【今日のポイント】

 不動産は財産の中でも
別格の存在だった時代は
今や昔となりつつある現在、
あるタイプの不動産を
所有することのリスク(腐動産化)
について簡単に紹介しています。

 

 

【腐動産化候補とは?】

 今は腐動産とまでいかないものの、
いずれ腐動産予備軍のリスクがある地域にある
共通する背景について紹介します。

・1970年から80年代にかけてニュータウンとして分譲された地域
・ニュータウン内に賃貸物件が無い、又は極めて少ない地域
・同時期に入居した世帯がほぼ同世代ばかり(当時では30代から40代前半)
・物件(土地)の広さ、価格が手頃でその分交通アクセスにやや難があった地域

 

 なぜ、このような地域が
腐動産化するリスクが高いのでしょうか?

 

 70年代から80年代には
今ほどバリアフリーという概念は無く
ニュータウンの敷地内は
階段の上り下りでの移動が当たり前で
マンションにしても階数によっては
エレベーターが完備されていない物件もありました。

 当然室内にも敷居や段差はありました。
とはいえ、当時の入居者の平均年齢からすれば
「苦にならない」問題だったのです。

 ですが、当時入居した30代、40代の世代は
既に多くは70代近くになり、このような立地は
今やリスクを伴うものに変わったのです。

 また、同程度の収入の世代を中心に
売り出された物件の為、年齢層が非常に近く
当然ながら 同時に高齢化していくため、
地域全体が一気に高齢化してしまうのです。

 さらに、先述したように
分譲主体の地域なので賃貸物件が無く、
若い世代の流入は
期待出来ない事から
ますます新陳代謝が滞るのです。

 当時は肉体的に苦にならなかった
「通勤=痛勤」の不便さは年齢を重ねる毎に
苦役になります。

場所によっては
その後に開発された地域に新駅が出来たり、
バイパスが開通、高速道路のインターチェンジが
出来たりと、一気に利便性に差をつけられます。

既存の街中に、
またはその近隣では
土地の収用や買収問題も発生しやすく
それならば新たな開発地域とセットで
開発する方が効率的、となる訳です。

 

 具体的名称は控えますが、
首都圏エリアでも 
各県の中核都市近隣にある街に
この傾向が多いようです。

 一見すると未だ繁華街に近く
見映えはするものの、実態は空き物件が目立ったり
住民の多くが高齢者だったというケースは、
次第に増加しています。

 

人口の減少傾向が止まらず、
高齢者人口が同課の一途を辿る
少子高齢化社会の中で、

このような立地・住環境の街に
これから移住する人はどれだけ見込めるでしょう?

 

 この反面、
都心の湾岸沿いのタワーマンションや
鉄道駅に近く商業施設や
医療施設、教育施設に恵まれた地域は
土地も物件も高騰し入所者は増加の一途です。

 

 従来、仕事をリタイアした世帯は
都心を離れ郊外の持ち家で
悠々自適のセカンドライフを満喫するのが理想でした。

 

 しかしながら、
今や郊外ではテナントの撤退、
バス路線の廃止や本数削減
高齢者ばかりの居住で街自体に活気がなくなる
といった現象に悩まされています。

 

 仮にこのような地域に、

親が暮らす実家があれば?
既に空き家となっている実家があれば?
今現在の自分たちの住まいがここであれば?

 遠くない将来、どうなるかは想像できると思います。

 

 

【苦肉の策?】

 仮にこのような地域に
空き家で残っている場合、
何ら手を打たずに廃屋同然となれば
自治体から特定空家の指定を受けることも考えられます。

 かといって家屋をすべて撤去して
更地にすれば、ご存知の通り
固定資産税は今までの6倍に跳ね上がります。

 この為、苦肉の策?として
風水害時に倒壊や崩落で
周囲に迷惑をかけない程度の骨組みだけを
残して解体するケースもあったそうです。

法律の性質上、極端な例では
大黒柱1本だけ立ってたため
更地ではないと判断された
事例もあるようです。

 

 とはいえ、家の解体は予想以上に費用はかかるのです。

 長年の空き家でも
室内の調度品は皆無という事は無く
それらの始末には別業者に
後始末を依頼するほかなく、
 また万が一、
亡き両親がタンス預金的な隠し財産を
所有していたら?
解体作業前の室内点検の徹底も欠かせません。

そんなこんなで、時間と費用は決して安いものにはならないのです。

 

 仮に、なんとか更地の一歩手前の状態を
維持出来たとしても
今度こそ何の利用価値もなくなった土地に
毎年固定資産税を払い続けるのです。

 そのままの状態を続けていけば、
いずれは貴方の子や孫が延々と固定資産税を
払うためだけの土地を所有することになるのです。

 固定資産税だけではありません。

 更地であれば雑草除去や庭木の手入れが
 家屋があれば室内外の清掃、保守・メンテが
 マンションの場合はさらに管理費や修繕積立金が

 定期的に発生するのです。

 

【腐動産化の発生条件】

 昔は財産の最上位とも言われた
不動産は今やお荷物財産の筆頭と化している時代です。
具体的にはどのような(悪)条件を持ち合わせると
腐動産候補になるのでしょう?

1)所在地に行くだけで半日近くかかり、交通費もバカにならない
2)築年数に係らず屋内外に劣化した箇所が複数ある~他に耐震構造でない等
3)10年以上周辺の風景が変わらない~新築無し、更地化も無し等
4)周囲に集客力のある施設、史跡、観光地が無い

 また、上記には該当しないまでも

◇ 相続財産に占める不動産の割合が50%以上
  ~特に現預貯金等の金融資産が少ない

◇ その不動産に現在も居住する世帯がいる

 

 この場合も相続争いの火種になりがちです。
いったん争続と化すと物件は売るに売れず、
話し合いの時間だけ空費することになり
いつの間にか腐動産化してしまうリスクを
内包しているのです。

 

【最終的解決としての 相続放棄】

 仮に件の不動産意外に目ぼしい財産が無い場合は
最終的手段として「相続放棄」があります。

 多くの方はご存知と共いますが、
相続放棄は「全てかゼロか」の選択ですから、
不動産以外の全財産の相続の権利を放棄します。

 腐動産を相続するデメリットが
他の財産を相続するメリットに比べ
遥かに大きければこの判断は適当と思われます。

 

 但し、注意する事項として、
相続の権利は放棄出来ても
その物件の「管理責任」は放棄出来ません。

 次の相続人、又は管理人が決まるまでは
当初の相続人の責任で腐動産を管理しなくてはいけない
事は意外に知られていません。

 相続放棄が認められた直後に、
風水害によって家屋が倒壊、
そのせいで隣家を損壊したとか、
通行人がケガをした場合には
当初の相続人が責任を問われるのです。

 そうなりたくなければ、
「相続財産管理人」選任申立が必要になります。

 詳細は省きますが、
申立てを受けて家裁が然るべき人物を選任、
相続財産管理人は放棄された当該財産の処分を行います。

 選任申立には「予納金」が必要になりますが、
この費用は相続放棄した財産の中に
現金や預貯金がある場合には
その中から充当することが出来ます。

 

【まとめ】

 腐動産化する不動産は
決して地方都市や郊外区域に限ったものではありません。

 2022年に期限がくる
生産緑地の宅地並み課税開始によって
意外な都心地域でも新規の宅地用土地の発生から
波及する評価額の下落、
売却先の奪い合いといった
競争激化が予想されています。

~この問題に関してはマイベストプロのコラムを御覧下さい~

2022年の生産緑地問題とは? 

 

 今や不動産の腐動産化の問題は
時間と場所を選ばずに発生する恐れのある
喫緊の問題となりました。

 

 

 貴方にこの中の一つでも思い当たる節があるのでしたら
早急に今後の方針を決めることを強くお奨めします。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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