【今日のポイント】

 前回に続いて「相続情報証明制度」についてです。
基本的な流れは前回紹介しましたが、今回はその中から
基本的な疑問や不明点についてまとめてみました。

 

 

【今までとどこが変わったの?】

 最初にこれまでの手続きを紹介し、
どこがどう変わったかを説明します。

従来の流れは以下の通りでした。

1)相続人が必要書類の収集を行います。

2)相続人側で手続きに必要な戸籍等の資料が
  間違いなく揃っていることを確認します。

3ー1)相続登記をする場合

   法務局に資料を提出します。
   法務局も必要な資料が揃っているかを確認します。

3-2)預貯金の払い戻しの場合

   金融機関に資料を提出します。
   金融機関も必要な資料が揃っているかを確認します。

3-3)生命保険の受取の場合

   生命保険会社に資料を提出します。
   保険会社も必要な資料が揃っているかを確認します。

 

 このように、提出先がどこであれ、
概ね双方で1回、計2回にわたり戸籍等の資料の確認を
行うため、手続きの完了までに時間がかかっていました。

 さらに取引金融機関や契約した保険会社が
複数になる場合はそれぞれに資料を用意する事になります。

 そして殆どの場合、複数の手続きが必要なケースばかりであった為
ますます時間がかかることになっていました。

 

これが、今回の改正後は

1)相続人が戸籍等の必要書類の収集を行います。~これは変わりません

2)法務局に、相続人が作成した「法定相続情報一覧図」
  1)で用意した戸籍等の資料を併せて申出を行い、
  「一覧図の写し」を交付してもらいます。

3)「一覧図の写し」を 目的に応じて
   金融機関
   法務局
   生命保険会社
   へ提出することで それぞれの手続きが完了するのです。

 

 相続人である自分たち以上に
金融機関を始めとした申請を受ける側は
より手間が省けることになるのです。

 

 但し! 注意点が一つあります。
法務局の様な公的機関はこの制度での手続きには
当然ながら対応しています。

 ですが民間の金融機関や生命保険会社等では
まだ、規定により従来通りの手続きしか認めていないケース
少なくないようで、当該の金融機関や保険会社には事前に
制度対応をしているかどうかの確認が必要なのでご注意下さい。

 

【申出の際の注意点】

〇申出必要な書類にある「氏名・住所を確認することが出来る公的書類」について

 下記の3つのうちのどれか一つが必要です。

 ・運転免許証の写し
 ・マイナンバーカードの表面の写し
 ・住民票の写し

  免許証、マイナンバーカードのコピーでは
 文字や数字等が明瞭に判読さえ出来ればいいので
 カラーでも白黒でも構いません。

  住民票の写しは、この手続きの場合重要なことは
 記載された内容(氏名と住所地)に変更さえなければ構わないので
 極端に言えば1年前に交付された住民票でも対応可能です。

 

 さらに、説明用のパンフでも記載されていませんが、
写真付きの住基カードの表面も写し
十分「氏名・住所を確認出来る公的書類」なので
これで申出することも可能です。

 

【一覧図の受領について】

〇一覧図の申出から受領可能日までどのくらいでしょうか?

  申出の内容に漏れや誤記が無く通常の手続きが進んだ場合で
 約1週間前後だが、諸事情で多少遅れることはあるとのことでした。
 また一覧図が交付が可能になった時点で、法務局から連絡が入ります。

  ちなみに受取出来るのは「申出をした法務局の窓口」だけです。

 

〇受領の際に必ず持参するものは?

  申出人が受領に出向く場合であれば、申出の際に使用した印鑑だけ
 持参すれば受領が出来ます。
 特に公的な身分証明書等による確認はされません。
 
  ここで私が個人的に気になるのが、
 持参した「印鑑」だけで正当な申出人と判断する点
 で、仮に申出人の兄弟や知人が申出人合意の上で印鑑を預かり
 代理人ではなく申出人本人として出向いても受領は出来てしまいます。

  何らかの事情で代理人が出向く場合は
 委任状や本人確認の公的書類の持参が求められます。

  これを面倒として、双方合意の上で上記の様な
 行動をする可能性は少なくないと思うのですが・・・

  更には悪意を以て印鑑を無断で持ち出して受領すること
 残念ながら可能です。 やや気になる点ではあります。

  この様な懸念を払しょくするのであれば、
 郵送による受領がお奨めになります。

 

【申出人が転居したら?】

〇申出人が申出をした直後に事情によって転居した場合、
 転居先の法務局で交付を受けられるでしょうか?

  申出をした法務局以外では交付は出来ません。 
 また再交付も出来ません。

  どうしても申出人が窓口に出向けない場合は
 「郵送による手続き」しかありません。  
  郵送での申出、郵送での受領は共に可能です。

 または委任状による代理人での対応となります。

 

【一覧図の写しの注意点】

〇一覧図の写しがあれば、相続関係があれば、に関しては全て証明できる?

  これは、出来ません。
 相続放棄や遺産分割協議の有無、更にその内容については
 一覧図には反映されないのです。

 相続放棄の場合には「相続放棄申述受理証明書」
 遺産分割協議の場合は「遺産分割協議書」

 それぞれ別途必要になります。

 

 

〇相続発生時には出生前だった胎児が相続情報一覧図発行後に生まれた場合
 新たな相続人となるが、その場合一覧図はどうなるでしょうか?

  この様な場合は法定相続情報自体に変更が生じたため、
 最初に申出をした申出人によって
 再度の申出が出来ます。 
 再度の申出後は以前の一覧図は交付されなくなります。

  上記のケース以外に一覧図の完成後に認知した子供が出現した場合
 等もこのケースに該当します。

 

〇本人(被相続人)も了承しているので生前に一覧図を作成したい?

 あくまでもこれは相続発生後の手続きなので、認められません。
 
 

〇相続人の中に 海外で在住(又は永住)している者がいる場合

 相続人の中に外国籍になった者、海外居住の為戸籍謄本や印鑑登録証明が
とれない人物がいた場合には現時点ではこの制度の利用は出来ません。
つまり、一覧図の作成が出来なくなります。

 当然ですが当該の相続人以外の相続人も
この制度利用が出来ないことになります。

 

【一覧図の再交付の場合】

〇必要となる書類の中にある 運転免許証、マイナンバーカードのコピー
  とありますが、原本を提示するだけでは駄目なのでしょうか? 

 住民票の写しと同様に 法務局が回収する為 原本提示だけではダメです。

 前述しましたが、コピーは白黒でもカラーでもどちらでも構いません。

 同じく前述したとおり、住基カードの表面のコピーでも対応は可能です。

 

〇前回交付された一覧図の写しを持っているので、
 これを持参したら再交付は出来ませんか?

 所定の手続きでしか再交付は出来ません。

 

【委任状】

〇法務局のHPでダウンロードして使用可能なひな形が掲示されていますが
 これ以外の形式はダメなのでしょうか?

  あくまでも見本であり、例えば再交付の委任の場合は 
 その旨だけの権限委任という趣旨の文章に書き換えて使用も可能です。

 ※仮に掲示されたひな形を使って再交付を申請の場合は、
  「法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の交付の申出をすること」
  の項目が該当します。

 

〇委任状は提出後は返却されないのでしょうか?

 委任状も通常ならそのまま回収されるが、申し出れば返却は可能です。

 

 

【戸籍謄本】

〇戸籍謄本は手続き終了後はどうなりますか?

  これは 初回申請時と同じく、後で返却されます。 
 またこの場合も、発行後〇ヶ月といった有効期限はありません。
 初回申請時に用いた戸籍謄本を所持していればそのまま通用します。
 ですから改めて収集する手間はかかりません。

 

 

【その他】

〇提出先は法務局ですが、我が家の相続財産に不動産はありません。
 この様な場合でも提出先は法務局でいいのでしょうか?

  この制度(一覧図の写し)では、これまで書いたように
 銀行や生保での手続きにも適用されるので、
 不動産が無い場合でも法務局は対応してくれます。

 

〇自分の住まいを管轄する法務局は出張所ですが
 この手続きの対応はしてもらえるでしょうか?

  確実なことは事前に当該法務局へ問い合わせて下さい。
 また受付可能な窓口は

  ①被相続人の最後の住所地
  ②被相続人の本籍地
  ③申出人の住所地
  ④被相続人名義の不動産の所在地

  この4か所から選択が可能です。
 但し、申出をした法務局で受領することになるので
 その点を考慮して選択しなくてはいけません。

  前項で書いたように「不動産を持たない」場合は
 最後の④は該当しません。

 

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投稿者プロフィール

寺田淳
寺田淳(行政書士)
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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