【今日のポイント】

 以前にもこのブログで書いたことですが、
ここに来て60前後の世代の迷いというか
諦めのような空気を纏った相談者が目立ちます。

事例紹介から見えてくる
ひとつの現代事情を紹介したいと思います。

ポイントは「一人」と「独り」の違いです。

 

【ガラスの60代?の特徴】

 これまで再就職、転職、独立の区別なく
第二の人生を託す第二の仕事について
相談に見えられた方々の多くには

「これまでの業績に相応しい処遇を」
「最低限今の肩書での処遇を」
「自分の能力を見出してくれる業界に」
「自分の能力に相応しい職場に」

など等、いい意味でも悪い意味でも
自信、強気な一面が読み取れました。

 50代半ばから60才ジャスト
まさに第二の人生を迎える世代です。

 それが早期退職後5年以内や
定年を迎えて半年もしないうちに
早くも壁にぶち当たったかのような
迷いや悩みを口にするのは何故でしょうか?

 

1)大切なのは、会社以外での経験値の多寡

 相談にくる方の典型的な事例としては、
経験値の不足、若しくは偏りからくる
見込み違い(計画の挫折)です。

 サラリーマンですと
これまでの人生の大半は
会社に繋がる範囲で経験を重ねたり、
仕事上の付き合いで得られた経験が
全てと言っていいでしょう。

 ですが、そういった経験は
定年後、または早期退職後の早い時期に
陳腐化していきます。

~所属部署が統廃合されてしまった。
~2回の人事異動で顔見知りが全員いなくなった。
~拠点が移転した。

 会社組織という集団生活から外れたら
一気に交際範囲が激減、若しくは消滅すると
そのまま社会との接点の喪失に繋がっていくのです。

 陳腐な言い方ですが、
やはり会社縛りではない、個人的な趣味の有無、
会社以外での付き合いの幅や経験値が
定年以降の人生にとって重要になってくるのです。

 

2)大切なのは、「旧」肩書との決別

 特に個人事業を目指す場合ですが、
今までと違いその世界では「最年少」
「最下級生」 の存在になります。

 誰も貴方の存在を知りませんし、
知りたいとも思っていません。

 これまでのように初対面の挨拶時に
披露出来た自慢の「肩書」はないのです。

 

 さて、少なくとも失敗する起業の多くは
趣味や道楽の延長線上で思惑や勢いで
始めたという共通点を持っていました。

前職で上場企業の管理職であっても
それが美味い蕎麦屋の証明にはなりません。

趣味で振舞う料理に
同僚や後輩、得意先から「外交辞令」で
受けてきた称賛を鵜呑みにして開業・・・

 仕事の経歴でも同じことが言えます。
例えば、前人事部長の経験(だけ)を活かしての
人材会社への転職希望(それも管理職ポストで)や
再就職先の絞り込みなどです。

 このパターンの特徴としては
自己紹介の時に(口頭でもメールでも)
「元上場会社役員」
「元経理部門の責任者」
と、聞かれもしない事を冒頭に挙げてきます。

~元会社役員の肩書が喫茶店をやることに
どういう効果が期待出来るのでしょうか? 

元の会社の後輩に来店を強いる?
黙っていても会社人脈からの来店が期待出来る?

 
 既に賞味期限切れの肩書きが
一般の社会においては何の意味も
効果も無いことに気付かないのです。

 自分に置き換えればわかることですが、
聞きもしないのに肩書、それも「旧」肩書を言われて
いい気持ちがするはずがないのです。

 肩書、前職、過去の論功行賞

尋ねられて初めて語る。
それも聴かれた範囲でのみに留めて。

 結局肩書との決別に失敗した人、
分別のつけられない人は
今の自分を社会に溶け込ませることにも
失敗を重ねてしまうのです。

 

3)大切なのは、メンタルヘルス

 前にも紹介したように、
転職・起業後10年を経て
久々に再会したら性格が一変していた、
容貌が様変わりしていたといった
ケースがありました。

 見た目がえらく「老け込んだ」場合には
たいがい今の仕事(内容や収入、やりがい)に
満足出来ていないケースが多くありました。

 また個人的な事情の変化(離婚・親子問題が主)によって
このような状態になった例もそれなりにありました。

 残念なことに容貌とリンクして
メンタル面にも変化が生じています。

鬱とまでは言いませんが、
陰隠滅滅とした雰囲気や
覇気のない受け答えでは
どう見ても進んで他人が集まることは
期待出来ないでしょう。

 あまりに楽観的、無計画、
根拠のない自信も問題ですが、
この逆にあまりに自身を追い込むようだと
視野狭窄や過剰な原因追及と
自己否定に陥りがちです。

 柔軟性に長け、かつ強靭なワイヤーロープ
のようなメンタルを目指したいものです。

 

【一人と独りの違い】

 ここで冒頭に書いた
2つのひとり」について
説明したいと思います。

 まず、私の思う「ひとり=一人」とは、 
長年勤めた会社を離れても
社会や他人との接点がある、
接点があることを求め、厭わない。
このようなタイプを「一人もの」と考えます。

 このタイプは、
いくつになっても身だしなみに気を遣い、
世間一般の話題に対しても関心を持っています。

 私用でも仕事でも
外出時(オンタイム)と
自宅で過ごす(オフタイム)とで
服装は変えますし、いい意味での外面を
立ち居振る舞いをすることを苦にしません。
オンとオフの切り替えが自然に出来るのです。

 そういう場を持っているタイプなら
「おひとり様」ではないのでは?
と言われそうです。

 ですが、
元来人間は最終的にはひとりで行動します。
例えば仕事に没頭するとき、
前段でチームでディスカッションを重ねても、
詰めの作業やまとめの段階になれば個別に
与えられた課題解決に一人で集中するはずです。

 趣味の場合でも、特にシニアになった時
なかなか団体で行う趣味は限られたものになります。
時間的に都合が合わなくなった。
身体がいうことを聞かなくなったなど等、

その結果、一人でも出来る趣味を持つことになり、
より一人で没頭することになるのです。
 
 

 では、「ひとり=独り」とは?
独りとは、やること、やるべきこと、
没頭できることが無い状態と私は思います。

 具体的に一人と独りの差は何でしょうか?

 例えば「ひとりメシ」です。

 食材を調べ、買い集め(その為に外出し)
自宅に帰って、料理を作るのが一人メシ。

 中には画像をSNSにアップしたり、
後日誰かに成功作、自信作の料理を
振舞ったりという発展メシになる場合もあります。

 対して、
毎回決まったコンビニ弁当を買い求め、
又はデリバリーに注文して
視るでもないTVをつけて
ひとり黙々と食べるのが独りメシ。
 

 最終段階である「食べる」時は
一見してひとりの食事ですから同じように見えても
そこまでのプロセスには大きな差がありますね。

 

 前述しましたが、
「お独りさま」は世間の動きに対する
関心が薄くなる、 又は無関心になりやすくなります。

 私の場合、
相談者の見分け方の一つに身だしなみがあります。

 同じおひとりさまでも、
「お一人さま」はそれなりにわきまえた格好で
事務所を訪れてきますし、まず遅刻はしません。

「お独りさま」は、しばしば時間を守りませんし、
釈明もしないまま本題に入ろうとします。

 おまけに布団から出てきたまんま?
のような格好です。

 汚れが見えるシャツ姿や
手入れの出来ていないままの靴での来訪。
 手入れしていないヘアスタイルや爪、
無精ひげのままでの来訪などです。

 初対面の相手に対してです・・・

 

 今の貴方は、
外出時に着替えること、身だしなみに気を配ることを
疎んじるようになってはいませんか?

 

【新たな社会での新参者心得?】

 さて、転職や独立による新たな社会との接点の他に
仕事以外の選択、地域ボランティアへの参加や
趣味の世界を追及してサークル活動を立ち上げるといった
積極的な社会参加を図る場合もあります。

 その意気やよし、ではありますが…
でも、ここでも新参者としての
「べからず」心得があります。

 

1:学歴を尋ねない、吹聴しない
2:前職を聞かない、吹聴しない
3:この流れで役職名などで呼ばない、呼ばれない
4:前職時代の自慢をしない
5:年齢だけで仕切り屋になろうとしない
6:資格や特技も聞かれもしないのに吹聴しない

 

 残念ながら(ある意味予想通りに?)
この新参者心得に違反するのは、ほぼ前職で管理職、
それも花形部署で就いていた60代前後のケースが
見事なまでに多数を占めていました。
 
 加えて一部上場会社出身であれば
「天下御免」の印籠を所持していると思い込み、
無意識に(あるいは意図的に)振りかざすのです。

 

 べからず心得を続けましょう。

 
 7:子供の自慢はしない
 8:おカネの貸し借りは絶対NG
 9:その場をビジネスに利用しない
10:気遣いとおせっかいの境界をわきまえる

 

 7:以下は専ら相手の家庭に踏み込むリスクが生じます。

 子供に恵まれなかった家庭、子供の問題を抱えている家庭と
東大入学、国家公務員に一発就職の子供がいる家庭では
同じ子どもというワードの持つ意味が異なりますね。

 永遠にNGとは言いませんが、初対面やまだ日の浅いうちに
あえて取り上げることは無い話題です。

 8:9:に関しては論外ですが、意外に耳にするケースです。
好ましからざる目的を持っての接近と見做されても仕方ないでしょうね。
チームのクラッシャー候補と見做されては先は長くはないでしょう。

 10:についても悪気のない気遣いでも相手にはおせっかい、
干渉と捉えられることはよくあることです。
これも所謂「管理職経験者」に多い傾向なので要注意ですね。

 

 女性と異なり、男性(特にサラリーマンだった場合)
会社と自宅の往復で地域との関係性が無いに等しいわけです。
(但し、自営業や商売をしている場合は別です。)

 新しい社会、地域に溶け込む為には
大の大人と言えども相当な自助努力が必要です。

 特におひとり様の場合は他に頼れる家族がいないのです!
自分から交流を避けていては事態は前進しません。

 更には時間の経過によって
周囲からは挙動不審の「不審者扱い」
されるのがオチです。

 ここでも「お独りさま」であることは
大きな障壁となってしまうのです。

 

 

【厄介な「締念」思考とは?】

 さて、皆さんは
「締念」という言葉をご存知でしょうか?

 各種の辞典によれば、
概ね「諦めの気持ち、モノの道理を悟る心」と
ありました。

 解釈によっては気力の失せた?
新たなチャレンジする気概に欠ける?
何か、勝負を捨てたようなニュアンスに
捉えられても不思議ではありませんね。

 

 ここまで紹介してきた数々の注意事項に
不幸にも既に遭遇してしまい、挫折した、
どうも過去の自分を全否定されたように感じたのでしょう。

 諦め、虚無感を隠そうともしない
相談者が最近目立ってきました。

 いろいろ試してみたがうまくいかなかった。
自分の力不足、見込み違いでした。
これからのことは、まあ何とか考えてみます。

 ではなんで相談に来たんですか?

 なだめすかして話を続けてもらいますと、
結局「自分の今を承認してもらいたい。」
「自分はよくやっているのに、運がない。」
といった結論に同意して欲しい。

 実効性の皆無な同意で何が変わるのでしょうか?

 そして遺憾ながら、このタイプは
「お独りさま」であるケースが多いのです。

 年齢に関係なくいっぱしの社会人であれば、
整理整頓、清掃清潔は当たり前のことです。

 当たり前のことですが、
これらが出来ない人ほど
服装に無頓着、身だしなみに無頓着、
言葉使いに無頓着、時間管理に無頓着
金使いに無頓着です。

 「締念」が目に見える現象として現れると
「全てに無頓着」になるのでしょうか?

 

 ランダムに事例を紹介しましょう。

〇 打合せ時間に連絡なしで遅刻
 「少しくらいだから、と思って」
  ~あなただけの勝手な判断ですよ!
 「まあまあ、時間はお互いたっぷりあるじゃないか」 
  ~お互い暇なんて誰が決めた?

〇 メシでも食べながら話そうよ、済まないが今日は持ち合わせが…
  ~最初からその気で来たのか? 要はたかりか?

〇 お前と俺の中だから、頼んでいるんじゃないか…
  ~だから仕事をタダで引き受けてくれるとでも? 
 

 「締念」の境地に達するのは勝手ですが、
厄介なのは上記に挙げたような社会人としてのルール、
マナー、躾の劣化、低下という「症状」も伴っていることです。

 

【定年で締念にならない為には?】

 このような状態になりたくないのであれば、
以下の点だけを意識して、継続すればいいのです。

 

現実を直視する
現実逃避しない
現実を嘆かない

自分から行動する
なにをすればいいか分からない
だから行動しないのではなく

何をすればいいか分からないから
だからどうすればいいかを
自ら街に出て答えを、ヒントを探す。

 

 例えば、今までの生活の見直しを始めることも
新たな行動の一歩になるかもしれません。

60前後になれば若い頃とは生活環境も
経済事情も大きく変わっているはずです。

身近なものに、まずは関心を持ちましょう。

「生命保険の見直し」
 おひとり様なのに 未だに保険の内容は
死亡保険付きの保険のままではないですか?
死亡保険金を遺してあげたい存在がいないのであれば
保険料見直しを含めて自分に有益な内容・サービスの
保険に変更することも必要では?

 

「自動車/マイカー保有の是非」
 生涯の趣味がクルマというマニアなら別ですが
移動/運搬の手段という位置付けであれば、
レンタカー、カーシェアリングの場合のコストとの
対比は必要でしょう。

 例えば過去1年、直近半年といった
区切りのいい期間で区切ってみて下さい。

 その間の自動車の使用実績と
どこに何の目的で行ったのか?
クルマでなければいけない場所だったか?
費用実績はいくらだったか?
加えて駐車場代、保険料、税金といった
間接費用も加味して精査しましょう。

 貴方にとってのマイカーは
そこまでして保有する価値のあるものでしょうか?

 

「クレジットカードを何枚持っている?」
 年会費は、使用実績は? 
 複数枚持っている理由は?
 コストに見合ったグレードのカードなのか?

 

「携帯電話、固定電話、電気料金等」
 まずは固定電話の必要性があるかどうか?
どの携帯会社との契約が今の自分の生活に最適な料金プランか?
今や電気は電力会社以外でも販売されています。
電気の契約先は自分の生活に最適な選択となっているかどうか?

 

 どうでしょうか?
身近な案件だけでもざっとみてこれだけありました。

 真剣に取り組めば、いやでも専門家に尋ねたり、
自分で調べたりしなくてはいけません。

 お独りさまでは出来ないことになってきます。

 

さらに突っ込んだテーマに取り組むのもいいでしょう。

【介護制度の研究】
 
人生今や80年が当たり前の時代です。
 60才でお残り20年の歳月を生きるのです。
 ですが、健康体のままで生きていけるわけではありません。 

 何かが起こったとしてもなお前向きに過ごす為に
今のうちに老後の備えを考えてもいいでしょう。
  

 ざっくり言いますと今の介護制度は、
家族がいる事を大前提としています。

 単身者、非婚者、は想定外と考えるべきです。

 親族に頼れない「おひとり様」なら、
頼れるのは地域社会しかありません。

 さらには、自分の懐事情と相談する必要にも
迫られますから、内容の詳細を把握しなければいけません。

 その為、介護保険制度については自己責任で調べる事です。
入所する(したい)(出来る)施設も
元気なうちにこそ調べることが可能なのです。

 

(介護型民間施設)
介護付き有料老人ホーム
介護型サービス付き高齢者向け住宅
グループホーム
ケアハウス
小規模多機能型居宅介護施設

(住宅型民間施設)
住宅型有料老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
ケアハウス
シルバーハウジング

 

 立地場所、自分との相性、費用負担の可否…
これらを吟味するだけでも
時間が足りなくなるでしょう。
締観している暇はなくなるでしょう。

 

 仕事だけでなく、
下準備をして、検討して、結果を導き出すことは
身近な生活の中にもあるのですから、
まずは、小さなことであっても「成し遂げる」
体験を経験することです。

 その為にも、
お一人様でメリハリのある生活を目指しましょう!

 

 別に非婚者や単身者だけが該当するのではありません。
家庭を持っていても独りという方はいます。

 

 定年という区切りを迎え、
新しい生活を始めるときに
「一人」と「独り」では大きな差が出ます。

 

60才前後の貴方は今「どちらのおひとり様」に近いでしょうか?

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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