【今日のポイント】

 私の周りにも無人となって久しい田舎の実家、
遠くない将来に空家化必至の親の住まい・・・
これらの扱いに悩んで相談される方が増えてきました。

 

 今日はズバリ、通称「空き家特措法」について
紹介していきたいと思います。

 

 

【第一条:目的】

この法律は、
適切な管理が行われていない「空家等」
防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に
深刻な影響を及ぼしている事に鑑み、
地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに
その生活環境の保全を図り、併せて空家等の活用を促進する為、」

「空家等に関する施策に関し、
による基本指針の策定、
市町村(特別区を含む)による空家等対策計画の作成、
その他の空家等に関する施策を推進する為に
必要な事項を定める事により、
空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、
もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与する事。」

を目的と定められています。

 ここにある
「適切な管理が行われていない」
「空家等」
「深刻な影響」
については、次章の定義で解説されています。

 

【第二条:定義】

 まず、空家等の定義として
「建築物又はこれに付随する工作物」であり
「居住その他の使用が成されていない事が常態であるもの」
及びその敷地(立木その他の土地に定着するものを含む。)
としています。 (一部略)

 「空家等」には、
家屋、車庫、塀、壁、階段などの建造物や
植木、庭石、組立式物置等の定着物が該当するとなります。

 家屋は更地にしたからと言って
隣家との間の塀や門扉、
道路にはみ出してきた立木等があれば、
空家等に含まれると考えられます。

 「常態」とは
長期間にわたって継続している状態を言い、
年間を通じて建築物等の「使用実績」がないことが
ひとつの基準とされています。

期間の判断は調査時点における建築物等の状況から
客観的判断を下すこととなります。

 「使用実績」の判断は、以下の項目から判断されます。

・建築物等の朽廃等の状況
・建築物等の用途
・建築物等への出入りの有無
・電気、ガス、水道の使用状況、それらが使用可能な状態にあるか
・建築物等及び敷地の登記記録や所有者等の住民票の内容
・建築物等の適切な管理の有無
・所有者等による固定資産税等の納付実態
・所有者等によるその利用実績の主張

 分かりやすく言えば、
長年人の出入りが無い
電気ガス水道が停められている
固定資産税が滞納
庭は荒れ放題、瓦が剥落したまま
 
等といった状況と見做されれば
「使用実績なし」となると考えて下さい。

 

 なお、上記は原則として「戸建て住宅」を指し、
マンションや集合住宅の場合は
「一棟全体」での判断になります。
一部屋(区画)毎に判断されるものではありませんので
この点はご注意下さい。

 

【特定空家等】

 ニュース等で耳にしたことがあるかと思いますが
空家の中でも特に問題の多い(周囲へ迷惑をかける)
特定空家についてはさらに別途定義が決められています。

(定義)
1)倒壊等が著しく、保安上危険となる恐れのある状態の空家
2)著しく衛生上有害となる恐れのある状態の空家
3)適切な管理が行われない事により著しく景観を損なっている状態の空家
4)その他周辺の生活環境の保全を図る為に放置する事が不適切である状態の空家

 

 余談ですが、いわゆる「ゴミ屋敷」のケースでは
ほぼ上記1)~4)に該当する状態の場合が大半ですが
「空家ではない」点が最大の相違点になります。

 いくら廃屋同然であっても、所有者がそこで居住していれば
空家とは言えませんので、この法律は適用外になります。

 

【責任の所在と立入調査等】

 当然ですが第一次的には所有者等にその責務が発生します。
仮に所有者等が責務を全うしない場合は市区町村になります。
この場合は国による基本指針の策定や都道府県による援助、
国及び都道府県による財政上の措置、税制上の措置等が
定められています。

 立入り調査等については本法の9条で必要な調査が行えるとされ
特定空家等に対する措置の場合は必要な限度で市区町村長が
当該職員や業務を委任した者に立入り調査をさせる事が出来るとされています。

 あくまでも「公共の福祉」に基づく必要最小限のプライバシー侵害として
許容されるものとされますが、相手方が明確に調査拒否をしている場合は
直接的、物理的に排除する権限までは認められていません。

 立入調査を拒否すれば罰則が科せられます
という間接的な調査の受諾を強制することまでは可能。

 但し、特定空家と認められた場合、外観上明らかにと該当すると
判断された場合は、以下の措置が取られます。

(特定空家に対する措置)

 第14条に「措置の順序」として
① 助言・指導
② 勧告
③ 命令
という段階が定められており、
この手続きはいくら緊急を要する場合であっても、
省略は出来ないものとされています。

 各段階で「一定の猶予期限」が定められ
「相当の猶予期限」を以て当たるとされていますが
具体的には個別判断とされます。

 ③の命令は「行政処分」です。
所有者等に対し拘束力を生じます。
違反した者には
過料(50万円以下)が科せられる場合があります。

さらに履行がされない場合には「行政代執行」手続きが
出来るとされています(14条9項)

 これらの措置に対し
対抗出来る正当な理由として以下の2項目が定められています。

 まずは、土地又は家屋に「勧告」がされたものの、実際の所有者は異なる等の
理由から必要な措置を行う権限がないという抗弁が出された場合。

 そして当初の目的物が何らかの理由で「滅失」し措置を講ずる必要が
無くなった場合です。

 注意すべき点として
「経済的な理由により措置を講ずることが出来ない」は
正当な理由としては認められていません。

 

 

【まとめ】

 以上、ざっとですが空家対策特措法のポイントについて
まとめてみました。

 皆さんの郷里の実家は空家ですか?
現状について把握出来ていますか?
将来的な展望は描けていますか?

 貴方の住まいの近隣に空家はありませんか?
空家の所有者が誰なのか把握出来ていますか?
既に周辺では迷惑な存在となっていませんか?

 また、マンションで暮らす方の場合は
この法律では対応が難しいことご存知でしたか?

 

 今は郷里や地方に多く発生している空家問題ですが
都市部(都内23区内を含め)においても
年々空家の増加が続いています。

 これまでは更地化による固定資産税6倍課税を避けたいがために
空家状態のまま放置するケースが多かったのですが、
それも最近になり実体のない建築物の場合は更地と同額の課税が
課せられることになりました。

 それに加えて、この法律の適用対象になれば、
強制的な排除とされ、全て原則自己責任で
決して安いとはいえない撤去費用を負担することになるのです。

 マンション住まいの場合はさらに深刻です。
空き部屋が増加すればマンションの各種設備の
維持管理に必要な管理費が不足なになります。

外観のリニューアルにも影響が出ますし
内装や設備保全も不十分なままになるのです。
そうなってくればマンションの価値自体が下落、
資産としても腐動産化する恐れが出てきます。

 とはいえ、この法律では「一棟単位」でしか
対応は出来ないとされてますからワンフロアだけの
問題には別途解決法を模索しなくてはいけません!

 

いつ貴方がこの問題の当事者になるか?
それは所有者としての問題としてか?
迷惑を蒙っている被害者としてか?

 

 新年度だからこそ、
あえてシリアスな話題を採り上げてみました。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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