【今日のポイント】
前回のブログで相続時に必須の書類の一つとして
「法定相続情報一覧図」に触れましたが、
今回はこれを含めた「法定相続情報証明制度」
の説明をしたいと思います。
【制度の背景】
相続登記の不徹底。
本来、不動産の所有者である登記名義人が亡くなれば
相続人が所有権移転登記~相続登記をしなくてはいけません。
ですが実態はこの手続き未了のまま放置され、下手をすると
孫の代になっても祖父の名義のままというケースがあるということです。
この結果、最近問題が顕著になっている
「所有者不明の土地問題」
「放置状態にある空家問題」
を生じさせています。
なぜ、このような事態になるのでしょうか?
一因として、現行の制度が膨大な書類と
煩雑な手続きを当事者に課していることから
相続人が相続登記を忌避していると言われています。
また相続登記手続きを放置しても罰則が無いことも
この傾向に拍車をかけているとも言えます。
所有者不明の土地は公共施設や道路、防災施設等の建設を阻害し
空き家は治安や風紀の悪化を招くことから、2016年6月に国も
相続登記促進のための制度を検討し始めて、今回の改定に至りました。
【手続きの流れ】
この手続きを行えるのは、法定相続人及び代理人になります。
代理人とは親族、弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士
税理士、社会保険労務士、海事代理士、弁理士の各士業者です。
「申出」
① 戸除籍謄本等の収集 ~これは従来と同じ手続きになります。
② 「法定相続情報一覧図」を作成します。
③ 「申出書」に必要事項を記載して、①、②の書類を添付して
登記所に申出をします。
※登記所は被相続人(故人)の本籍地、最後の住所地、
または申出人の住所地、
及び被相続人名義の不動産の所在地、に限られます。
※申出は登記所への手渡しだけでなく郵送でも可能です。
「確認・交付」
① 登記官による内容確認と保管
② 認証文付一覧図の写し=一覧図の写しの交付
戸除籍謄本等の書類の返却
一覧図の写しの交付には手数料はかかりません。
詳細については以下にリンクを貼りましたので
こちらを参照して下さい。
【利用について】
相続手続きへの利用に限られます!
これまでは戸籍謄本等を一式揃えたものを
登記所や各種金融機関にそれぞれ提出することになり
膨大な分量を用意することになっていましたが
この一覧図の写しを必要部数コピーしておけば
同時に多方面に資料提出が簡単に可能になります。
ですが前述したように、
手続き前の必要書類収集の必要性は
従来と同じです。
1回は資料収集の手間がかかるという訳です。
但し、相続放棄や遺産分割協議に関する書類は
別途必要になるので注意が必要です。
【制度の概要と注意点】
この制度は必須ではありません。
従来通りの手続きでも受け付けてもらます。
一覧図の写し自体には有効期限はありませんが、
書類提出先の金融機関等の規定による有効期限が適用されます。
~発行後何か月以内等
一覧図の保管期間は作成年の翌年から5年間で、
この期間であれば再交付は可能です。
但し、再交付の申出は「当初の申出人」に限られます。
仮に他の相続人が再交付を求めるには、
当初の申出人の委任状が必要になります。
一覧図作成後に相続人の範囲が変わった場合は、
当初の申出人が再申出をすることが出来ます。
~被相続人の死後に子供を認知した、
死亡時には胎児だった子供が誕生した等
一覧図は「被相続人毎に一通の作成」
が原則なので、数次相続が発生した場合でも
その都度の作成が必要になります。
繰り返しになりますが、現段階ではこの制度の利用の為には、
1回は従来通り戸籍謄本等の必要書類を収集しなくてはいけません。
その後は従来よりは確実に簡便な手続きとなりますが、
最初の1回だけは免れないので注意が必要です。
補足)制度が利用できないケース
被相続人、相続人の中に外国籍の者がいる場合、
戸除籍謄本抄本が添付出来ないため
この制度が利用出来ないので注意が必要です。
当然ですが一人でも存在すれば相続人全てが
この制度を利用することが出来ないという意味です。
蛇足ですが、遺産分割協議書の作成の場合は
外国籍の相続人は「サイン証明書」を用意すれば
日本での印鑑証明と同等の効力が認められるので
対応してもらえますが、法務局に確認したところ、
現時点で外国籍の相続人がいる場合、
この制度の「救済策」は無いとのことでした。
次回は、この制度における基本的なQ&Aを紹介したいと思います。
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