【今日のポイント】

 今日は実際にあった相談事例の中から
個人的に印象に残った相続に関する
思い違い事例を紹介したいと思います。

 

 

【民法改正で相続分は均等のはず!?】

相談者はこう切り出しました。

「最近の法律改正で親が異なる兄弟でも
相続分は同じになったはずです、
なのに、私に対しては母親が異なるのだから
1/2しか相続の権利がないと言われました!」

「どういった手順で反撃(ママ)すればいいでしょうか?」

かなり感情が高ぶったままの来訪で
この後延々と異母兄弟の「非道」を口にしたのですが…

 結論は、この方の「思い違い」でした。

 

 確かに、民法改正によって
嫡出子(婚姻関係にある夫婦間の子供)と
非嫡出子(婚姻関係にない男女間の子供)の相続分は
同等とされました。

 仮に、配偶者と子供が二人の場合で、片方の子供は
配偶者の子供ではなかったとすると、

「従来」
配偶者に遺産の1/2

子供2人で遺産の1/2
一人当たりでは1/4づつ
※但し、非嫡出子の場合はその1/2になる。

 仮に遺産総額が2,400万円の場合、
配偶者に1,200万円、
子供への相続分が1,200万円となります。
非嫡出子は総額の1/6、嫡出子は2/6になり、
400万円と800万円となっていました。

「改正後」
嫡出子、非嫡出子に関わらず
子供の相続分は同等になるので
配偶者が1/2、子供は1/4づつになりました。
子供はそれぞれ600万円の相続となったのです。
※但し、認知されている非嫡出子の場合に限る。

 

 これは間違いのないことなのですが、
相談者のケースは故人の異母兄弟」だったのです。

故人に子供がいない場合、相続権は故人の親に発生します。
更に親も既に亡くなっていた場合は故人の兄弟姉妹に
相続権が発生するのです。

 この場合、配偶者は遺産の3/4を
兄弟姉妹は全員で1/4を相続することになります。

 ですが、異母・異父兄弟の場合は、
相続分は両親が同じ兄弟の1/2になるのです。
これは今でも適用されている規定です。

 仮に故人の相続人が配偶者と故人の兄弟2人の場合
遺産総額が4,800万円とすると、
配偶者は3/4の3,600万円を相続し、
故人の兄弟(2人)には1/4の1,200万円が
相続分となります。一人600万円です。

 ですが兄弟のうち一人の母親が故人の母親と異なる
(後妻、先妻の子等)場合には
800万円と400万円の相続になるのです。

相談者は、故人の異母兄弟だったのです。

 

 

【代襲相続と再転相続と数次相続】

 代襲相続とは、簡単に言えば
通常であれば親~子~孫の3代の家族構成で
「子」が「親」よりも先に亡くなった場合に
「子」の持っていた相続権を「孫」が引き継ぐことを
指します。

又は「孫」もなくなった場合には「曾孫」が
その権利を引き継ぎますし、この逆に
「孫」が「子」より先に亡くなれば「親」が、
「親」もいなければ「祖父母」が、
相続権を引き継ぐというものです。

 

 では、再転相続とは何でしょうか?

稀な事例になりますが、
「親」が亡くなって「子」が
相続に関する熟慮期間中(相続発生から3カ月以内)に
続けて亡くなってしまった場合、
「孫」は
2回の相続をすることになります。 

 これを「再転相続」と言います。

 この場合ですと、
本来「親」から「子」に相続される財産と
「子」から「孫」に相続される財産があることになり
前者の場合は代襲相続、後者は通常の相続という
性格を持つことになります。

 このケースで最も重要な点は
相続の承認、放棄の決断を2回ほぼ同時に
決断しなくてはいけないという点です。

 ご存じの通り、相続の承認は相続発生後3カ月以内に
単純承認、限定承認、相続放棄の選択をしなくてはいけません。

単純承認は、相続財産の全て(負の財産を含め)を相続する、
限定承認は、プラスの財産の範囲内で負の遺産も相続する、
相続放棄は全ての相続を放棄、相続人でなかったとする、
というものです。

 また何の意思表示も手続きも行わなかった場合は
3カ月経過後には「単純相続」となります。

 「子」から「孫」への相続分の調査だけでも
事前準備が出来ていなければ少なくない時間と手間が
発生します。
 更にこれに加えて
「親」から「孫」への相続分についても
調査して相続の決断を下さなくてはいけないのです。

 仮に相続放棄を選択する場合は
「親」から「孫」への相続に関しての放棄の検討を
先に始めます、これは生きていたら「子」が持っていた
相続放棄の権利を「孫」が引き継いだためです。

 その次に「子」から「孫」への相続に関する
相続放棄の検討を進めなくてはいけません。

 

 最後に数次相続です。

 これは既に父を亡くしていた母が
遺言を遺さず亡くなり、子供3人が相続人として
全員で単純承認し、遺産分割協議を始める前、
又は協議の最中(分割が決まらない状態)に
子供のうちの一人が亡くなり
その亡くなった「子」の子=「孫」の相続が該当します。

 この場合、既に「親」からの遺産相続は
亡くなった「子」は単純承認しています。
ですから「孫」は「親」からの相続に対しては
放棄は出来ないのです。
但し、「子」から「孫」への相続については
単純承認~相続放棄の選択は可能です。

 このように、相続の発生順や発生時期によって
相続人の対応に大きな差が生じるのです。

 この点を正確に把握しないままに相続相談に
来られる方は少ない人数ではありませんでした。

 いざ相続発生となりますと、気が動転し
なかなかこのような背景にまで注意が及びませんが、
ここに紹介した様な事例が思い当たる方は
事前の準備を欠かさないようにして下さい。

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