいことではないのです。

  自分のとって当たり前なことが
 どこでも当たり前なことではないのです。
 会社違えば、業界違えば 価値も評価も変わるのです。

  履歴書ではたった一行で書ける成功事例の、
 その結果に至った理由、背景こそが真の能力であり、
 評価してもらうべきポイントだという事を認識して
 これまでの自分を客観的に棚卸して下さい。

 

 現在最も多くの支持を集めている
第二の仕事選び=「今の会社での再雇用」
ですが、「再雇用の先」まで考えが及ばない
ままの選択には多くのリスクが含まれていること。

 

 定年を控えた貴方は、
自身の将来をどう考えていますか?

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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